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「短歌写真展」を鑑賞して

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週末、小さなカフェを会場にして開催されている「短歌写真展」というのを観に行った。

写真と文章とを組み合わせる表現方法というのは、昔からあった。
写真と定型詩ということでは、ミステリー作家である森村誠一の提唱により大きなブームとなった「フォト俳句」などというのもある。

僕は、写真も俳句も好きだったので、一時期、このフォト俳句というのに参加したことがある。
実際にやってみて、あまりの難しさに途中で逃げ出してしまった。
写真も俳句も、鑑賞者の想像力を大いに利用して感動を高める表現方法である。
写真に説明的な俳句が付いたり、俳句に説明的な写真が付いたりすることで、鑑賞者は想像力を制限されてしまい、自分自身の自由な想像による作品鑑賞がてきなくなってしまう。

互いに制限することのない作品を組み合わせることが重要なのだが、それは決して簡単なことではない。
考えてみると、自分で納得のいく写真一枚、俳句一句を作りだすだけで大変な作業なのに、二つを組み合わせて互いを高め合う作品を編み出すというのは、実に高度な技術である。
写真も俳句も中途半端だった自分には、付いていくことのできない世界だったらしい。

写真と短歌との組み合わせというと、写真家・タクマクニヒロと、歌人・加藤千恵とのコラボレーションによる作品集「写真短歌部 放課後」が出版されている。
さすがに、二人ともプロフェッショナルということなのか、この作品集は、読者の想像力に直接訴えかけるような力強い作品で構成されていて、とてもお勧めの一冊である。

さて、そんなことを頭の片隅で考えながら、展示会場となっているカフェへ到着。
いわゆる古民家カフェの流れで演出されているカフェの一室が、展示スペースである。
小さな和室にちゃぶ台が置かれていて、二人連れの女子がおしゃべりを楽しんでいるといった、小さな空間だ。
「お邪魔しま~す」と心の中で呟きながら、部屋の中へ入る。

作品展示は、想像していたような、写真一枚に短歌一首が組み合わされているものではなく、写真と短歌が、それぞれ独立して展示されていた。
複数の短歌作品が並べられた白い紙が、プリント写真の中に紛れ込んでいるイメージ。
この方法だと、写真と短歌が、それぞれに干渉し合う危険性は少ない。
一方で、写真の間に挟まれている文章が、写真とは別の次元で鑑賞者の感情を刺激し、その刺激が写真をより情緒的な作品へと高めている。

写真も短歌も繊細で鋭敏な感覚を匂わせていた。
特に、短歌作品については、展示だけではなく、作品集として鑑賞したい欲求を感じた。






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by kels | 2012-10-14 20:47 | 写真・カメラ | Comments(0)

狸小路のナイトバーゲン

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毎年恒例となっている狸小路のナイトバーゲンへ行ってきた。
狸小路1丁目から7丁目まで、通路にテーブルや椅子が並べられて、道の両脇にはビールや焼き鳥などを販売する露店がずらりと並んでいる。
いかにもな夏らしさを満喫するには、ぴったりのイベントで、どこの会場もたくさんのお客さんでびっしりと埋め尽くされている。

狸小路7丁目の骨董モールの前では、骨董市が開催されていて、ワゴンに並べられた骨董に人が群がっている。
もっとも、骨董といっても、ジャンクに近いものが多く、値段もコインで購入できるようなものが中心だ。
酔っ払いが商品を触りまくっていくのだから、高価なものを並べる必然性は、確かに全然ない。

屋台でつまみ食いをしながら、7丁目から1丁目までをブラブラと歩く。
「ABCマート」で、夏のスニーカーを1足購入。

毎年、すごい盛り上がりを見せているのは、狸小路6丁目のライブステージ。
ラテン音楽を演奏するバンドが登場して、真夏らしい賑わいを演出している。
今年も、路上に溢れた観客が、ビール片手にサンバのリズムに酔いしれていた。

帰り道、狸小路8丁目に入ると、突然の静寂が訪れる。
いつものように「FAB cafe」に寄り道して、マンゴーソーダを注文。
「6丁目のライブ、すごい盛り上がりでしたね」と、マスターが笑った。


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by kels | 2012-07-28 21:58 | 夏のこと | Comments(2)

北海道神宮にて満開の桜を見る

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大型連休最終日、昨日までの雨がようやくあがったということで、北海道神宮まで桜を観に出かけました。

午前中に街で用事を済ませて、円山公園へと向かったのは昼少し前。
自動車だったので、まずは駐車場探しです。
マルヤマクラスは、立体駐車場内で30分待ちの表示が出ていたため、少し離れたコインパーキングへ自動車を入れました。
マルヤマクラスまで3分程度の場所なのですが、駐車場はガラガラ。

