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今年2016年の札幌の桜の開花日は4月25日、満開日は5月1日である

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もし文芸の鑑賞に志しながら、一種の花木と言ふより外に桜を理解出来ない人があるとすれば、その人は甚だお気の毒ですが、まづ文芸の鑑賞には縁のないものとおあきらめなさい。
これは文字の読めないのよりも、稽古する余地のないだけに一層致命的な弱点であります。
その証拠には御覧なさい。
より文字の読める文科大学教授は往々――と言ふよりも寧ろしばしば、より文字の読めない大学生よりも鑑賞上には明めくらであります。

「文芸鑑賞講座」芥川龍之介(1924年)

今年2016年の札幌の桜の開花日は4月25日、満開日は5月1日である。
平年よりも早い桜の到来で、桜の花と大型連休とが見事にマッチすることとなった。
札幌的には最高の花見シーズンである。

にも関わらず、今年は桜を観る機会が少なかった。
桜の季節の天候が悪くて、気温も低かったからである。
寒い日が続いているせいか、桜の花もグズグズと長持ちをしているようだ。

桜はパッと咲いてパッと散るのが桜らしいと、僕は思う。
降ったりやんだりの曖昧な天気の中で、まるで桜の花が生殺しになっているかのようだ。
こんな桜の季節の季節もあるんだなあ。


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by kels | 2016-05-06 05:49 | 春のこと | Comments(0)

有島武郎の日記に描かれた明治時代の札幌の花見

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朝六時半起床。出校す。
二時間目より休業となりしかば有志相計りて丸山に遊ぶ。
桜花のまさに咲くあればなり。

桜の在る所、堂々たる札幌にして、只此一小仙園あるのみ。
至れば、桜株百内外之れを内地の名所に比すれば、巨人に対する一侏儒のみ。
而かも、我が目を喜ばして餘りあり。

此日、師範学校付属の生徒及び北海女学校の生徒来たりて、運動会を為す。
唱歌し、野球の技、蹴球の術、盛に戯るるの様、桜花の爛漫と夫れ何れぞ。

「観想録」有島武郎(1901年)

有島武郎の日記の中にも、札幌の桜が登場している。
上記は、明治34年5月13日木曜日の日記の一部抜粋だが、このとき、有島は札幌農学校の学生だった。
講義が休校になったため、仲間と一緒に円山公園まで花見に出かけた様子が記されている。

大都市・札幌にあって、桜の名所は円山公園1か所のみであると、有島は記録している。
その円山公園にあっても、桜の樹はせいぜい100株前後。
内地の人間にとっては、ささやかなものだったのかもしれない。

ちなみに、当時の花見はバーベキューではなかった(当たり前だが)。
有島も書いているように、当時は学校行事で運動会を行うことが多かったらしい。
野球やサッカーで盛り上がる花見というのも楽しそうだ。

有島の日記には、かつての札幌の情景が描かれている。
大人になるにつれて、観念的な悩みが多くなっていくが、明治時代の札幌を描いた貴重な記録である。
円山公園の桜が、古くから札幌市民に愛されてきた様子が分かろうかというものだ。


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by kels | 2016-05-05 22:07 | 札幌文学散歩 | Comments(0)

中城ふみ子の手紙に描かれた札幌の桜の季節

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この間大変な暴風雨で屋根がとんだりネオンが折れたりさくらもすっかり散ってしまいました。
今年はさくらの一つの花びらさへ見ることさえ出来ませんでした。
どなたか一枝持って来て下さったのでよろこんで挿して眺めてましたら梅だったのです。
私も実にぼんやりだけれど梅と桜と一緒に咲く北海道って何てこっけいなんでしょう。

「中井英夫宛て書簡」中城ふみ子(1954年)

この春、中城ふみ子は、故郷の帯広を離れて札幌で暮らしていた。
末期がんの治療のため、札幌医科大学付属病院に入院していたのである。
上記の手紙は、亡くなる4か月前に書かれたものだった。

