カテゴリ:音楽( 598 )

僕が聴きたかったのは、「Don't Think Twice, It's All Right 」だった

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「これ、ボブ・ディランでしょ?」
「そう」と私は言った。
ボブ・ディランは『ポジィティブ・フォース・ストリート』を唄っていた。
二十年経っても良い唄というのは良い唄なのだ。
「ボブ・ディランって少し聴くとすぐにわかるんです」と彼女は言った。
「ハーモニカがスティーヴィー・ワンダーより下手だから?」
彼女は笑った。
彼女を笑わせるのはとても楽しかった。
私にだってまだ女の子を笑わせることはできるのだ。
「そうじゃなくて声がとくべつなの」と彼女は言った。
「まるで小さな女の子が窓に立って雨ふりをじっと見つめているような声なんです」
「良い表現だ」と私は言った。
良い表現だった。
私はボブ・ディランに関する本を何冊か読んだが、それほど適切な表現に出会ったことは一度もない。

「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」村上春樹(1985年)

ここ二週間、ボブ・ディランばかり聴いて過ごした。
デビューから最初の3枚の古いボブ・ディラン。
僕は古い時代のボブ・ディランが好きなのだ。

それでも、僕がボブ・ディランをこんなに聴くのは実に久しぶりのことだった。
仕事で疲れているから、こんなに優しい音楽ばかり聴きたくなるのだろうか。
朝目覚めた瞬間から夜眠る直前まで、僕はボブ・ディランのギターと声に慰められていた。

「相変わらず古くさい音楽聴いているな」と、みんなが笑った。
風に吹かれて、時代は変わる、激しい雨。
古くさい歌だっていうことは、もちろん僕も分かっていた。

僕が聴きたかったのは、「Don't Think Twice, It's All Right 」だった。
考えてみると十代の頃から僕は、何かあるたびにこの曲を聴いて、この曲に慰められていたような気がする。
時代は変わっても、僕はあまり変わらなかったらしい。

そんなボブ・ディランが、ある日を境に突然大ブレイクした。
「ボブ・ディランって、今聴くと新鮮だよね」と、みんなが言った。
僕は心の中で「ふざけんなよ」って本気で思った。

「くよくよするなよ、大丈夫だよ」と、ボブ・ディランが唄っていた。
by kels | 2016-10-15 06:44 | 音楽 | Comments(2)

日頃の気分転換に、僕はスタン・ゲッツの古いジャズを聴きながら本を読んでいる

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私は柔らかな深い椅子の端に座り、リーガン夫人を眺めた。
彼女は一瞥に値した。悩ましい型だ。
近代型デザインの寝椅子にスリッパを脱いで寝ころんでいた。
だから私は、すごく薄い絹のストッキングに包まれた彼女の足に眺め入った。

「大いなる眠り」レイモンド・チャンドラー/双葉十三郎・訳(1939年)

ウエスト・コースト・ジャズの気持ち良い季節になった。
日頃の気分転換に、僕はスタン・ゲッツの古いジャズを聴きながら本を読んでいる。
小説はもちろん、レイモンド・チャンドラーの古いハードボイルドだ。

時代遅れの生き方みたいだけれど、自分にはちょうど合っているらしい。
というか、こういう生き方を、もうずっと続けてきているんだけれど。
いくつになっても変わらずに好きなものがあるって素晴らしいぜ。


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by kels | 2016-07-09 22:31 | 音楽 | Comments(0)

古いレコードを処分して、少し僕は古い亡霊から解放されたような気がしている。

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この春は、密かに断捨離作戦を進めている。
先週は、大量の洋服を処分したし、大量の文庫本も処分した。
そして、今週は、大量のレコードとCDを処分してきた。

なにしろ15年くらい引っ越しをしていないから、とにかく無駄なものが多い。
それでなくても、何でも取っておきたいタイプの人間なのだ。
モノが集まらないはずがない。

来週は大量の雑誌と大量のコミックを処分する予定。
大量の単行本と大量の親書を処分しなければならないというミッションもある。
それで、どれだけ部屋が片づくのか、まったく不明だけれど。

