タグ:レイモンド・チャンドラー ( 15 ) タグの人気記事

古いレシートのために買った本を、僕はもうすぐ読み終わろうとしている

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こんなことをいうと、君は帰ってしまうかもしれない。
僕はここで夢を見たことがある。
一年半前のことだ。
その夢がどこかにまだ残っている。
そっとしておきたいんだ。

「プレイバック」レイモンド・チャンドラー/清水俊二・訳(1958年)


古本屋でチャンドラーの「プレイバック」を見つけた。
表紙をめくると、この小説を買ったときのものと思われるレシートが挟まっていた。
レシートと一緒に、僕は「プレイバック」を買った。

古本の中には、実にいろいろなものが隠されている。
書きかけの離婚届や女子大学生の卒業旅行の写真。
僕は、ずいぶんいろいろなもの(あるいは誰かの人生)を、古本の中から発掘してきたような気がする。

レシートは、エイトビル地下の旭屋書店のものだった。
昭和61年3月12日のことで、計4冊の文庫本を購入している。
「プレイバック」は、そのうちの一冊だったのだろう。

それにしても、エイトビルという言葉も旭屋書店という言葉も、既に札幌からは失われてしまった。
そして、昭和61年という言葉も。
まるで、閉じ込められた記憶のように、レシートは古本の中で時を止めていたのだ。

古いレシートのために買った本を、僕はもうすぐ読み終わろうとしている。


by kels | 2017-06-24 07:22 | 本・雑誌・古書 | Comments(0)

りたる珈琲~ジェラテリア クレメリーチェ~RIN COFFEE~BROWN BOOKS CAFE

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彼女の髪はぞんざいに膨らんで、化粧気はまったくなかった。
ローブのほかにはほとんど何も身につけず、むき出しの脚の先には緑と銀のスリッパがあった。
瞳には表情がなく、唇はいかにも高慢そうだった。

「リトル・シスター」レイモンド・チャンドラー/訳・村上春樹(1949年)

「Pokémon GO」で遊んでいるうちに、今日一日で10km以上も歩いた。
真夏のように暑い日で、汗をかき、喉も渇いた。
水分補給のために何度もカフェに入った。

朝一番で「りたる珈琲」。
しばらく歩いて「ジェラテリア クレメリーチェ」。
午後一番で「RIN COFFEE」。
そして、夕方に「BROWN BOOKS CAFE」。

どこの店でも冷たい飲み物(あるいはジェラート)をオーダーし、渇いた喉を癒した。


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by kels | 2016-07-23 21:14 | 日記 | Comments(0)

北海道の海はビーチなんていうような格好いいものではなく、ただの砂浜である

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カリフォルニアの海だ。
カリフォルニア、百貨店のような州だ。
大抵のものは揃っているが、最良のものはない。

「リトル・シスター」レイモンド・チャンドラー/訳・村上春樹(1949年)

さっぽろ夏まつりも始まって、いよいよ本格的な夏がやってきた。
時間を見つけて海にでも行きたいところだ。
もっとも、北海道の海は、たとえ真夏であっても油断はできない。

北海道の海はビーチなんていうような格好いいものではなく、ただの砂浜である。
何しろ、海水の気温は低いから、寒くてたまらないという海水浴も少なくない。
真夏日が何日か続いたあたりで、泳ぐにちょうどよい水温になるような気がする。

それでも夏になれば海に行きたいのは、北海道の人間も一緒だ。
いっそ、北欧のように、湖畔にサウナ小屋でも建てて湖で泳ぐべきかもしれない。
北海道の海は、漁師のための海だ。


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by kels | 2016-07-23 06:39 | 夏のこと | Comments(0)

悪くないものだ。何の予定もない三連休というやつも。

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「そのとおり」と私は言った。
「私はしゃべりすぎる。孤独な人間はいつもしゃべりすぎる。しゃべりすぎるか全然しゃべらないか、どちらかだ」

「リトル・シスター」レイモンド・チャンドラー/村上春樹・訳(1949年)

世の中的に三連休の始まりを告げる土曜日だ。
夏の、上機嫌な気候の、三連休の始まり。
どおりで札幌の街にも、自動車や買い物客の姿が少ないはずだ。

もちろん、三連休だからといって、特別に予定のない者にとっては、いつもの土曜日と何も変わりはない。
つまり、僕だ。

スターバックスコーヒー、バリスタートコーヒー、プランテーション。
カフェまで出かけて本を読み、本を読むために、またカフェまで出かける。
それだけで、一日は十分に忙しいし、十分に充実した気持ちになる。