当時、中城は、雑誌「短歌研究」の新人賞で特選を得て、歌人として全国デビューを果たしたところだった。
このとき、新人賞の選考を務めたのが、手紙の宛先である中井英夫である。
新人賞の受賞をきっかけとして、二人の濃密な文通が始まる。

医大病院に入院後も、中城は自由に外出できたらしいが、病状の悪化後は、その外出もままならなくなった。
前後に書かれた手紙によると、この頃の中城の手紙は、ベッドの上で仰向けに寝た状態で鉛筆で書かれており、熱は平均37.5℃、食欲不振で果物とジュースとお寿司だけおいしいとある。
いつも誰かにのどを押さえられているんじゃないかと思うくらい息苦しく、咳が出て、不眠が続いているような状態であったらしい。

気象庁の記録によると、この年昭和29年、札幌で桜が開花したのは5月4日のことである。
手紙が書かれた5月13日には、既に散り始めの桜が美しかったことだろう。


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by kels | 2016-05-04 06:16 | 札幌文学散歩 | Comments(0)

札幌の人の啄木好きは、そもそも、啄木の札幌好きに由来する。

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札幌はよい所なり、
安全に暮らすことさえできれば五六年は札幌に居たし、
札幌は大なる田舎なり、美しき木立の都なり、
アカシヤの並木に秋風吹き候、水は冷たし、静かにして淋しく、
しめやかなる恋のたくさんありそうなところなり。

「宮崎大四郎宛て書簡」石川啄木(1907年)

札幌の人の啄木好きは、そもそも、啄木の札幌好きに由来する。
わずか2週間暮らしたに過ぎないこの街を、啄木は相当にお気に入りだったらしい。
当時の日記や手紙からは、札幌に対する啄木の思いが溢れている。

そもそも啄木が札幌にやって来たのは、函館で焼け出されたからだった。
街を焼き尽くしたという明治40年の函館大火に、啄木も見舞われたのだ。
当時、働いていた新聞社も、代用教員として勤めていた小学校も、みな焼けたという。

知人の紹介で、札幌の新聞社に仕事を見つけて、啄木は札幌へとやってくる。
もっとも、仕事は新聞記事の校正係で、待遇も高くなかった。
すぐに、条件の良い新聞社に誘われて、啄木は小樽へと引っ越してしまう。

木立の都、秋風の郷、しめやかなる恋のたくさんありそうなる都、
大いなる田舎町に似て物となく静かに住み心地よき札幌に別れ候うは、
小生に於て決して楽しき事には無之候いき、
然も十五円の校正子より二十円の記者の方が、
貧乏に倦み果てたる小生には好もしかりに候。

「大島経男宛て書簡」石川啄木(1907年)

もっとも、啄木は生まれながらにしての流浪人である。
条件の良い仕事が見つかったとしても、札幌に定着することがあったかどうか。


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by kels | 2016-05-03 20:44 | 札幌文学散歩 | Comments(0)

ブログにも新しく「札幌文学散歩」のカテゴリーを作ることにした

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なあに、今日は雨が降るので、却々散歩に出ないんだ。
没々ハムレットにも飽きたから、ドンキホッテと出掛けよう。
雨が降つても傘がある。
電車に乗れば屋根もある。

「散歩生活」中原中也

僕の趣味は札幌に関する文章を読むことである。
小説随筆日記、有名無名、あまり構わない。
できれば古い時代の札幌について書いてあるもの。

ブログにも新しく「札幌文学散歩」のカテゴリーを作ることにした。
文学の舞台を実際に訪れてみて、写真を撮り、文章を書こうというものである。
実はこういうことは、今まであまりやっていなかった。

「文学散歩」なんて言うと、実は意外と難しくて面倒なことが多いような気がしていたのである。

このカテゴリを作るにあたって決めたこと。

あまり調べないこと。
正確性や事実性を追求しようとすると、いつまでも記事なんか書けやしない。
とりあえずは現地に行くことが目的である。

あまりこだわらないこと。
特に季節にこだわっていたら、文学散歩なんて成り立たない。
時間を超えた妄想を膨らませるのが、文学散歩の楽しみである。

書を持って、街に出よう。
札幌の街を、もっともっと深く知るために。


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by kels | 2016-04-30 05:40 | Comments(0)

