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花火大会

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恒例となっている豊平川の花火大会を見てきた。
札幌の夏には、ふたつの花火大会があり、今日は第1回目。
来週にもう一回あるけれど、規模的には今日の方がちょっと大きいらしい。
昔は、さらにもう1回開催されていたのだけれど、今では2回で落ち着いたみたいだ。

まだ日が暮れる前に豊平川へ向かい、幌平橋を渡ってから、下流の川岸にシートを敷いて、早々に落ち着いた。
花火大会の会場としては、南大橋上流あたりが中心になるので、迫力を味わいたい人はそちらに行った方が良い。
川を超えたのは、札幌の都心部のビル風景と花火を一緒に写したいと思ったから。

午後7時を超えると、混雑が物凄いものとなり、花火が始まる頃には河川敷が見物客でいっぱいになった。
芝生だけではなく、アスファルトの通路部分にまで人がびっしりと座り込んでいる。
さすがに札幌の夏の風物詩として、長年続けられてきたイベントだ。
午後7時40分打ち上げ開始、同8時45分に終了。
わずか1時間の花火大会だったけれど、札幌っ子にとっては爽快なイベントであった。

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by kels | 2008-07-25 22:55 | 日記・つぶやき

お茶と写真の時間

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「えい文庫」読書感想日記シリーズ第3弾。
昨日に続いて、藤田一咲さんの「写真の時間」シリーズで、「お茶と写真の時間」。
「花と写真」とか「空と写真」とか、その後、続編がたくさん出ているので、僕はこの本も喫茶店なんかを撮影した写真を集めたものだと勘違いしていた。
写真を撮ることとお茶を飲むことは似ている、ということから付けられたタイトルらしい。
どちらも憩いの楽しみであり、それぞれたくさんの約束事がありながら、個人が自由に楽しむことができる。
そういう意味で、写真とお茶は似ているのだという。

構成としては、エッセイ&写真集のスタイルだけれど、写真の入門ガイドと考えることも可能だ。
写真を撮ることの楽しさ、自由さに溢れた文章は、写真を撮ることに縛られすぎたベテランの心をも解放させる。
そもそも、写真を撮る行為とは楽しいものなのだから、「自由に楽しむ」という基本を改めて説いてくれるこの本には感謝したいと思った。

どちらかというと、テクニック自慢や機材自慢になりがちなカメラの世界だけれど、撮りたいものを撮りたいように撮ることができなくなったら、やっぱりそれは無意味なんだと思う。
どんな被写体に心を惹かれるのか、それは「個人の心」に大きく左右される問題だから、人はそれぞれ好きなものを撮ることに意味がある。
当たり前のことだけれど、その当たり前のことが置き去りにされている現実がある。
これから写真を撮りたいと思っている若い世代の人にお勧め。

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by kels | 2008-07-24 21:53 | 日記・つぶやき

フラ フラ フラ

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結婚式で、昔の仲間達と一緒にいたら、SIONの古い歌を思い出してしまった。

ただの笑い話ひとつ ちょっと聞き流してくれるか
負けずぎらいの負けっぱなし さえない奴の話
学生時代というのは、みんなが同じような環境の中で、女の子と遊んだり、酒を飲んだり、キャンプに行ったり、ビリヤードをしたり、勉強をしたりしていた。
もちろん、それぞれが抱える家庭的な悩みやしがらみなんかはあったにしても、僕らは概況として同じようなグループの中で生活していたと思う。
だから、卒業しても、それはいつまでもそういうものなんだろうと思っていた。
一緒に探偵事務所を開く夢を語った仲間とか、いつか小説家としてプロになる夢を語った仲間とか、そういう仲間はそうしたグループの中だからこそ共存できていたはずだ。

あれから15年以上が経ち、我々を取り巻く環境は大きく変わってしまった。
同じ大学を出て、同じようなそこそこの人生を歩んでいるはずの仲間達は、みなそれぞれの道をただひたすらに歩き続けている。
豆腐屋で毎朝豆腐を作り続けている人生や、トラックで野菜を運び続けている人生。
企業の幹部として活躍している人生や、芸能事務所を切り盛りしている人生。
どこかで自分にもそういう人生があったんじゃないかと思うことがないわけじゃない。

ギアのあまい 2トンロングで 朝から晩まで走り回る
行けと言われりゃ どこへだって行くさ いいも悪いもないさ
やりたいことは これじゃなかった フラ フラ フラ


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by kels | 2008-07-24 21:24 | 日記・つぶやき

500マイルも離れて

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目を覚ますと、いつも午後だった。
部屋の中はとても静かで、動き始めた僕を、茶色い猫だけが眠そうな目で見ていた。
カーテンを開けると、大抵は眩しい光が流れ込んできた。
窓の外には、その土地には珍しく広い視野が開けた。

