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次の週末からはもう、白いサンダルも青いエスパドリーユもない

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8月末のある日の午後、ムーミンパパがしょんぼりと、庭を歩き回っていました。
何をしたらいいか、わからなかったのです。
なにしろ、しなければいけないことは、自分か他の者かが、もうすっかりやってしまったように思えましたもの。

「ムーミンパパ海へ行く」トーベ・ヤンソン/小野寺百合子・訳(1965年)

夏の終わりになると、僕はこのムーミンの一節を思い出す。
季節の終わりの虚無感とでも言うのだろうか。
何しろ、夏にすべきことは、すっかりと終わってしまっているのだ。

と言って、本格的に秋の準備をするには、少し早すぎるような気もする。
中途半端な季節。
それが、札幌の8月の終わりというやつなんじゃないだろうか。

それでも、季節は確実に進行しているから、日々、僕は秋に向けた備えをしている。
夏に使った洋服や鞄や靴なんかを、この週末に片付けた。
そして、秋に使う洋服や鞄なんかを少しづつ買い足している。

夏の終わり。

次の週末からはもう、白いサンダルも青いエスパドリーユもない。
リネンのカーディガンも、海色のポロシャツもない。
僕なりの衣替えが、僕自身の中で一段落したということなのだろう。

もちろん、夏の暑さがこのままで終わるとは、あまり思えない。
9月に入れば、札幌にも残暑というやつが、きっと来るのだろう。
けれども、残暑は残暑であって、それは決して夏ではないのだ。

夏らしいことのあまりなかった2015年の夏。
せめて最後にムーミンでも読もうか(笑)


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by kels | 2015-08-30 18:27 | 旧・札幌日和下駄 | Comments(2)

随分昔のことだけれど、作家の小檜山博と一緒に仕事をしたことがある

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いつかの夜半、寝ていたところへ突然、酔った中上(健次)から電話がかかってきた。
どしたの、と聞くと、いまススキノの知らない店にいる、出てこいよ、と言う。
原稿に追われて書くのがいやになり、羽田を八時の最終便に乗って逃げてきたと笑った。

ぼくは身支度をしてかけつけ、またしても夜が明けるまで飲んで歌った。
朝方、ぼくは、「函館の女」を歌っていると、どういうわけか涙が出た。
すると、聞いている中上まで涙を流し出したのにはびっくりした。
歌い終わって、「なんであんたが泣くのよ」と聞くと、彼は、「あんたが泣くからよ、ちくしょう」と言って、ごつい手で涙をぬぐい、泣きながら「カスマプゲ」を歌った。

「さりげなく北の街」小檜山博(1994年)

随分昔のことだけれど、作家の小檜山博と一緒に仕事をしたことがある。
段取りまでやってから、実質的な作業は、後輩の女の子に引き継いだ。
打ち合わせをして、原稿をもらってくるだけの、簡単な仕事だ。

作家に会えると聞いて、彼女はとても張り切っていた。
まだ、社会人になって1年目の新人だった。
未来は、夢と希望と可能性に満ちていたのだ。

「ねえ、先輩」と、ある日、彼女が言った。
何か悪だくみを企んでいるような、ズルい眼をして笑っている。
前しか見えない彼女はいつだって、何かを企んで生きている女の子だった。

「私、小説家になるよ」
自信に満ちた声で、彼女は宣言した。
「君なら書けるって、小檜山先生も言ってくれた」

僕はため息をつきながら、デスクの上のコーヒーを飲み干した。
「君が小説を書くなんて知らなかったよ」
僕には、そもそも、彼女が小説を読む姿さえ、想像できなかったのだ。

「小説なんて、書いたことないわよ」と、彼女は言った。
「だから、これから書くの」
小檜山先生も、作品ができたら持ってきなさいと、言ってくれたらしい。

「どうしよう、人気作家になったら、今以上にモテちゃうかも」
彼女の視線は、いつだって遠い未来の夢の中にあるようだった。
「いいね、君は」と、僕は言った。

その後、僕も彼女も会社を辞めて、それぞれの人生を再スタートした。
久し振りに会ったとき、僕はそれとなく訊ねてみた。
「小説は書いているの?」

何か企んでいるようなズルそうな眼をして、彼女は笑った。


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by kels | 2015-08-30 07:14 | 旧・札幌日和下駄 | Comments(0)

札幌の街は、突然に夏の終わりを迎えているかのように、涼しい風が吹いている

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札幌の街は、突然に夏の終わりを迎えているかのように、涼しい風が吹いている。
まだ8月下旬で、残暑が厳しくても良いくらいの季節である。
季節の移り変わりと言うには、少し早すぎるかもしれない。

