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ちび

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突然、生まれた5匹の子猫と、拾ってきたばかりの親猫とを、僕らは必然的に飼育することになった。
生まれたばかりの子猫たちは親猫を求めて泣き続け、親猫のみゃーは母親らしく子猫たちに乳を与えていた。

1匹だけ、他の4匹の子猫に比べて著しく体長の小さい子猫がいた。
その子猫は母親の乳を探し当てる能力にも劣っていたのか、いつも他の子猫たちに押されて上手に乳を飲めないでいた。
僕らは他の子猫が飲み終わった頃を見計らって、その子猫を母猫の乳のあたりに置いてやり、そうすることで小さな子猫はやっとミルクにありつけることができた。

そのうえ、その子猫は飲んだミルクを吐いてしまうということを繰り返していた。
数日間のうちに、その子猫は他の子猫に比べてさらに見劣りするようになっていた。

見かねた僕達は例の動物病院を訪ね、子猫がミルクを吐いてしまう原因を調べてもらった。
獣医は非常に困惑した面もちで僕らに言った。

「これは非常に珍しい症例です。おそらく何千匹か何万匹に1匹程度の確率でしょう。この子猫は食道に血管がからみついていて、食道がおそろしく狭くなってしまっています。先天性の奇形だと思われますが、このままでは栄養を摂取することもできなくて、まもなく死んでしまうだろうと思われます。」

獣医は実に神妙に、そして気の毒そうに言った。
僕らは黙って目の前にいる、鼠のように小さくて産毛でぽやぽやしている子猫を眺めていた。
「先生、黙って見殺しにするわけにはいかないでしょう」と僕は言った。
予想にしていなかった親猫の出産だったが、生まれてきた以上、僕はこの子猫の命をどうにか救うべきだと思った。

獣医は実に様々な思案を考えていたが、結論として出てきたことは、「粉ミルクを溶いてスポイトで少しずつ与えてください。そして、ミルクを飲ませるたびに、子猫を立ち上がらせるようにして時間をとってください」ということだった。
その日から僕らはその奇形の子猫だけ、粉ミルクを溶いてスポイトで与え、そのたびごとに立ち上がらせるようにして餌をやった。
子猫はじたばたともがいていたが、飲んだミルクを吐いてしまうようなことはなくなった。

いつまでも6匹もの猫を飼い続けるわけにもいかなかったので、僕らは子猫を引き取ってくれる飼い主を捜した。
知人を通して探すこともあったし、札幌市の動物管理センターが実施している子猫の里親捜しにも何度も足を運んだ。
そうして子猫は少しずつ引き取り手を見つけて、僕の部屋を出ていった。

最終的に残った猫は、親猫のみゃーと奇形の子猫だけだった。
奇形の子猫だけは、僕らは自分たちで育てようと考えていた。
毎回、手のひらの上で餌を与え、僕らの身体の上で昼寝をさせているうちに、子猫は僕達を本当の両親だと思っているかのようになつくようになった。

「今度はきちんとした名前をつけたい」という彼女の意志に反して、子猫はまたしても「チビ」という安易な名前を自然に付けられていた。
チビは僕達と同じベッドで眠り、僕達と同じ自動車で外出し、いつの間にか僕達の本当の子供のような存在になっていた。

僕達がセックスをしていると、チビは時々脱ぎ捨てられた僕のシャツの上で小便をした。
チビがトイレ以外の場所で小便をしてしまうというのは、決まって僕が女の子とセックスをしているときであり、決まって脱ぎ捨てられた僕のシャツの上でだった。
僕は、それはチビのストレスなんだろうと思った。
構ってもらえない自分の悲しみや苦しみを、そういうふうにしてチビは表現しているのだと思った。
そのことがあって、僕とチビは一層心が通い合うようになっていた。

僕は時々ペット・ショップで子猫用のおもちゃを買ってきて、チビと一緒に遊んだ。
チビはおもしろかった遊び道具には執着を示し、僕が外出から帰ってくると、決まってそうしたお気に入りのおもちゃをくわえて僕の足下にやってきたりした。

「犬のようだね」と僕らは言った。

実際、チビは成長するほどに僕らへの愛情を深くし、夜には一緒にベッドの中に入り込んで眠った。
チビは僕らと同じように仰向けになってベッドの中で眠ったのだ。
僕は猫が仰向けに眠ることがあるということを全然知らなかった。

そんなチビとは対照的に、みゃーはあくまで猫らしく、悠々とした生活を送っていた。
僕らが名前を呼んでも、みゃーは澄ました顔でこちらを一瞥するだけだった。
自分の名前が出ただけで走り飛んでくるチビとは全く性格が異なっていて、僕らはそんな猫の仕草をとても楽しんで暮らしていた。

