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誰もが、自分自身のためにチョコレートを買っていく時代である

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2月14日の聖ヴァレンタインの祭日にも、二人は仕事に出て、松の根もとで昼食を食べた。
シェファーさんは、町からオレンジを1ダースほど取り寄せていたので、それをひとつずつ螺旋形にむいて、果汁のたっぷりありそうなところをティコに分けてやった。

「ダイヤのギター」トルーマン・カポーティ/瀧口直太郎・訳(1958年)

街がバレンタインデーで賑わっている。
2月14日の(どこかの国の)祭日が、いつから、こんなに盛り上がるようになったのだろう。
バレンタイン特需と言ってもいいような賑わいぶりだ。

あちこちのデパートで、特別なイベントが開催されている。
そして、世界中の有名な調理人がこしらえたチョコレートを、競って販売している。
それを世の中の女性たちが、自分で楽しむために買っていく。

チョコレートが女性のためのものとなった瞬間、バレンタイン市場は巨大なものへと変わったのではないか。
意中の男性のあるなしにかかわらず、高級なチョコレートが飛ぶように売れていくのだ。
世界中の職人が、血眼になってチョコレート戦争を繰り広げる気持ちも分かるような気がする。

でも、そのおかげで、男性もデパートの催事場でチョコレートを買い求めやすくなった。
誰もが、自分自身のためにチョコレートを買っていく時代である。
純粋に食べて楽しむためのチョコレートが、市場には溢れているのだ。

とは言っても、この時期のチョコレート売り場の殺気は凄まじいから、男性一人でチョコレートを買いに行くには、強いハートが必要だ(笑)


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by kels | 2016-02-13 06:12 | 食べ物 | Comments(0)

まあ、これもホワイト・クリスマスだよな、と僕は思った

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冬だった。
暖かさなどもうとうになくなったような裸電球の列が、小さな田舎の駅の、寒々とした吹きっさらしのプラットホームを照らし出していた。

「夜の樹」トルーマン・カポーティ/川本三郎(1945年)

クリスマスの朝になって、ようやく雪が降った。
朝7時過ぎ、オフィスに到着したあたりから、雪は突然激しくなった。
ビルの外の風景は、猛烈な降雪に包まれ始めていた。

仕事を終えて帰宅する頃には、雪はすっかりと降り積もっていた。
しかし、気温は高かったのだろう。
足元の雪は溶けて、歩道は大きな水溜りで人々の行く手を阻んでいるように見えた。

まあ、これもホワイト・クリスマスだよな、と僕は思った。
週末になれば、今年初めての真冬日が来て、街は少しずつ凍りつくのだ。
凍りつくときが、ほんの少し遅かったというだけのことだから。


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by kels | 2015-12-26 05:55 | 冬のこと | Comments(0)

二軍選手を買わないと決めてから、洋服を買う回数はかなり減った

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もちろんサンタクロースは本当にいるよ。
でもひとりきりじゃとても仕事が片づかないから私たちみんながサンタクロースなのさ。
私もそうだし、お前だってそうだよ。いとこのビリー・ボブだってね。

「あるクリスマス」トルーマン・カポーティ/村上春樹・訳(1982年)

街をフラフラしながら、何か用事を見つけようと思って、セレクト・ショップをいくつか覗いてみた。
だけど、結局のところ、僕の買うべきものは、特に見当たらなかった。
つまり、セールが始まっても、僕の買うべきものは特に見当たらないということになる。

二軍選手を買わないと決めてから、洋服を買う回数はかなり減った。
「値段が安い」ということは、洋服を買う理由にはならなかった。
必要なものを必要なときに買う、それだけだ。

ひとつひとつの値段は高くなっているかもしれない。
それでも、トータルでは、そんなに無駄遣いをしているという感じはしていない。
何より余計なものを買わなくなって、クローゼットがすっきりとした。

もう、この冬に冬物を買うことは、きっとないだろう。
そして僕は、年が明けたら新しい春物のことだけを考えて過ごすのだ。
セレクトショップの新しいカタログを心待ちにして。


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by kels | 2015-12-23 20:56 | ファッション | Comments(0)

明日はクリスマス・イブだというのに、札幌の街には雪がなかった

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そして僕はクリスマス・イブを、胸ときめく太っちょサンタの到来をいつものように心待ちにした。
もちろん僕はそのじゃらじゃらと音を立てるでっぷりした太っ腹の大男が煙突からどすんと落ちてきて、楽しげにクリスマス・ツリーの下に贈り物を並べていくのを見たことはなかった。