それから僕は、狭いバスルームの中に入ってシャワーを浴びた。
ほとんどお湯なんか溜めたことのない浴槽の中で、熱い湯を浴びるとようやく意識がはっきりした。
バスタオルで身体を吹きながら、僕は古いレコードを聴いた。

そうして僕の1日は始まった。

アルバイトさえなければ、僕は彼女の仕事が終わる時間まで、そうやって1日中レコードばかり聴いて過ごした。
友達はみんな働いている時間だったし、ウィークディの午後から誰かと遊んでいたいなんて思えるわけもなかった。

時々、子供を連れた若い女性がドアをノックした。
「何かお困りではありませんか」と、彼女は言った。
そんなとき、僕は彼女を部屋の中に入れて、暴力的に犯してやりたいと、いつも考えた。
新聞の勧誘も来たし、NHKの集金も来た。
けれども、大抵の場合、僕はノックの音には反応しなかった。
ノックは数回続いた後で消えていくものだと信じていた。

彼女の仕事が終わる時間を見計らって、僕は部屋を出た。
夕暮れの街並みは、僕に生きていることを感じさせた。
何もしないで生きているだけの僕にも、夕焼けは希望を見せるような気がした。
仕事を終えた人々に紛れて、僕は彼女と2人で夕食の買い物をした。

ポケットの中には、いつだって小銭しかなかった。
金に困れば、本やレコードを売り飛ばす毎日だった。
僕らは、なけなしの金で、米やパンを買った。

一番安いスーパーまで歩いたり、近くの公園のブランコで遊んだり、深夜の0時までやっている本屋で立ち読みをしたり、レコード屋を冷やかしたり、そんなふうにして、僕と彼女の夕方は過ぎた。

気が付けば朝で、気が付けば彼女は仕事に出かけている、そんな日々が続いた。

夕方、部屋の窓からは素晴らしい夕陽が眺められた。
ゆっくりとビルの谷間に沈んでいく夕陽を見ながら、僕はいつでも「500マイル」という古いフォークソングを聴いていた。

故郷から500マイルも離れて。

そんなとき、僕はどうしようもなく孤独だった。
明日のことを考えることが不安でたまらなかった。
太陽さえ沈まなければと、僕は本気で考えていた。
2匹の猫は、窓辺に腰を下ろして、僕と一緒に夕陽を見ていた。

故郷から500マイルも離れて。

もちろん、僕は故郷から500マイルなんて離れていなかった。
僕は心の中で、どこからも遠い場所に迷い込んでいただけなのだ。 

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by kels | 2008-07-24 21:12 | 小さな物語

ミノルタ ハイマチックF

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プレゼントでもらったミノルタ ハイマチックFの仕上がりを書いてなかった。
このカメラは、試し撮りの段階から、仲間や家族の記念写真を撮影するのに使った。
観光地などで、このカメラを構えて記念写真を撮っていると、昭和時代の懐かしい雰囲気が漂ってくるから不思議だ。

写真の仕上がりは充分に満足のいくものだった。
レンジファインダーなので、ピント合わせはマニュアルだけれど、露出は自動なので、使うのも簡単で、ピント合わせも楽しく感じる。
シャッター音の響きも心地よい。

記念写真をフィルムカメラ専門にしているのは、必ずプリントすることになるから。
デジカメだといっぱい撮った割には、プリントする写真は選別されていて、なかなかすべての写真をプリントすることにもならない。
フィルムカメラだと、とりあえず同時プリントに出すので、すべての写真をペーパーで見ることになる。
失敗写真でもなんでも、紙にプリントしたものを見るのは、やっぱり楽しい。
記念写真ともなれば、なおさらである。

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by kels | 2008-07-24 21:03 | 日記・つぶやき

花と写真の時間

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「えい文庫」読書感想シリーズ第2弾。
作者の藤田一咲氏は、脱力系写真家として最近のゆる系写真を普及啓発する役割を果たしているということで、あまり読みたいと思う本ではなかった。
実際、以前に誰かに借りて読んだときには、ほとんど響かなかったはずなのに、今回、改めて読み直してみたら、ずいぶん共感できる部分が多くて驚いてしまった。

本書は、タイトルのとおり、花を撮影するうえでの気持ちを綴ったエッセイ&写真集である。
花の撮り方解説書みたいなハウツー本はたくさん出版されているけれど、この本はいわゆるテクニック本ではない。
どらちかといえば、花を撮影するにあたっての精神論を説いた本である。
もちろん、精神論といっても難しいものであるはずもなく、要は「好きに撮ろう」「自由に撮ろう」「撮りたいように撮ろう」という考え方を示しているにすぎない。
ともすれば、写真は芸術の分野にもなってしまうから、ひとつの作品を完成させるためのハードルは高く、決まり事も少なくない。
でも、花の写真だって基本は楽しいから撮る、ということに尽きるわけで、小手先のテクニックに捕らわれるのではなく、好きなように花を撮って楽しもうという姿勢は、カメラを持つ者の気持ちを軽くしてくれるだろう。