マルヤマクラスでお弁当を買って、円山公園へと向かいます。
公園内は、既にたくさんの花見客で埋め尽くされていますが、肝心の桜はほとんど散ってしまって、雨の間に見ごろを過ぎてしまったようです。

野球グラウンド側に、ちょうど見ごろの桜があったので、その下でお弁当を食べて、簡単な花見をしました。
もっとも、空は曇り空、時折、強い風が吹く中で、食事を終えたら、そそくさと歩き始めることに。

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ジンギスカンの煙が立ちのぼる公園を通り過ぎて、北海道神宮への石段を上りました。
たくさん並んでいる露天を超えて、梅園へ歩いて行くと、その周囲の桜がまさしく満開の見ごろでした。
ちょうど、今日が見ごろの桜で、とりあえず、満開の桜に会うことができて良かったです(笑)


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by kels | 2012-05-06 18:04 | 春のこと | Comments(2)

札幌の桜も咲き始めました

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昨日今日と20度を超す暖かい日が続いたおかげで、桜の開花がぐっと進んだような気がします。
藻岩山では、木によっては既に開花している枝もあり、今週末にはお花見を楽しむことができるかもしれませんね。


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by kels | 2012-04-30 21:39 | 春のこと | Comments(0)

大通公園散策「大通公園西4丁目」

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札幌中心部の大通公園西4丁目は、たくさんの人たちで賑わうスポットです。
地元の人たちも観光の人たちも、ここで一休みして、お弁当やトウキビを味わっています。
その憩いの象徴が、この大きな噴水です。

この噴水は、昭和43(1968)年、北海道と札幌の創建100年を記念して設置されました。
噴水中央の水盤は、7枚の花びらをかたどり、噴水の下には北海道章が描かれています。
夜はライトアップされ、光に輝く水の流れが楽しめます。

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西4丁目の噴水は、とにかく最強の噴水です。
雨が降っているわけでもないのに、噴水の西側はご覧のとおりびしょ濡れ状態。
気温の高い日には、水しぶきを浴びながら歩くのも楽しいものです(笑)
ただし、カメラの水濡れには、要注意。

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西4丁目唯一の記念碑が、昭和56(1981)年に設置された「吉井勇歌碑」です。
作者は、小谷博貞。

歌人・劇作家の吉井勇(1886-1960)は、昭和30(1955)年に札幌を訪れ、「北遊小吟」5首を詠みました。
その中の一首であるこの歌には、ライラックを愛する札幌市民の心情が表現されています。
ライラックは、明治の中ごろに北海道に入り、庭木や生垣として植えられてきました。
大通公園では、昭和34(1959)年からライラックまつりが開かれ、その翌年には「札幌の木」に選ばれました。
現在、園内にはライラックの木が400本ほどあり、5月下旬~6月中旬が花の見ごろです。
「リラ」とは、ライラックのフランス語(Lilas)での呼び方です。



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by kels | 2012-04-30 20:59 | 札幌のこと | Comments(0)

大通公園散策「大通公園西3丁目」

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大通公園3丁目は、記念撮影ポイントも多く、観光にもお勧めのスポットです。
天気の良い日には、芝生の上で寛ぐ人たちの姿を、多く見かけることもできます。

まずは、昭和31(1956)年に設置された「牧童の像」です。
作者は峯孝。

牛乳生産100万石突破を記念し、酪農関係者によって建てられた子牛と少年の像です。
戦後に大通公園に建てられた像の第1号です。

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昭和51(1976)年に設置された「湖風の像」です。
作者は、山田良定。

昭和50(1975)年の日展で特選を受けた青年像です。
製作者の山田良定は、「若者の心に湖の風のような清らかな息吹を感じてほしいと同時に、それを今の社会に求めたい」と述べています。

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西3丁目の憩いの象徴とも言うべき「噴水」です。
気温の高い日には、涼を求めて人々が集まる空間となっています。

昭和37(1962)年、大通公園初の噴水が、この場所につくられ、現在の噴水は、平成3(1991)年にリニューアルされたものです。
吹き上げる水は、15分間で16通りの形に変化し、夜はライトアップされます。
撮影スポットとして人気があります。


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大人気の像といえば、「石川啄木歌碑」です。
昭和56(1981)年に設置されたもので、作者は坂担道。

北海道ゆかりの歌人・石川啄木(1886-1912)の没後70年を記念して建てられました。
明治40年(1907)年、啄木は函館から札幌へ来て2週間ほど過ごし、小樽へと旅立ちました。
啄木は、札幌の印象を「美しき北の都」と綴っています。