昨日撮れなかったので、「ブルックスブラザーズ」前の桜を撮ってきた

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隅田川はどんより曇つてゐた。
彼は走つてゐる小蒸汽の窓から向う島の桜を眺めてゐた。
花を盛つた桜は彼の目には一列の襤褸のやうに憂欝だつた。
が、彼はその桜に、――江戸以来の向う島の桜にいつか彼自身を見出してゐた。

「或阿呆の一生」芥川龍之介(1927年)

昨日撮れなかったので、「ブルックスブラザーズ」前の桜を撮ってきた。
今日もそこそこに気温が高かったので、市内のあちこちで、桜の花が咲き始めている。
今週末には、お花見ができるくらいになっているかもしれない。

今の時期、開花の進んでいる桜の樹はまだ少ないから、市民の注目度も高い。
写真を撮っていると、あっという間に人だかりができてしまった。
みんなで撮れば、スナップ写真も怖くないよね(笑)


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by kels | 2016-04-24 19:49 | 春のこと | Comments(2)

久し振りに読む太宰治は、確かに青春の匂いがした

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学生の頃、地元新聞社の就職試験を受けた。
最終面接は、重役らしき複数の社員に囲まれた面接だった。
会社員というよりは、まるで文化人みたいに異様な人たちが並んでいた。

「好きな作家は?」と、長くて白いあごひげの老人がもっさりと言った。
夏目漱石と太宰治ですと、僕は答えた。
中学生の頃から、それは変わらない、僕の尊敬すべき作家だったのだ。

老人は表情も変えずに「どうして?」と訊ねた。
あまりにもありきたりで、平凡すぎる回答で驚いたのかもしれない。
就職試験だったら、もっと、それらしい回答を用意しておくべきだったのだ。

長い面接だったはずなのに、僕が覚えているのは、たったそれだけだ。

走ってみようか。
殺されたって、いい。
人は、なぜ生きなければ、ならないのか。
そんな素朴の命題も、ふいと思い出されて、
いまは、この闇の中の一寸歩きに、ほとほと根も尽き果て、
五月のはじめ、あり金さらって、旅に出た。

「八十八夜」太宰治(1914年)

社会に出て、働くようになってから、太宰は少しずつ遠くなっていった。
大人になったということなのかもしれない。
人は、太宰を幼い頃の熱病みたいなものだと言う。

久し振りに読む太宰治は、確かに青春の匂いがした。


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by kels | 2015-05-08 19:55 | 文学 | Comments(0)

今日は加藤郁乎の「俳人荷風」という本を買ってきた

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札幌ステラプレイスの三省堂書店で本を買ってきた。
連休中も本屋ばかり行っていたような気がする。
暇を持て余す日には、本屋をブラブラするに限る。

先日は、ミュンヘン大橋のコーチャンフォーで「ターザン」を買った。
読みたい雑誌はたくさんあるけれど、全部は買えないので、できるだけ吟味する。
珍しく2号続けて「ターザン」を買ってしまった。

夏が近くなると薄着になる機会が増えるから、筋トレ系の話題に目がいく。
夏までにどうにかなる気もしないけれど、もはや毎年の恒例行事である。
たまには、自分の体と向き合ってみるのも悪くない。

今日は加藤郁乎の「俳人荷風」という本を買ってきた。
俳人としての永井荷風にスポットを当てたもので、荷風研究書としても珍しい。
荷風の俳句が好きな人にとっては、うれしい1冊である。

早速部屋に戻って、ボブ・マーリーを聴きながら「俳人荷風」を読んだ。
天気も良いし、まるで夏みたいで、ボブ・マーリーのレゲエは最高のBGMだった。
天気が良いと、読書まではかどるものらしい。

そもそも、ステラプレイスに行ったのは、プレゼント用のサンダルを買うためだった。
定番ビルケンの白を買ったけれど、お店はすっかりと夏モードだ。
そのうち、自分のサンダルも欲しくなるんだろうな。