ところで、賃貸の、そんな部屋の中で猫を飼うことができないなんていうことは、僕らにももちろんわかっていた。
当然やってくるべきものの到来を、僕らは否定しなかっただけだ。


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by kels | 2008-11-30 21:32 | 旧・札幌日和下駄 | Comments(0)

スズランとクマ

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先日、東京近郊の大学の先生と一緒に仕事をしたときに、食事をしながら北海道の話をいろいろとした。
その先生は、幼少時代に北海道で暮らした経験があって、その当時の思い出話みたいなものが中心だったのだけれど、先生の記憶の中の北海道は、スズランが咲く爽やかな土地というものだった。
考えてみると、最近の北海道の話題からは、鈴蘭は完全に取り残された存在である。
しかし、少し昔の観光雑誌などを読んでみると、すぐに分かることだが、昭和40年代くらいまでの北海道にとって、鈴蘭は実に欠くべからず大切な観光資源のひとつだった。
北海道を象徴する花はスズランの花であり、北海道が登場する様々な場面に、スズランの可憐な花は登場した。
先の大学の先生の中では、その頃の北海道がまだ生き続けているわけだ。
いつの間にか、北海道の観光資源はヨサコイソーランのようなイベントや、旭山動物園のような施設を中心にPRされるようになったけれど、小さな渓流の脇に咲く小さな鈴蘭の花が主役だった時代の北海道も、やつぱりいいなあと思うのである。

写真は、昭和30年代の北海道の観光土産だったと思われるクマの木彫り人形。
クマの木彫りというよりは、お土産こけしのバリエーションのひとつで、籠を背負ったヒグマがスズランの花を抱えているところにユーモラスな可愛らしさが溢れている。
籠に描かれた渓流魚(ヤマメ?)の絵もまたかわいい。

素朴な時代の北海道は、現代に生きる我々にとって、忘れてはならない原点だと思うのだが。


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by kels | 2008-11-30 21:22 | 旧・札幌日和下駄 | Comments(2)

人形屋佐吉

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東京ハンズの裏側を歩いていると、突然に現れる小さなお店、「人形屋佐吉」。
黒地の看板に白い人形の顔が描かれた印象的なお店については、記憶のある方も多いはず。
このお店のショーウィンドゥは、実に凝った作りになっていて、特に日が暮れてからはディスプレイ・マニアには垂涎の被写体となる。
ただし、撮影の際にはお店の迷惑とならぬように。


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by kels | 2008-11-30 21:07 | 旧・札幌日和下駄 | Comments(0)

鉢花の即売会

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朝食を食べて、吹雪の中、一応は豊平神社に向かった。
そう、今日は今年最後の青空骨董市の開催日なのだ。
防寒をしっかりとして、傘を持って、とにかくフル装備で望んだのだけれど、結局今日は中止だった。
現地に行ってみると、懐古堂さんが同じくフル装備で立ち尽くしていて、今日の中止を案内していた。
自動車はたくさんあったから、業者さんたちも一応は集まったんだろうな。
ただ一人、神社入口で雪の中、商品を並べている業者さんがいたのには驚き。
せっかく集まったんだから、やりたい人もいたことだろう。
ちなみに、今年最後の青空骨董市は来週へ延期とのことで、ただし、その来週も天気次第になるらしい。

骨董市が中止だったので、そのまま流通センターの札幌花き地方卸売市場へ向かった。
ここは普段お花の業者さんが集まる市場だけれど、昨日と今日の2日間は一般対象の即売会を開催しているのだ。
吹雪の中、それなりにお花目当てのお客さんが集まっているからすごい。

いろいろな鉢植えが並べてられていて、目移りしてしまうけれど、とにかく小さなサイズのものを幅広く、をモットーに、ひとつずつ選んでみた。
ミニ観葉植物が3種類、ミニバラが3色、ヒメヒイラギ、シクラメン、少し小さなアイビー、クリスマスローズ、キラキラポインセチア(笑)
気が付いたら両手に袋を提げて、結構買い物をしてしまった。
冬になって、寂しくなったせいか、家中を花と緑で埋め尽くしてしまいたい!と思っているほど、植物が恋しかったので、この即売会は楽しかった。

シクラメンはハイドロカルチャーのゼリーに埋め込んでみた。
オシャレなグラスを使って飾ることができるので、これもまた楽しい。
それぞれの鉢皿には、明治時代の印判皿を使ってみたりと、手持ちの骨董品が大活躍となった(笑)
これからは、ポットカバーに使えるような器を探してみたいなあ。

午後からは、本を読んだり、昼寝をしたり、花をいじったりで、のんびりとした時間を過ごした。
気が付くと、窓の外には青空が広がっていて、これだったら骨董市もできたのでは?と思う瞬間もあった。