週末に髪を切った。
思ったよりも短くなってしまって、今さらの夏らしさ。
短い髪形が好きだから、ついつい切り過ぎてしまうのだ。

週末に秋用の服を買った。
ハイネックのTシャツと、紺色のデニムシャツ。
どこのショップにも、秋モノが次々と増殖している。

季節の移行を急ぐかのように、街行く人々にも、少しづつ秋色が増えつつある。
昼と夜との気温差が大きな季節だけに、体調管理にも注意しなければならない。
窓を開けたまま眠ると、朝の風が冷たいと感じるようになった。

まだまだ、夏にしがみつきたい季節。
半袖のボーダーシャツも、白いサンダルも、青いビーズネックレスも、最後の出番だと覚悟を決めている。


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by kels | 2015-08-23 19:40 | 旧・札幌日和下駄 | Comments(0)

そう言えば昔、札幌駅前通りには、靴磨きのおばさんたちがいたような気がする

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ある夏の夕暮れ、ぼくは知人の出版祝賀会に行くため、札幌駅前通りの歩道を歩いていた。
道のわきに、三人の靴磨きのおばさんが座っていた。
ぼくは、腕時計と自分の靴を見比べてから、客がないため本を読んでいるおばさんの前の椅子へ座った。

「さりげなく北の街」小檜山博(1994年)

そう言えば昔、札幌駅前通りには、靴磨きのおばさんたちがいたような気がする。
遠い昔に、僕の父が、そんな話をしていた。
ちょっとした仕事の隙間に、父は靴磨きをしてもらうことが楽しみだったのかもしれない。

僕の微かな記憶の中にも、靴磨きのおばさんたちは登場する。
彼女たちが、姿を消したのは、一体いつの頃だったのだろう。
札幌駅が新しくなる頃、駅前の靴磨きもどこかへ行ってしまったのかもしれない。

当たり前のように感じていた、何気ない日常風景の中でさえ、時は流れている。


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by kels | 2015-08-23 19:14 | 旧・札幌日和下駄 | Comments(0)

どうして、こんなにこの街が好きになってしまったのだろう?

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こうしたイメイジの延長線上に、恋の街・札幌という言葉が生まれたものに違いない。
もちろん、北国、雪国、スズラン、ライラック、ポプラ、手稲山、藻岩山、円山、羊ヶ丘、時計台、石狩平野など、たくさんの言葉で彩られているせいもあるが、たしかに札幌にはほかの都市にはない雰囲気と美しさがある気がする。

「さりげなく北の街」小檜山博(1994年)

札幌で暮らしていながら、僕は、自分がまだ、イメージの中の札幌で暮らしているような気がすることがある。
遠い昔に、旅行雑誌や絵葉書の中で見た美しい都市・札幌。
およそ現実感のない観光都市の中で、僕は生きているのだ。

そのせいか、何年暮らしていても、観光スポットのような場所が好きだ。
まるで旅人の一人になったような気持ちで、札幌の街を歩くことができる。
そして、そんなとき、僕は本当に札幌の街を旅しているのだと思う。

どうして、こんなにこの街が好きになってしまったのだろう?


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by kels | 2015-08-22 06:37 | 旧・札幌日和下駄 | Comments(2)

夏のセールが終わって、街には早くも秋モノ商品が並び始めている

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夏のセールが終わって、街には早くも秋モノ商品が並び始めている。
お盆の間、特に何をする予定もないので、時間を見つけては、洋服屋を見て歩いた。
この季節は、新商品が次々に入るみたいなので、欲しいものがたくさん見つかる。

そう言えば、去年の夏は、秋らしい買い物をほとんどしなかった。
お盆過ぎまで東京で過ごして、8月の下旬には青春18切符の旅に出かけた。
気が付けば初秋で、気が付けば、新しい洋服なんて何ひとつ買っていないことに気づいた。

その点、今年は冷静に、秋らしい洋服を見定めている。
何もお盆のうちから、秋の洋服の心配をしなくてもいいのにと、自分でも思う。
いくら札幌でも、街はまだ夏で、子どもたちの夏休みさえ終わっていない。

それでも、どうせ買うものだったら、早いうちに買い物を済ませてしまいたいという気持ちが強い。
早い時期であれば、サイズもカラーも在庫が豊富だから、後で悔やまないで済む。
それに、洋服を買う行為というのは、何より季節感を先取りできて楽しいものなのだ。

ということで、この週末は、秋用のニットとクラッチバッグを購入。


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by kels | 2015-08-16 20:56 | 旧・札幌日和下駄 | Comments(2)

札幌駅前通りを歩くのが好きで、時間さえあれば、意味もなく、この道を歩いている

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初めて札幌の駅前通りを歩いたのは昭和28年で、ぼくがまだオホツク海沿いの滝上にいたころだった。
中学三年の修学旅行で札幌駅へ降り、駅前通りを歩いて、北一条西六丁目にあった旅館へ入った。
そのときの田舎の少年の眼には、駅前通りの幅が200メエトルほどにも見え、たぶん四、五階建てくらいだったはずの両側の建物が、雲を突くほどの高層ビルに思えたのだった。