今週処分したレコードの多くは、学生の頃に集めたものだった。
時代遅れのレコードを買い集める僕を見て、みんな笑ったものだ。
今のように、レコードが再評価されるような時代でさえなかった。

インターネットの普及する前のことだから、中古レコードの店を一軒づつ回っては欲しいレコードを探した。
そうやって集めたレコードだから、それなりに思い入れはある。
それだからこそ、今まで処分することもできなかったのだ。

しかし、大量の古レコードは、あっさりと処分された。
それも、一緒に持っていったCDよりもはるかに安値で。
古いレコードよりも新しいCDの方に価値があるということを、僕は全然知らなかったのだ。

どうやら、僕とレコードだけが、時代から取り残されていたらしい。
いつまでも古い時代にしがみついて、新しい時代へと上手に乗ることができなかった。
ガラクタみたいな思い出を、僕は胸の中でずっと大切に抱き続けてきたのだ。

古いレコードを処分して、少し僕は古い亡霊から解放されたような気がしている。


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by kels | 2016-03-13 20:19 | 音楽 | Comments(0)

乃木坂46と文学と言って思い出すのは、7枚目のシングル「バレッタ」。

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図書室の窓際で 女子たちが声潜め会議中
ヘミングウェイを読みながら 僕はチラ見した

唇のその動きを 頭の中でトレースして
さあ、ヒントをもらおうか?
偶然 目と目が合って 心が覗かれたように 僕は白旗上げた

バレッタ 風の中 踊った髪を手で押さえ
バレッタ 太陽が眩しそうに 目をそらしたのは僕だ

「バレッタ」乃木坂46(2013年)

乃木坂46と文学と言って思い出すのは、7枚目のシングル「バレッタ」。

図書室でヘングウェイを読んでいる男子が主人公だ。
窓際では、女子たちが内緒話で盛り上がっている。
主人公は、彼女たちがどんな話題で盛り上がっているのか、気になって仕方がない。

状況証拠を並べて、主人公は推理を始める。
彼女たちが盛り上がっているのは、「男子でカッコいいのは誰か」という話題。
そして、主人公の視線は、一人の女の子の髪に付けられたバレッタへ、、、

図書室でヘミングウェイを読んでいる男の子が主人公で、女の子たちも、あるいは、図書局の活動で集まっている少女たちかもしれない。
こういうシチュエーションが、僕は大好きだ。
図書室でヘミングウェイを読むことも、図書局で活動することもなかったけれど。

だけど、歌詞の展開から考えると、主人公が読んでいるのはヘミングウェイではなく、本格ミステリーの方がマッチしていたのではないかと思う。
どうでもいいことだけれど。


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by kels | 2016-02-21 20:36 | 音楽 | Comments(0)

クリスマスが過ぎて、ようやくクリスマス縛りから解放された

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ジルは、スプレイ・ガンで吹きつけたようなジーンズ、三インチのヒールの付いたエメラルド色のハイ・ブーツを履き、胸のくぼみがほどよく見える程度に、白いブラウスのボタンを外している。
いつも黒いミンク・コートを羽織っていた。

「スターダスト」ロバート・B・パーカー(1990年)

クリスマスが過ぎて、ようやくクリスマス縛りから解放された。
つまり、僕が聴く音楽の話だ。
ここ数日間はクリスマスソング以外は聴かないという愚かな呪いを、僕は自分自身にかけていた。

なにしろ、アップル・ミュージックには、大量のクリスマスソングがストックされている。
自分で金を出して聴かないような音楽まで、今年のクリスマスには聴いた。
おかげで知らない曲を、いくつも覚えることができた。

今朝は久し振りに「普通の」バロック音楽を聴いている。
いつもの日常が、ようやく戻ってきたみたいだ。
クリスマスの音楽は、来年のクリスマスで当分いいだろう。

だけど、おかげで随分とクリスマス気分を楽しませてもらった。
急ごしらえのクリスマス気分ではあったけれど。
季節感なんていうのは、きっと、気の持ちようなんだよね。


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by kels | 2015-12-26 06:24 | 音楽 | Comments(0)