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最後は、最強の記念撮影ポイント「泉の像」です。
かつて、旅行中の女子3人組に声をかけられて、カメラのシャッター押しをしたときにも、彼女たちは全員、像と同じポーズで記念撮影(笑)
バックに、さっぽろテレビ塔と噴水が入るので、札幌の大通公園らしい写真を撮ることができます。

元ニッカウヰスキー会長の竹鶴政孝氏が寄贈したブロンズ像です。
作者の本郷新(1905-1980)は、札幌出身で日本を代表する彫刻家です。
本郷は、この作品について、「踊り子が先にあったのではなく、地下から天空を支え、雲や風と遊ばせたかった。雨や雪を呼びたかった」と語っています。
本郷の遺志を継いで開館した札幌彫刻美術館には、本郷の作品やアトリエが展示されています。



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by kels | 2012-04-30 20:20 | 札幌のこと | Comments(0)

「ブラウンブックスカフェ」のファブリックフェア

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ブラウンブックスカフェ」でファブリックフェアをやっているということで、日曜日の午後、見に行ってみました。
日曜日に営業しているって、やっぱりうれしいですね。

暖かい日だったので、まずは、アイスコーヒーで一服(笑)
考えてみたら、今年初めてのアイスコーヒーです。

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ファブリックフェアの商品は、隣室のギャラリースペースで開催されていました。
アンティークやビンテージの端切れやレース、ビーズなどが、たくさん山積みになっていましたが、僕が一番気になったのは、こちらのボタン。
何に使うわけでもないのですが、ビンテージやレトロなボタンを、大きなガラス瓶いっぱいに集めるのが好きなんですよね(笑)

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ボタンの山の中からチョイスしたのは、写真のとおりです。
ガラス製のものがあると、やっぱり選んでしまいますね。

ボタンは、色を合わせて小さな袋詰めにされていて、1袋1律500円。
通常価格で1,500円相当の商品が入っているそうなので、かなりお得なセールです。

ついでに、店内に飾られていたポストカードを1枚購入。
古いピンナップ風の写真が良いです。


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by kels | 2012-04-30 07:59 | カフェ・喫茶店 | Comments(0)

「松尾ジンギスカン南1条店」の食べ飲み放題

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久しぶりに、「マツジン南1条店」へ行ってきました。
さすが北海道人、定期的にジンギスカンが食べたくなるようです(笑)

僕が子どものころに食べていたジンギスカンは、まさしくこの「松尾ジンギスカン」だったので、未だにマツジンは定番ジンギスカンとなっています。
(お店によってジンギスカンも様々なのです)

日本生命ビルの地下にある「札幌駅前店」のような大きなホールではなく、さりげなく仕切られたテーブルで落ち着いて食事をすることができます。
少人数でゆったりと楽しむのであれば、「南1条店」の方がお勧め。

奥にはボックス席もありますが、この日は予約でいっぱいでした。
人気店なので、確実に利用するには事前の予約が安心です。

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出てきました、久しぶりのマツジン。
単品メニュー、セットメニューなどいろいろありますが、この日は食べ飲み放題コースをチョイス。
まあ、ジンギスカンを食べに来ているので、他の食べ物はいらないやーという方にお勧め(笑)

絶対、元は取れていないような気がしますが、ビール好きな人はビールだけで稼げそうですね。
食べ飲み放題は、元を取るとか考えずに、気楽に食べ飲みするのが良いと思いますが。

などと言いつつ、この日も食べ過ぎてしまいました(笑)


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by kels | 2012-03-28 22:33 | 食べ物 | Comments(0)

中央バスの「札幌市近郊貸切遊覧案内」

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古い中央バスの観光案内が出てきました。
その名も「札幌市近郊貸切遊覧案内」です。
デザインや内容から推測すると、昭和30年代前半のものではないでしょうか。

最初のページには、「茨戸・石狩地方」への観光コースが紹介されています。
茨戸地区は、かつて水郷と呼ばれて、人気の観光スポットでしたから、観光バスのルートとしても重要な存在だったのかもしれませんね。

水郷茨戸
石狩の古川が大きく曲がっている頂点にあり、これに注ぐ創成川、伏籠川、排水溝の落口には、鯉、鮒、ボラ等の魚が釣れ、古川とともに札幌近郊の最も好適な釣り場である。
会社直営の食堂、休憩所、釣り堀、貸船の設備があり、公園施設計画の実施とともに、将来名実ともに総合公園地となることになっている。

広告は「フランス料理・グリルとレストラン・旅館山形屋直営」「みなさまの拓銀」が掲載されています。

次のページが「千歳・支笏湖方面」への観光コースです。
今も、人気の観光地として知られているスポットですね。
支笏湖、丸駒温泉、オコタンペ、モーラップ、樽前山と、おなじみのキーワードが並んでいます。