「さりげなく北の街」小檜山博(1994年)

札幌駅前通りを歩くのが好きで、時間さえあれば、意味もなく、この道を歩いている。
とは言っても、札幌駅から南に向って中島公園までの、わずかな散歩コースだ。
カメラを持って歩けば、あっとういう間の時間に過ぎない。

それでも、この短い散策コースには、たくさんの札幌が詰まっている。
札幌駅前、大通公園、4丁目十字街、すすきの、そして、中島公園。
短いながらも、景観はめまぐるしく変わっていくのが、札幌流というやつなのだ。

まったくの直線というのも、やはり、札幌らしいところなのかもしれない。


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by kels | 2015-08-16 20:07 | 旧・札幌日和下駄 | Comments(4)

10年後の「戦後80年」のとき、この街は、どんな未来を描いているのだろうか。

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小学校に通うと、まもなく太平洋戦争が始まった。
それとともに、小学生にも厳しい軍隊調の規律が強く求められた。
軍人に似た服装はもちろん、戦闘帽を着用させられ、兵隊なみに外出時にはゲートルを巻いた。

登校や下校のときには、隣近所ごとに班がつくられ、子供たちは、小隊をつくって行進したものだ。
班長の命令は、絶対に服従せざるをえなかったし、上級生と下級生の違いは、そのまま軍隊の階級の違いを意味していた。

軍体調の敬礼もさせられた。
しかし、電車通り沿いのガキ大将たちは、いずれもそうした規律さえ、ときには無視するほどの勇気の持ち主だった。

「そうだ!建築をやろう」竹山実(2003年)

今年は戦後70年という節目の年だったためか、例年以上に戦争を振り返る報道が多かったような気がする。
地元新聞でも、連日、当時の体験を振り返る人たちの証言が掲載された。
普段、紙面を割いている記事は、どこに行ってしまったのだろうと、心配になるくらいだ。

なにしろ、終戦時に10歳だった人が、今年は80歳である。
戦争中の記憶はおろか、終戦直後の記憶さえ、既に遠く薄れつつあることは確かだろう。
善し悪しは別にして、時代は次のステップを上り始めているように感じる。

10年後の「戦後80年」のとき、この街は、どんな未来を描いているのだろうか。


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by kels | 2015-08-16 06:45 | 旧・札幌日和下駄 | Comments(0)

盆踊りが終われば、さっぽろ夏まつりも終わりで、札幌の短い夏も終わりだ

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そんな中でも、大通公園での盆踊りは、やはりちょっと違ったものに思える。
気軽に出かける近所の盆踊りとは異なって、大通公園には、公園デビューとでも言うのか、根っから踊りが好きで、日頃から鍛えてきた人たちが集まっているような。
実際、散歩がてらにふらっと歩いていくのではなく、わざわざ足を運ぶのだから、それなりに意気込みも違うのだろうが。

「さっぽろ文庫80 札幌の四季」札幌市教育委員会(1997年)

夕食を食べた後、散歩がてらにふらっと大通公園まで出かけた。
夜の散歩は、やはり、夏の大きな楽しみのひとつである。
日没が早くなったとは言え、8月の札幌の夜は、まだまだ気持ち良い夜だ。

それにしても、もう盆踊りの季節かあ、と思う。
盆踊りが終われば、さっぽろ夏まつりも終わりで、札幌の短い夏も終わりだ。
夏の終わりって、どうしてこんなに切ないんだろうね。


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by kels | 2015-08-15 23:18 | 旧・札幌日和下駄 | Comments(0)

リアルに過ごしてきた「時代」以上に、愛着のある「時代」というものはない。

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戦後の狸小路は闇市から始まった。
一丁目の疎開地跡や四丁目などが中心だっただろうか。
中学生には怖くて近寄れない場所だった。

カンコバ(勧工場)と呼ばれていた古い露地が、狸小路とクロスして延びていた。
小割した小さな店が、中心に並んでいた。
二丁目から三条通りに抜けるカンコバは「共栄(ともえ)館」と言った。
商品販売店が並んでいたのだろうが、戦後、私が覚えたころは、食堂と飲み屋がずらりとそろっていた。

中でも最も有名だったのがカレーライスの店。
五十円だった。
行列のできる店の第一号かもしれない。
うまかったし安かった。

「札幌街並み今・昔」朝倉賢(2000年)

戦争という大きな時代をくぐってきたから、昭和という時代の中で、街並みは大きく変わった。
狸小路だって、もちろん同じだ。
ある世代以上の人たちにとっては、その移り変わりがリアル体験として残っているということになる。

そして、リアルに過ごしてきた「時代」以上に、愛着のある「時代」というものはない。


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by kels | 2015-08-15 06:59 | 旧・札幌日和下駄 | Comments(0)