悪くないものだ。何の予定もない三連休というやつも。


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by kels | 2016-07-16 22:21 | 日記 | Comments(0)

日頃の気分転換に、僕はスタン・ゲッツの古いジャズを聴きながら本を読んでいる

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私は柔らかな深い椅子の端に座り、リーガン夫人を眺めた。
彼女は一瞥に値した。悩ましい型だ。
近代型デザインの寝椅子にスリッパを脱いで寝ころんでいた。
だから私は、すごく薄い絹のストッキングに包まれた彼女の足に眺め入った。

「大いなる眠り」レイモンド・チャンドラー/双葉十三郎・訳(1939年)

ウエスト・コースト・ジャズの気持ち良い季節になった。
日頃の気分転換に、僕はスタン・ゲッツの古いジャズを聴きながら本を読んでいる。
小説はもちろん、レイモンド・チャンドラーの古いハードボイルドだ。

時代遅れの生き方みたいだけれど、自分にはちょうど合っているらしい。
というか、こういう生き方を、もうずっと続けてきているんだけれど。
いくつになっても変わらずに好きなものがあるって素晴らしいぜ。


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by kels | 2016-07-09 22:31 | 音楽 | Comments(0)

夏を迎えるにあたって、麦わら帽子をひとつ買おうかと考えている

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やがて、かすかに海の匂いがしてきた。
ほんのかすかな匂いだった。
あたかも、ここがかつて、青い波が打ち寄せ冷たい風が吹いていた美しい海岸で、熱い息と冷たい汗でよい匂いを嗅ぐことができたのを想い出させようとするかのような、かすかな匂いだった。

「さらば愛しき女よ」レイモンド・チャンドラー/訳・清水俊二(1940年)

夏が好きなので、夏らしい雑貨を見ると、うれしくなってしまう。
水着、ビーチサンダル、浮き輪、サーフボード。
だけど、僕が今欲しいものは麦わら帽子だ。

夏を迎えるにあたって、麦わら帽子をひとつ買おうかと考えている。
夏の帽子は、既にいくつか持っているのだ。
だけど、100パーセント純粋なストローハットというものを、実は僕は持っていない。

麦わら帽子の出番なんて、きっとほとんどないだろう。
夏休みさえ、まともに取ることができるかどうか、先行き不透明で、飛行機のチケットを予約することさえできない。
今の僕に最も不必要なものが、夏の麦わら帽子なのかもしれない。

それでも僕は、新しい麦わら帽子をひとつ買おうと思っている。
せめて、夏の欠片を部屋の隅に飾っておくことで、僕は僕の夏を楽しめるような気がするから。


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by kels | 2016-07-03 20:14 | ファッション | Comments(4)

7月というのは何だかうれしいようでいて寂しい季節だ

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「気立てのいい女の子がいる」と、私は自分に言い聞かせた。
「気立てのいい女の子が好きな男なら、ただではおかないだろう」
誰も何も言わなかった。
「だが、僕はそうじゃない」と、私は言った。
それにも、誰も何も言わなかった。

「さらば愛しき女よ」レイモンド・チャンドラー/訳・清水俊二(1940年)

7月というのは何だかうれしいようでいて寂しい季節だ。
夏の始まりは、同時に、夏の終わりを暗示しているからだ。
来月には、もう夏が終わってしまう。

そんなこともあって、僕は本格的な夏が始まる直前の6月が好きなのかもしれない。

7月になって、街はいよいよ夏めいてきた。
どこの店でもバーゲンセールが始まっているし、駅前通りは歩行者天国になってお祭りをやっている。
いつの間にか、みんな夏らしい服に着替えて夏らしい顔つきになっている。

まるで、僕一人だけが季節に取り残されているような気がした。


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by kels | 2016-07-03 19:12 | 夏のこと | Comments(0)

セールで買い物をしないと、何かしら損をしたような気持ちになる。

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「いい匂いだな。どうして作るんだ?」
「荒挽きのコーヒーで、コーヒー漉しを使わないんだ」
私は戸棚から砂糖を出し、冷蔵庫からクリームを出して、食卓に彼と向かい合った。

「さらば愛しき女よ」レイモンド・チャンドラー/訳・清水俊二(1940年)