お父さん、殺す。お母さん、殺す。友だち、殺す。学校、燃やす。

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人間って生きていれば、みんなイライラしてるんだ。
俺の中学1年生ぐらいに、自我が目覚め始めた頃はさ、
ぶっ殺してやる、全員。
お父さん、殺す。お母さん、殺す。
友だち、殺す。学校、燃やす。
俺もついでに死んじゃうって思ってた。
そう思うことに理由なんかないんだよ。

「POPEYE 824」甲本ヒロト(2015年)

今月の「ポパイ」の特集は「大人になれば。」。
こういうタイトルって、いくつになっても惹かれてしまう。
大人になりきれていないっていう証拠なんだろうなあ。

だけど、「大人になる」って、どういうことなんだろう。
理不尽なものを、何の抵抗もなく受け入れることができること。
あるいは、上等のスーツを着て、上等の眼鏡をかけて、上等の御世辞を言うこと。

「大人になる」っていうことが、どういうことなのか。
それが分からないようじゃ、大人への道は、まだまだ遠いような気がする。
年を取るだけじゃ、大人にはなれないんだよね、きっと。


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by kels | 2015-11-22 20:08 | 音楽 | Comments(0)

一番気に入っているフレーズは、「あれからニシンはどこへ行ったやら」

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燃えろ篝火 朝里の浜に 海は銀色 ニシンの色よ
ソーラン節に 頬染めながら わたしゃ大漁の網を曳く
あれからニシンは どこへ行ったやら
オタモイ岬のニシン御殿も 今じゃ錆びれて
オンボロロ オンボロボロロー
変わらぬものは古代文字
わたしゃ涙で娘ざかりの夢を見る

「石狩挽歌」北原ミレイ(1975年)

昨夜から「石狩挽歌」ばかり聴いている。
テレビで「男はつらいよ」を観たせいだ。
後藤久美子が、この曲を歌うシーンが、やけに記憶に残ったのだろう。

1975年、世の中にはまだ御当地ソングに対する熱気が生き残っていたらしい。
日本海に面した石狩地方のキーワードが、次々に登場してくる。
「やん衆」「にしん曇り」「にしん御殿」などは、みな、漁村の方言だ。

一番気に入っているフレーズは、「あれからニシンはどこへ行ったやら」。
ニシン漁の経験はなくても、この台詞は、道民として共感できるフレーズだ。
歴史に疎くても、ニシンが支えた北海道開拓の歴史は、記憶に刷り込まれているのかもしれない。

それにしても、最近は古い演歌にハマるなあ。
冬が近いっていうことと無関係ではないんだろうなあ。


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by kels | 2015-11-15 08:56 | 音楽 | Comments(0)

真心ブラザーズの「PACK TO THE FUTURE」が発売になった

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1970年~1980年代に発表されたヒット曲が、真心ブラザーズの2人の手によって、オトナの極上ユルロックに大変身。
アイドルブームに沸く現在の音楽シーンに、その礎となった名曲カバーで一石を投じるコンセプト・アルバム。
同時代を共有したリスナーには、かつての思い出が蘇える楽曲であり、当時を知らない若い世代には「YOUNG PERSON'S GUIDE」として、音楽との新たな出会いや新たな出会いや新たな発見になるであろう一枚。
アルバムタイトルに「PACK TO THE FUTURE」と名付けるあたりも、まさに彼ららしい「遊び心」と、一見相反するような「音楽に対する真摯さ」を感じさせる。

真心ブラザーズ公式サイトより

真心ブラザーズの「PACK TO THE FUTURE」が発売になった。
昔のアイドルソングをカヴァーしたアルバムである。
知らない曲も含めて懐かしい曲ばかり、たくさん収録されていておもしろい。

新聞の文化欄では、松田聖子の「風立ちぬ」のカバーが紹介されていた。
この曲は大瀧詠一の作品ということで、イントロに「君の天然色」が使われているということだった。
実際に聴いてみると、確かに大滝ファンには楽しいかもしれないと思った。