「あるクリスマス」トルーマン・カポーティ/村上春樹・訳(1982年)

クリスマスの空気を感じたくて、用事もないのに街へ出かけた。
何の用事もないのに。
考えて見ると、いつだって僕は、用事もないのに街をふらついている。

地下街の書店で文庫本を一冊買って、そのままスターバックスコーヒーに入った。
ホワイトモカのコーヒークリームラテを注文して、黙って本を読んだ。
祝日だというのに、カフェは意外と空いているような気がした。

そう言えば街全体が、意外と落ち着いていたような気がする。
クリスマスのざわめきはあったけれど、それ以上でもそれ以下でもないというか。
おかげで僕はゆっくりと小説を読み、コーヒーを飲み干し、街を眺めることができた。

あるいは、それは、街に雪がないせいかもしれなかった。
明日はクリスマス・イブだというのに、街には雪がなかった。
札幌のクリスマスとしては、それが季節感を少し損なわせていたのかもしれない。


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by kels | 2015-12-23 20:46 | 冬のこと | Comments(0)

彼女は今でも自由気ままに生きているのだろうか。

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この歌がいちばん彼女のお気に入りだったらしい。
というのも、彼女は髪が乾いてしまったずっとあとまで、夕日が沈み、たそがれの窓辺に灯がチラホラ見えても、なおそれを歌い続けていたからだ。
だが、私たちの交友関係は、最初の涼しい秋風がさざ波のように吹きぬける9月のある晩までは進展を見せなかった。

「ティファニーで朝食を」トルーマン・カポーティ/滝口直太郎・訳(1958年)

主人公のホリー・ゴライトリーが歌うのは、その夏に流行した映画音楽だった。
特に「オクラホーマ!」という映画の曲がお好みだったらしい。
---眠りたくもなし、死にたくもなし、ただ旅していきたいだけ。

自分に正直に生きたい、自由に生きたいと願うホリーの心情が、この歌には投影されていたのだろう。
発展する文明社会の中で、何より貴重なものは自由である。
ホリーは、文明社会の象徴であるニューヨークで、自由気ままに生きてみせた。

考えてみると、そういう女の子って、かつて自分の周りにもいたような気がする。
まるで野良猫みたいに勝手気ままに生きているような女の子が。
そして、僕はいつでも、そういう女の子をうらやましく思っていたものだ。

年齢を重ねるほどに失われていくものが自由だとしたら、彼女は今でも自由気ままに生きているのだろうか。


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by kels | 2015-09-27 07:41 | 文学 | Comments(2)

ティファニーで朝食を

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最近読んだ本の覚え書き。

トルーマン・カポーティの名作、「ティファニーで朝食を」(瀧口直太郎・訳)はとてもおもしろい小説だった。
これまでにも読んだことがありそうだけれど、ストーリーは全然記憶になかったので、新鮮な気持ちで物語に引き込まれた。
村上春樹がデビューしたときに、カポーティなどの影響を受けたと評されていたけれど、それも分かる気がした。

オードリー・ヘップバーンの映画のイメージが強いけれど、「ティファニー」の宝石を見ながら朝食を食べるようなシーンは原作にはない。
「ティファニー」は、彼女にとってもっとも居心地の良い空間のひとつであり、その「ティファニー」で朝食を食べるように憩えることを理想だと信じている。
ニューヨークの「ティファニー」は、アメリカの現代資本主義社会を象徴する存在であり、それは1930年代のアメリカに高まったプロレタリア革命の気運に対するアンチテーゼとも解釈できると訳者は述べているが、そうしたアメリカの社会的な背景を理解しなければ、この「ティファニーで朝食を食べる」ことの意味を理解しにくいようだ。

ところで、僕はジュエリーなんかに興味はないけれど、「ティファニー」という空間が大好きだ。
アメリカナイズされているといえばそれまでだけれど、1837年に創業されて、長い時間の洗練を受けたティファニーのデザインはやはり素晴らしいと思う。
いつかはティファニーの、それもアンティークの「マネークリップ」を手に入れて、札束をポケットに突っ込んでみたいというのが、僕の野望のひとつである(笑)


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by kels | 2008-12-15 20:51 | 文学 | Comments(0)