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初売り

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札幌市内の多くのお店では、1月2日の今日も初売りを行い、街には福袋を買い求める人達の姿で賑わった。
明治になって本格的な開拓が行われた北海道の場合、1月2日に初売りが行われるということは、伝統的なものであるらしい。

例えば、「さっぽろ文庫26 明治の話」(札幌市刊行、1983年)の中に、南1条西6丁目の雑貨店に生まれた老女の話の中に、明治期の初売りについての述懐が詳細である。
以下、その一部を引用してみる。
商売、ことに小売りをしている家の楽しみは、何といっても初売りでした。
二日の早朝から初荷を出すため、暮れになると米を何十俵も店の前に積み上げ、醤油や味噌も樽のまま店先に揃えるのです。
元日は夜通し提灯をつけっ放しにし、番兵のおじさんが立ちます。
雪の地面に穴を掘り、炭俵を一俵ごとその中にあけ、カンカンと火をおこして、夜通し不寝番につきます。
番兵役の人は、つまごの先に布を巻いて足の冷たさを防ぎ、犬の皮のチョッキを着て、それはものものしい格好をしていました。
店の中では、お正月にお配りするお年始の用意に大騒ぎでした。
店の名を染めた手拭いや風呂敷、瀬戸物などに、年の初めごとに渡す新しい通い帳を差し上げるんですよ。
そして二日の朝、馬車屋に頼んだ何台もの馬そりが勢揃いし、米や日用品を積み上げて出発します。
石油缶をガンガンはたいてはお得意さんごとに、米一俵、醤油一樽と景気よく届けて歩くのです。
それは賑やかなものでした。
また、南1条西4丁目の商店に生まれた古老も、初売りの様子を詳しく述べている。
初荷の時なんか、米一俵でも馬車にくくりつけ、五人も六人も乗ってガンガンはたきながら配達したもんです。
近い所でもわざわざ遠回りしてね。
ウチには一台しかないので、運送屋から何台も馬車が手伝いにくる。
元旦の夜からそんな準備に入るんで、正月というと初荷の忙しさ、賑わいが一番記憶に残っています。
手伝いの人にも印ばんてんを着せて、別染めの手拭い配って、樽酒の鏡抜いて、飲みたいもんは自由に飲め、といった雰囲気でしたよ。
他の話などを見ても、商売は大晦日まで賑わい、元旦一日のみ休んで、2日からは盛大な初売りを行うのが、札幌市内の商店の正月だったらしい。

同じく「さっぽろ文庫36 狸小路」の中では、昭和20年代後半の正月風景について触れて、「正月といえば年中無休の開店活気で、元旦から夜遅くまで開かれていて、小雪降る夜に並び輝くスズランネオン通りは多くの晴れ着客の賑わいとなって、さわやかな正月風景であった。(中略)昭和三十年代以後元旦、二日と商店街は休業になり映画館だけが開かれていて昔の賑わいを知っている者には少しさびしい正月を感じたものだ。」とあり、従業員の労務問題に対する意識向上が正月の休業に結びついていることを推測させる。
その後、競争力の高まりにより、初売りは2日へと戻り、現在では一部の大型ショッピングセンターが元旦から営業しているほどである。

晴れ着姿で歩く正月風景は消えたけれど、買ったばかりの福袋をいくつもぶら下げて歩く人達の姿が、現代の正月風景ともいえる。
正月に買い物を楽しむ庶民の気持ちには変わりがないものと信じたい。

※上の写真は、福袋を持った若者達で賑わう4プラ前の風景


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by kels | 2009-01-02 21:49 | 観光・風物詩 | Comments(2)
Commented by ☆asami☆ at 2009-01-02 22:35 x
あけましておめでとうございます(*^o^*) 今年もよろしくお願いします☆
今日も街はすごい人でしたよね!私も午後から札駅に行きましたが人混みですぐに疲れてしまいました。
神宮にいってらしたんですね!お正月にも外国人の方が多いんですか~!近年、アジア系の観光客が多いですよねぇ。
Commented by kels at 2009-01-03 18:17
☆asami☆さん、あけましておめでとうございます!
僕も今日サツエキに行きましたが、本当にすごい混雑でした。
お正月に神宮に外国の観光客って、なんだか意外な感じでしたけど、これからは定番になるのかもしれませんね~。
今年もよろしくお願いいたします☆
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