7月1日から夏のセールが始まっている。
いつもの年のように、本格的な夏が訪れる前に、もう夏のセールが始まっている。
セールとは売れ残りを売りさばくための戦略ではないらしい。

セールで買い物をしないと、何かしら損をしたような気持ちになる。
特に欲しいものがあるわけでもないのに、何となく店を覗いてみようという気持ちになる。
どの店も、セール特有の高揚感に包まれている。

街には人が溢れて、夏のセールの経済的な効果というやつを、何となく感じさせる。
すれ違う人々は、たくさんの買い物袋をぶら下げている。
セールでたくさんのハッピーを手に入れたのだ。

そうして店をいくつも覗いて、結局、僕は何も買わなかった。
セールに向いていない種類の人間なのかもしれない。
もうすぐ本格的な夏がやってくるという街のムードが、それでも僕は好きだった。


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by kels | 2016-07-03 05:30 | ファッション | Comments(0)

早朝の街をタクシーで帰宅し、風呂に入り、新しいシャツに着替え、再びタクシーで街に戻った

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顔は横を向いていたが、眼は明るく輝いていた。
しかし、愛らしく、無邪気な女であるかどうか、それは私にはわからない。
美しいことは確実で、たしかに男たちに騒がれたであろう。
ただ、その美しさは平凡な美しさで、オフィス街の昼休みの時間に、いくらでも見られる顔だった。

「さらば愛しき女よ」レイモンド・チャンドラー/訳・清水俊二(1940年)

先週の土曜日の記録。

その日は、午後から急な仕事が舞い込んできた。
別に、よくある話で、不思議なことではない。
淡々と仕事をこなすだけだ、と、そのときは思っていた。

それは、実にやっかいな仕事だった。
札幌市内ではどうしても片が付かない仕事のように思えた。
やむを得ず、僕は帯広行きの最終列車に飛び乗る羽目になった。

列車の中で書類を作成し、帯広のホテルに到着したのは午前0時だった。

日曜日は、まさしくめまぐるしい一日だった。
帯広駅構内で帯広名物の豚丼のランチを食べたのは、午後3時だ。
札幌行き15時20分の列車に、文字どおり飛び乗った。

列車の中で、仕事の成果をまとめたが、札幌までの移動時間はあっという間だった。

本当の勝負は、札幌に戻ってからだった。
月曜日が訪れるまでに、決着を付けなければいけない仕事だった。
ようやく、決着の姿みたいなものが見え始めのは夜明けの頃だった。

寝ている時間はなかったが、着替えをしたかったし、風呂にも入りたかった。
早朝の街をタクシーで帰宅し、風呂に入り、新しいシャツに着替え、再びタクシーで街に戻った。
いつもより1時間早い、午前6時の出勤だった。

そして、それが、本当に長い一週間の始まりだった。


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by kels | 2016-07-02 05:04 | 日記 | Comments(0)

小説を読むことがストレス解消になるなんて、ずいぶん久しぶりのことだ。

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年をとった給仕がそばを通りかかって、残り少なになったスカッチと水をながめた。
私が頭をふり、彼が白髪頭をうなずかせたとき、すばらしい「夢の女」が入ってきた。
一瞬、バーの中がしずまりかえった。
活動屋らしい男たちは早口でしゃべっていた口をつぐみ、カウンターの酔っぱらいはバーテンに話しかけるのをやめた。
ちょうど、指揮者が譜面台をかるくたたいて両手をあげたときのようだった。

「長いお別れ」レイモンド・チャンドラー/訳・清水俊二(1953年)

最近はとても忙しい。
おそらく、時間的な酵素き時間以上に忙しいはずだ。
仕事をしていないときにも、仕事がのしかかってくる。

もちろん、職業人であれば、そんなことは珍しいことではない。
仕事のことばかり考えながら死んでいく人生なんて、世の中にいくらでもある。
生きるということは、働くということと同義語であるとさえ言っていい。

週末になると、死んだようになって身体を休めている。
せいぜいコーヒーを飲んで本を読むくらいのものだ。
とてもじゃないけれど、写真を撮って歩きまわるだけの力がない。

結果として、小説を読む時間ができた。
せっかくだから、古いハードボイルド小説を読み返してみようと思う。
最初に手にとったのが「長いお別れ」だった。

小説を読むことがストレス解消になるなんて、ずいぶん久しぶりのことだ。


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by kels | 2016-06-19 20:57 | 文学 | Comments(0)