なんにしても、冬の北海道、屋外でのイベントは厳しい季節である。


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by kels | 2008-11-30 18:17 | 旧・札幌日和下駄 | Comments(2)

ODORI

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札幌はそれなりに景観に気を遣っている街なので、大通公園の住所表示にもこんなのがあったりする。
明るい時間にはあまり気にならないけれど、夜になるときれいに光って、結構カッコイイ。
こういう公共建築物のデザインというのは、どちらかというと見過ごされがちだけれど、ひとつひとつを見ていくと楽しいし奥が深いなあと思う。
信号機とか標識とか案内板とかもそうだけれど、街としての重要な要素でもあるこれらは、街撮り写真を愛するモノにとっては、やはり欠くべきことのできないアイテムなのだ。


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by kels | 2008-11-30 07:36 | 旧・札幌日和下駄 | Comments(2)

ディスプレイ

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街のショーウィンドゥやお店のディスプレイなんかは、僕の大好きな被写体。
そして、特にこれからの季節はそんなショーウィンドゥが、いよいよ美しくなる季節なのだ。
もちろんクリスマスが近くて、ディスプレイが派手になったというとはある。
札幌の場合は、それ以上に日没時間の関係も大きい。
夏には午後8時を過ぎないと、なかなか夜という雰囲気が出なかったのが、今は午後5時前に完全に夜である。
そして、お店の営業時間は午後8時くらいが基準になるから、あまり日没が遅いと、光り輝くショーウィンドゥの写真も撮りにくかったりするのだ。
ということで、街を歩けば、ショーウィンドゥを見ながらキョロキョロ、気になるディスプレイがあれば、カシャカシャとシャッターを切っているわけだ。


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by kels | 2008-11-30 07:28 | 旧・札幌日和下駄 | Comments(0)

雨の日曜日

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せっかくの日曜日なのに、朝から雨。
これでは豊平神社の骨董市も中止かもしれない。
大通公園のミュンヘン・クリスマス市も、雨ではどうにもならないだろう。
もう少し寒ければ、雪になって、いろいろなことがうまくいくような気がするのだけれど。


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by kels | 2008-11-30 07:20 | 旧・札幌日和下駄 | Comments(0)

イルミネーション

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ホワイト・イルミネーションが始まって、札幌の街の夜はいよいよ眩しいものになった。
毎年のことだけに、本格的な冬がやって来たのだと感じさせられる。
と同時に、長くて厳しい冬をも楽しんでしまおうという北国の人達の心根を改めて思い知らされることにもなる。
実際、何かやってなければどうにもならないくらいに、北海道の冬は長いし厳しい。
それは、明治の初めからこの土地で暮らすようになった開拓者達から受け継いだ、この土地の人々の生きる知恵に他ならないだろう。
日本のどこの地方よりも早く太陽が沈んでしまう北海道だからこそ、夜は無数の電球で彩りたいのだし、そうすることで、我々はこの長い冬の夜を心から楽しむことができるのである。


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by kels | 2008-11-29 23:27 | 旧・札幌日和下駄 | Comments(0)

マトリョーシカ

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ロシア雑貨の店で、マトリョーシカ選びに苦悩して、結局今日買ってきたのは、この小さなマトリョーシカのキーホルダー。
1個300円のを2つ買ってきた。
こんなに小さくて、こんなにたくさんあるのに、やっぱりひとつひとつ顔が違ったり、デザインが違っていたりするので、選び出すのにはやっぱり苦労した。
3個買っておこうと思ったけれど、後ひとつがやっぱり選び出せなくて、結局2つになってしまったのだ。
ていうか、かなりいい加減な作りのものが多いので、まともなモノを探すのに苦労する。
そして、これもまたロシア雑貨の楽しさなのだと納得してしまうのも、ロシア雑貨らしさなのだ。


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by kels | 2008-11-29 21:54 | 旧・札幌日和下駄 | Comments(0)

ロシア雑貨

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ミュンヘン・クリスマス市で毎年楽しみにしているのがロシア雑貨のお店。
日本ではもっともロシアに近い北海道だけれど、ロシア雑貨のお店というのはあんまりない。
なんだか不思議だけれど、だからこそ、こういうイベントの時のロシア雑貨のお店は楽しみでもある。

ロシア雑貨といったら、やっぱりマトリョーシカ。
大きいのから小さいのまで、いろいろとあり、しかもひとつひとつが違うので、選び抜くのにはかなりの時間を要してしまう。
大きなマトリョーシカがひとつ欲しくてかなり悩んだけれど、結局今日は買えなくて、また次回のお楽しみに。
クリスマスまではまだ時間があるから、じっくりとゆっくりと自分の好きな人形を選び出すのだ。


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by kels | 2008-11-29 21:48 | 旧・札幌日和下駄 | Comments(0)