そう言えば「三省堂書店」で松本隆の訳したシューベルトの「冬の旅」のCDブックを見つけた。
「冬の旅」は大好きだけれど、できれば冬に聴きたい。
真夏の「冬の旅」っていうのも、もしかしたら悪くないのかもしれないけれどね。

夕川岸(ゆうがし)の鯵(あじ)売る声や雨あがり 永井荷風






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by kels | 2015-05-05 21:19 | 文学 | Comments(0)

ゴールデンウィークと言っても、いつもの週末と変わらない暮らしだ

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ゴールデンウィークは花見をするものだと思っている。
思いがけず桜が早くに咲いてしまうと、連休にすることがなくなってしまう。
そういうわけで、今年の大型連休は手持無沙汰の連休だ。

知り合いの女の子たちが、円山公園でお花見をしようと言う。
桜なんて、もうほとんどないよと言うと、じゃあピクニックにしようと言う。
まあ、お花見だけが出かける口実じゃないからね、と思った。

ゴールデンウィークと言っても、いつもの週末と変わらない暮らしだ。
朝5時に起床して、簡単な筋トレをしてから簡単なジョギング。
帰ってきて朝風呂に入ってから、簡単な朝食。

部屋の片づけなどしてから、街に出てブラブラする。
今日は札幌パルコで夏用の服をひとつ買ってきた。
買い物をするときは、まだ客の少ない午前中に済ませることが多い。

部屋に戻って、今年初めての冷やしラーメンを作って食べた。
気候が良くなると、無性に食べたくなるのだ。
トマトもキュウリもハムもラーメンも、みんな美味しかった。

特に用事もないのに、午後から再び街に出る。
午後の街歩きは、本当に散策といった感じで、のんびりとゆっくりとブラブラできる。
さすがにゴールデンウィークで、どこに行っても人が少なかった。

連休でセールをやっているというので、つい、スニーカーやらカーディガンやらを買いこんでしまう。
円山公園で昼寝をしている方が、散在しなくて良かったかもしれない。
街に出ると、手ぶらで帰ることのできない性格なのだ。

夕方、みんなでジンギスカンをして食べた。
お花見ジンギスカンをしなかったからというわけではないが、天気が良いとジンギスカンも美味しい。
屋外で食べるジンギスカンは、もちろん家で食べるより何倍も美味しいけれど。

夕食後は、寝るまで音楽を聴きながら本を読んで過ごす。
連休用に買ってある本とCDのストックが、たくさんあるのだ。
天気が悪くなったら、一日中部屋の中で、本と音楽に埋もれて過ごそう。

明日からもまた、こんな感じで大型連休は過ぎていくんだろうな。
カメラを持って街をブラブラしたり、美味しいものを食べさせるお店を探したり、静かで珈琲の美味しいカフェを探したり、本を読んだり、音楽を聴いたり。
それはそれで忙しいゴールデンウィークだ(笑)


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by kels | 2015-05-02 19:54 | 日記 | Comments(4)

カメラを持って街をブラブラと歩くのが楽しい季節になった

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桜が咲いて、めっきりと街歩きが楽しくなった。
街歩きだけではない。
早朝のジョギングさえも、桜のおかげで妙に爽やかな気持ちになる。

週末の街を歩きながら、つくづく春なんだなと感じたことがある。
街角のあちこちに、道行く人々の姿があるのだ。
真冬の季節には見られなかった光景である。

のんびりと散歩をしているお年寄りの姿を見かけるたびに「春なんだなあ」と思う。
北国の人々が長い冬から解放されて、自由に街歩きを楽しむことのできる季節。
この春の大切さは、暗くて厳しい冬を越えた者でなければ、理解することは難しいかもしれない。

ようやく僕も、カメラを持って街をブラブラと歩くのが楽しい季節になった。
ただ当てもなく歩き回って、何の計画もなく写真を撮るのである。
シャッターを押しながら、久しぶりに僕は写真を撮ることの楽しさを思い出していた。

行春やゆるむ鼻緒の日和下駄 永井荷風



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by kels | 2015-04-30 22:18 | 写真・カメラ | Comments(0)