僕が一番気に入ったのは、石川秀美の「ゆ・れ・て湘南」だった。
実は、僕自身、この曲をよくギターで弾きながら歌っているのである。
ロック・アレンジもカッコ良くて、この曲ばかり繰り返し聴いている。

この曲の作詞は松本隆で、完成度はかなり高い。
「君だって大人の顔をして忘れてしまうよ」みたいに、松本隆らしい胸キュンなフレーズが散りばめられている。
僕は特に2番目の歌詞が好きだ。

サーフボード抱えながら人が渡る
重そうな青春抱きしめて
愛して疲れたボクたちの横顔みたいさ My Little Girl
ゆれて海岸ロード
ひとりレモネード飲む君が好きだった Hold Your Hand
ゆれて ゆれて 湘南
ひびく波のララバイ そして 夏に背を向けて

「ゆ・れ・て湘南」石川秀美(1982年)

1980年代のアイドルソングには、プロの仕事らしさが満ち溢れている。
子供だましの大量消費音楽には留まらない魅力があることは確かだった。


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by kels | 2015-10-11 07:00 | 音楽 | Comments(0)

イベントも終わって、静かな札幌の街に今、秋アジサイが静かに咲いている。

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人気バンド・スピッツが1995年9月に発表した6枚目のアルバム『ハチミツ』が、発売20周年を迎えた。
これを記念し、同作をこよなく愛するアーティスト12組がカバーするトリビュートアルバム『JUST LIKE HONEY~「ハチミツ」20th Anniversary Tribute~』が12月23日に発売されることが8日、わかった。
初のオリコン週間アルバムランキング1位を獲得し、ミリオンヒットとなった同作は、代表曲「ロビンソン」「涙がキラリ☆」など収録。
これに「ロビンソン」のカップリング曲でライブ重要曲「俺のすべて」をボーナストラックとして追加した全12曲を、豪華アーティスト12組がそれぞれの思いを込めてカバーする。

ORICON STYLE 2015.10.09

最近は毎日、スピッツの「ハチミツ」を聴いている。
今さら感ハンパないけれど、「ハチミツ」はみんなが好きなアルバムらしい。
良いものは時代が経っても良いということだろう。

最近特に好きなのは「あじさい通り」という曲。
季節外れ感ハンパないけれど、とにかく、今は「あじさい通り」の気分なのだ。

だけど、札幌は今、秋紫陽花の季節である。
夏に咲いたアジサイの花が良い具合に錆びて、札幌の秋を彩っている。
夏のアジサイも好きだけれど、僕はこの秋アジサイが大好きだ。

イベントも終わって、静かな札幌の街に今、秋アジサイが静かに咲いている。


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by kels | 2015-10-09 20:53 | 音楽 | Comments(0)

Apple Musicが配信されて以来、生活の中の音楽は、Apple Musicが中心になった

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それから秋がやってきた。
秋がやってきたときには、僕の心はもうほとんど定まっていた。
こんな生活をこのままずっと続けていくことはできないと、僕は思った。
それが僕の最終的な結論だった。

「国境の南、太陽の西」村上春樹(1992年)

7月にApple Musicが配信されて以来、生活の中の音楽は、Apple Musicが中心になった。
こうしてブログを書いている今も、Apple Musicでシューベルトの歌曲集を聴いている。
ディースカウとムーアのシューベルト歌曲集を、全部ダウンロードしたのだ。

おかげで、どこにいても作業用のBGMはシューベルトになった。
全部で463曲もあるから、おそらく、絶対に飽きることはない(笑)
これだけでも、Apple Musicに登録した価値はあるのではないだろうか。

最近では、わざわざコンポまで歩いていって操作するのが面倒なくらい(笑)
もう長年愛用しているステレオコンポだから愛着はあるんだけれどね。
ゆっくりと音楽を聴くという生活ができていないということなんだろうな。

まあ、のんびりとレコードを聴く楽しみは、将来のために取っておこうか。


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by kels | 2015-09-23 05:04 | 音楽 | Comments(0)