ところで、久しぶりにトイカメラのVivitar Ultra Wide&Slimを持って、紫陽花の写真を撮りに行ったのだけれど、このトイカメラはやっぱり扱い方が難しい。
天気が良くなかった時点で予測はできたのだけれど、Vivitarならではのビビッドな色合いがなかなか再現できなかった。
広角レンズの楽しさというのはあるけれど、トイカメラならではのアンバランスな再現力を楽しみたかった。
写真は天気ではないと思うけれど、トイカメラの活躍する場所は、やっぱりまぶしい太陽の下なのかな。

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by kels | 2008-07-23 22:24 | 日記・つぶやき

夜明けの尾崎豊

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自動車の免許を取ったばかりの頃、僕は本当に良く自動車を運転して出歩いていた。
大抵は学校が終わった後で、僕は遊びに出かけるのだけれども、学校を出るときには必ず誰かが一緒だった。
それは男の子も女の子も関係のない無意味な集団であったのだけれども、僕らはただ無駄にガソリンをまき散らして、走ることのできる道を意味もなく走った。

誰かが「お化け屋敷を見たい」と言ったので、東米里だか雁来だかの方にあったお化け屋敷を見に行くと、同じように肝試しに来ていたグループがいて、意気投合の結果、札幌中の怪談の名所を一晩かけて回ったこともあった。

ただ、朝日が見たいという理由だけで、僕らは積丹まで深夜の国道を飛ばしたし、道が続いていればどこまでも走るといった感じであった。

近所のガソリン・スタンドで働いていた少年達と気があって、仕事の終わった彼らを交えて、僕らは一緒に夜の街を走った。
自動車の少ない郊外の狭い道を100キロ以上の高速で走りながら、僕らは2台の自動車を併走させて、運転手と隣の自動車の助手席の人間とが手を握りあって走るなどといった気違いじみた行動さえ、そのころにはためらいもなくできたのだ。

まるで1晩だけの魔法にでもかかったように、僕らは自動車を走らせては、何かを求めていたように思う。

仲間達を家まで送り届けて帰る道のり、それは大抵明け方であったのだけれども、僕の自動車のステレオはどうしてか尾崎豊を流していた。
尾崎を好きだった女の子がいつの間にか聴いていたものなのだろう、その尾崎はなぜかいつも「米軍キャンプ」という切ないバラードを歌っていた。

夜明けの住宅街はまだ眠りから覚めてはいなくて、そんな街の中に僕はいつも帰っていった。
いつもは生きている信号が黄色の点滅になっているような時、今でも僕はあの頃の夜明けの住宅街と尾崎豊を思い出してしまう。
今では、どこにいて、何をしているのかさえ分からないあの頃の仲間のことを静かに懐かしんでしまう。
それは、20代さえも思い出にしてしまった、僕の大切な記憶だからだ。

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by kels | 2008-07-23 21:26 | 小さな物語

オートハーフで動物園散歩

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先日、買ったばかりのリコー・オートハーフSEの試し撮りを兼ねて、円山動物園へ行ったときの写真ができあがってきた。
安かった割に、状態はバッチリで、ハーフサイズカメラならではの魅力を楽しませてもらった。
けっこう鮮やかな色が出ているのがすごい。
さすがに逆光には弱いけれど、それがまた味を出していたりする。

実は、オートハーフを使った後で、オリンパスペンEE3を使ってみたのだけれど、使いやすさという点では、ペンの方が優勢だと思った。
軽くて疲れないとか、持ちやすくて撮りやすいという部分で。
でも、オートハーフの自動巻き上げはやっぱり大きな魅力で、撮影後にフィルムを巻き上げなくてもいいから、デジカメ感覚で連写することができる。

ハーフサイズカメラだから、描写が甘いのは魅力と考えるべきなんだろうな。
実際、ハーフで撮っていると、ちょっとぼんやりとしたこの描写に、ついついハマってしまうんだな。

HP更新しました!
「リコー・オートハーフで円山動物園散歩」
http://camera21.nobody.jp/


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by kels | 2008-07-23 21:11 | 日記・つぶやき

スナップショット

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写真やカメラのノウハウ本とかハウツー本みたいなのはたくさんあるけれど、あんまり読んだことがない。
習うより慣れろではないけれど、頭で考えるより体で感じた方が、写真の場合には良いような気がしているからだ。
それでも、最近は「えい文庫」みたいに、ハウツー本とはちょっと違う視点で、写真やカメラをテーマに読みやすいエッセイものが出版されているので、こちらはけっこう愛読したりしている。
というわけで、何度かに分けて「えい文庫」読書感想日記など。

