今日は冬至である。 風習に従い、カボチャの入った小豆しるこを食べた。 一年に一度のお汁粉である。 こういうことを書くと、北海道ではカボチャ入りのお汁粉を食べる風習があると思われそうだが、それが正しいかどうか、僕には分からない。 なぜなら、広域な北海道において、風習とは決して均一なものではないし、時代による変化も少なからず考えられるからだ。 「北海道の風習」などと単純に断言できるものは極めて少ない。 『聞き書 北海道の食事』(1986年)には、冬至の日の食事について、次のような記述がある。 冬至にはかぼちゃ入りのおしるこを食べると、中風にならないといわれているので、このときはどこの家でも、小豆じるこをつくり、この中にかぼちゃの大切りを入れたり、かぼちゃに澱粉を入れてかぼちゃだんごにしたのをしるこに入れて食べるのである。 これは、北海道の中でも、道東十勝地方の食事として紹介されているものである。 かぼちゃ入りしるこには、おからの炒めものと白菜の漬物を添えた写真が掲載されているから、これで一食を済ませたということなのだろう。 小豆もカボチャも貴重な食材であった時代には、当然のことだと思われる。 また、道南松前地方では、冬至の食事として次のように紹介されている。 冬至には、小豆かぼちゃを食べる。 さらに、羽幌町焼尻の記録もある。 冬至には、砂糖で味付けをした煮小豆の中にかぼちゃを入れたかぼちゃがゆを食べる。 道北の旭川では、次のようになっている。 冬至には、中風にならないようにとかぼちゃを食べる。 このように、ひと口に北海道といっても、その風習は地域によって様々で、同一地域の中においても、家庭による違いが相当大きかったのではないかと思われる。 冬至にはかぼちゃを食べるという全国的な風習(冬至かぼちゃ)が、それぞれの地域の事情の中で、多くのバリエーションを生んだことは間違いない。 カボチャだけではなく、小豆の煮たものを一緒に食べることは、広く行われていた風習であったのだろう。 さて、そのように個性的な風習も、各家庭で小豆を煮て、カボチャを茹でていた時代のものであり、完成品を小売店から購入するようになると、風習はたちまち広い地域で均一化していく。 地域や家を単位として伝承されてきた風習が、小売店を拠点として画一化された風習へと変化していくのだ。 現に、我々が受け継いでいる多くの「風習」は、この画一化された「風習」に他ならない。 ということで、札幌丸井今井の「一久大福堂」で、小豆の煮たやつにカボチャと白玉団子を乗せたもの(かぼちゃ白玉ぜんざい)を買ってきて食べた。 これで一年間は中風になる心配はない(笑) 中風という言葉も、最近は聞かなくなったような気がするけれど。 夕食後は、湯船に柚子を浮かべた柚子湯に浸かり、今年の冬至も無事に終了。 一年の中で、時々こうやって昔の言い伝えについて考えてみることも、なかなか悪くないことだと思う。 言い伝えの中には、多くの場合、何らかの深い意味がある場合が多いからね。 にほんブログ村 ↑↑↑↑↑ 「にほんブログ村」に参加をしてみました。 1日1回のクリックをお願いいたします!
by kels
| 2013-12-22 23:31
| 観光・風物詩
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