広告は「旅館丸惣」。

次のページは、「定山渓・空沼方面」への観光ルートです。
ルートを確認してみると、「札幌」→「真駒内」→「アメリカ村」→「藻南公園・オイラン渕」とありますが、「アメリカ村」ってなんでしょうか。

ちょうど、真駒内の辺りなので、進駐軍の「キャンプ・クロフォード」と関係があるものかどうか。
これは、自分への宿題にしてみたいと思います。

その他、「銭函・小樽方面」「登別・洞爺・層雲峡方面」「ニセコ・洞爺方面」など、「札幌近郊」と言うには無理のあるエリアへの観光コースも紹介されており、当時の北海道観光の一端を垣間見ることができるようです。

ちなみに、もっとも安価な観光コースは、修学旅行用に設定されている「札幌→豊平→月寒→種羊場」のコースで、所要時間20分、料金は1台2,800円なり。
みんなが自動車を持っているわけでもない時代なので、市内ルートとはいえ、バス観光は貴重な足だったのかもしれませんね。


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by kels | 2012-03-04 21:53 | 札幌のこと | Comments(0)

吉行淳之介「札幌夫人」

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低俗とか観光小説とか、いろいろと批判の多い小説ですが、僕は大好きです、吉行淳之介さんの「札幌夫人」。
時代は昭和37(1962)年、東京から単身赴任でやってきたサッチョン族のビジネスマンと現地妻の物語ですが、ストーリーは間違いなく通俗で新鮮味のないものですが、その中に描かれている札幌の街は、まぎれもなく昭和30年代の札幌。
この作品を執筆するにあたって、作者は現地を取材旅行で訪れていますが、作者自身、これが初めての取材小説だったと言います。

「君、北海道はいいよ。ロマンチックな土地だ。原始林、たくさんの湖、アイヌ、熊、、、。元気よく行ってきたまえ」
「札幌には、熊のいる原始林はないだろう」
「それならば、鈴蘭、バター、ジャガイモ、そしてラーメンだ」

札幌には繁華街が二箇所ある。
狸小路には商店が並んでおり、薄野はバー・キャバレー街である。
薄野の高級キャバレーの並んでいる一郭を歩み抜けたすぐ眼の前に、薄暗い横丁がある。
その横丁では、片側は貧相な旅館が軒を並べ、片側は寺院の土塀がつづいている。
その塀の前に、板囲いの四角い小屋が幾つも並んでいる。
板の横腹には四角く窓が開かれ、ガラスの替りに透明なビニールが貼りつけてある。

札幌に転勤になって一ヶ月目の夏の夜、東野はキャバレー街を素通りして、この一郭に歩み込んだ。
同じ道幅だが、この横丁の入口までで舗装は尽き、雨上がりの道はひどくぬかる。
小屋を覗くと、五十年輩の女が金網の上に小さな貝を並べて焼いている。
蝋燭の灯と、金網の下の赤い炭火とが、その女の薄化粧した顔を薄明るく照し出している。

一 札幌に来たために独身生活を送ることを余儀なくされている男の全部が「サッチョン」という言葉に該当するわけではない。
二 そのことを理解するためには、「サッチョン」という言葉の発生源を調べる必要がある。私見(酒田)によれば、それは東京ジャーナリズムの造語でもなく、また、札幌に転勤してきた人たちの造語でもない。
三 どうやら、それは高級バーのホステスたちの間から生まれた言葉とおもわれる。彼女たちが自分のパトロンとして登録してもよいと認定できる範囲の男性たち、ということは、妻子を置いて転勤してきた男性で、地位と金の伴ったオジサマということになる。

つぶ焼き小屋の中に這入り、赤い炭火の前に座り、貝の煮える垢くさいようなにおいが鼻腔に流れ込んできたとき、東野は自分の中に色情が衝き上ってくるのを感じた。
その夜から十日ほど、彼はその界隈をうろつきまわった。
寺院の塀に沿った道と直角に交叉した道には、ハンドバッグを提げた女が薄闇の中に佇んでいる。
街娼である。
時によると、列を成して、女たちが並んでいることがある。
現在では、見慣れぬ乗物になった輪タクが、道傍に停っていることもある。
これはポン引きで、東野はその男に案内してもらってみたりもした。

僕は、このススキノ伝説の「つぶ焼き小屋」というものに、一度で良いから入ってみたかったなあと、いつも思います。
決して上品なものではなく、明るいものではなかったような気がしますが、それこそが本来のススキノではないかと思えるのです。
現代のススキノは無邪気に明るすぎるような(笑)


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by kels | 2012-02-24 22:05 | 文学 | Comments(2)