まずは、「横木安良夫流スナップショット」。
僕は、その日の気分で手当たり次第にいろいろな写真を撮るけれど、もっとも興味のある分野は、やはりスナップ写真の分野である。
ランキングでも「スナップ写真」カテゴリに登録しているくらいで、特に街中でのスナップ写真は写真の基本だと思って、できるだけ定期的に撮るように心がけている。
もっとも、一口にスナップ写真といっても、さらに様々なカテゴリに分類することができるようで、僕の場合だと、街の中に人がいる写真、というのが基本になる。
街だけでは物足りないし、人だけでは意味がない。
街には人が存在してこそ成立するものだし、人は街を物語る上での付加価値みたいなものだろうか。
だから、僕はポートレート的に人を撮ることはほとんどなくて、どちらかというと、そこに人がいると感じることができれば良いと思っている。

さて、この文庫本は、タイトルに強く惹かれて購入した。
スナップ写真の分野というのは、もっとも基本的なジャンルのようでありながら、ハウツー本などではなかなか主役になりにくい分野らしい。
この本のように、堂々とスナップショットを掲げるというのは、そういう意味でもインパクトがあった。
内容的には、作者のたくさんの作品を掲載しながら、スナップ写真に対する作者の思いを綴るといった構成で、いわゆるハウツー本よりもずっとおもしろいし、撮影のコツを見つけるのにも役立つはずである。
実際、写真というのは100の文章で語られるよりも、1枚の写真を観ることで教えられることがある、不思議なジャンルだから、たくさんの作品が掲載されているということは、とても重要なことだと思った。
(その点、このえい文庫はきわめて充実した内容となっている)

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by kels | 2008-07-22 21:57 | 日記・つぶやき

海辺の記憶

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その夏のある日に、僕はある海沿いの街を仕事で訪れていた。
馬車馬のような生活をしていた頃のことで、とにかく一通りの仕事を片づけた後、僕はその海沿いの街に昔少しだけ関わり合いになったことのある女の子が住んでいることを思い出した。

関わりといってもそれは本当に些細な関わりだったから、僕はずいぶんとためらったのだけれど、結局は彼女が働いていると思われる小さな会社を訪れて、彼女の名前を告げた。
驚いたことに彼女は僕の名前を記憶していて、僕の突然の来訪をひどく喜んだ。
それから僕らは一緒に夕食をとる約束をして、待ち合わせ時間を決めた。

実際のところ、僕が彼女と正式に会って話をするというのは初めてのことだった。
僕と彼女とのコネクションのほとんどは電話によるものだったし、現実的に僕が彼女と二人きりで会ったりするには困難な事情がいくつもあった。
だから、正直に言ってしまえば、僕が彼女の存在を思い出したのはその海辺の街の小さな商店の看板を見てからであり、その瞬間まで僕は彼女の存在さえ、きれいに忘れていたのだ。

夕方、僕らは約束の時間ちょうどに落ち合い、僕の運転する自動車で海岸線をドライヴした。
僕らはまるで数年前に少しだけ関わりを持った間柄とは思えないくらいに、最初から打ち解けていた。
僕は僕の抱えていた女の子とのトラブルについて話し、彼女は彼女が抱えていた仕事上のトラブルについて話をした。

「このまま、この街にはいられないと思うの」と、彼女は言った。
彼女はこの街の小さな事務所でアルバイトのような仕事をしていて、早く定職につきたいのだけれど、この街ではなかなか仕事がないのだというようなことを言った。

札幌は、どう?と、彼女が言った。
「どこも同じだと思うよ」と、僕は答えた。
けれども、もちろん僕だって、「どこも同じ」だとは考えていなかった。
この海辺の街よりは、札幌の街の方が仕事だってなんだって多いに決まっているのだ。

彼女を送り届けて、予約していたホテルに向かう頃には、既に深夜の2時を過ぎていた。
カーステレオからはエコーズの「友情」が流れていて、僕はぼんやりした気持ちのまま、辻仁成のボーカルを聴いていた。
あの頃、僕のカーステレオからは、いつでもエコーズの素朴なロックンロールが流れていたような気がする。

その夏、僕は彼女と何度か約束をして会い、やがて彼女は札幌の街にやってきた。
札幌の街で新しい生活を送るためだ。
そして、僕は札幌に出てきた彼女と会ったりすることはなかった。
僕にも新しい生活が訪れていたからだ。
やがて、数度の電話と数度の手紙の後に、彼女は街の人混みの中に消えていった。 
今でも僕は、時々思い出したように、ブレイクすることなく消えていったエコーズの懐かしいメッセージソングを聴いてみては、あの夏のことを思い出している。

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by kels | 2008-07-22 21:57 | 小さな物語