夜景とセットで見学できるため、個人的にもお気に入りの「ろいず 小熊邸」。 昭和初期に建てられた民家を移築、再利用しているものだけれど、コーヒーを飲むついでに建物ウォッチングもできるので、かなりお薦めである。 もっとも、移築の際に手を加えられたことに不満を持つ専門家も少なくないことは事実。 建物は、本来、その建物が建つ場所で、そのままに保存されるのが何より理想的だからだが、解体されて永遠に失われてしまっては意味がないから、当時の面影が残っただけでも、ラッキーだったなあと思うよりほかない。 何だかんだ言いながら、この建物は、札幌における田上義也作品の中でもっとも有名な建物のひとつになった。 なにより、田上作品が次々と失われている状況の中で、戦前の建築作品がきちんと残されているという状況は奇跡にも近い。 腹が立つ話ではあるけれど、古い建物が残されていくということは、それだけ大変なことなのだ。 円山の環状線に面して建っていた旧相内邸(レストラン「アン・セルジュ」)なども、あっという間に解体されていたし、油断していると、昨日あった建物が明日には存在しないかもしれないのだ。 グチっぽくなってしまったけれど、フランク・ロイド・ライトの元で帝国ホテルの建築に携わった田上義也の昭和初期の作品には、ロイドの面影を随所に見つけることができて興味深い。 建築探偵・藤森照信氏の「昭和住宅物語」にも田上義也は登場するけれど、紹介されている作品が、いずれも小樽市内のものであるのは残念(坂邸と坂牛邸)。 もっとも、その坂邸も火災で焼失しているわけで、建物の保存は本当に難しいものなんだなあと、つくづく思う。 そんないろいろなことを考えると、この小熊邸、100%の保存ではないかもしれないけれど、北国が生んだ名建築家の、札幌における名建築作品として、いつまでも継がれていってほしいと、心からそう願っている。 ↑↑↑↑↑↑ 「ブログ村」への参加を始めました。1日1回、クリックをお願いします。
by kels
| 2009-06-09 20:25
| 建築・景観
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Comments(4)
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サラリーマンレポート
at 2009-06-10 00:26
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旧小熊邸の旧という接頭語には深い意味があったのですね。ここで頂くコーヒーには、過ぎ去った時間の味わいを感じます。テラスで風にあたりながら飲むコーヒーも格別です。東京でも昭和を生き抜いた建物が次々と姿を消しています。仕方ないことかもしれませんが、寂しさと郷愁に誘われます。
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ごんたん
at 2009-06-10 11:42
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屋根の色合いといい、レンガの煙突といい、壁の模様といい
とても、絶妙ないい感じをだしていますね。 実際に見たら、もっと感動してしまいそうです。 後ろの、木々も、又、建物を引き立ててくれて、「ろいず 小熊邸」ですね 何だか、やっぱり、北海道の家は、旅情を、かきたてられます。 あ~~行きたい・・・でも、今は、後に続くものがありません。 一人で行ったら、家内になんたら、かんたら、言われそうです(笑)
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kels at 2009-06-13 07:44
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kels at 2009-06-13 07:45
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by kels カテゴリ
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