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石狩浜のキャンプ

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学生の頃、平日に海へ行くというと、石狩浜へ向かうことが多かった。
なにしろ、札幌市内からすぐ近いから、授業が終わった後に出かけても、夕方まで十分に遊ぶことができたからだ。
真夏とはいえ、平日の石狩浜は比較的人が少ないから、学生たちが騒いで遊ぶには、ちょうどぴったりという感じである。

一度だけ、この砂浜でキャンプをした。
海辺のキャンプといえば、できるだけ札幌から離れた方が海の水がきれいになると言われていた。
銭函よりは蘭島、蘭島よりは積丹といったみたいに。
それでも、アルバイトなどで時間に制約のある仲間たちがキャンプへ行くには、札幌から近い石狩浜はやはり都合が良かったのだ。

ビールを飲みながら、バーベキューをして、焚火を囲みながら、星空を眺めた。
好きな女の子の話や卒業後の夢について語り合っているだけで、夜はあっという間に更けた。
みんな、それぞれに同じようなトラブルを抱え、同じようにやり切れない悩みを持て余していた。
卒業までの残り時間は、夜明けを待つカウントダウンみたいに、僕らのすぐ後ろまで近づいていた。

テントの中に寝転がっても、波の音が気になって、一晩中まんじりともできなかった。
夜明けの浜で焚き火を燃やしていると、同じように眠れなかった仲間たちが一人ずつ起き出してきて、沸かしたての熱いコーヒーを飲んだ。
キャンプの早朝は、みな一様に無口だった。
誰も、昨夜の女の子の話や就職の話なんか思い出したりもしない。
ただ黙って熱いコーヒーをすすりながら、焚火の炎をじっと見つめた。

あれから、北海道中の様々な場所で何百回となくキャンプをしてきたけれど、あの石狩浜の夜だけは、その他のどのキャンプとも違う何かがあったような気がする。
うまくいかない恋や社会へ出ていく不安が、僕らをやたら臆病にさせていた。
本当に辛いことは、そこからもっと先に訪れるのだということも知らずに。


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by kels | 2012-07-22 06:32 | 日記・つぶやき | Comments(0)
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