カテゴリ:本・雑誌・古書( 68 )

ほとんどの本を処分したけれど、古いハードボイルド小説だけは残した

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わかってるかい。ぼくはうそつきだ。
ぼくの小説に出てくる男性は8フィートも身長があって、女性はひざを高くして寝ているために尻の皮膚がかたくなってる。
レースとひだの飾り、剣と馬車、優美と有閑、決闘とはなやかな死。
みんな嘘だ。

「長いお別れ」レイモンド・チャンドラー(1953年)

ミニマリストを目指して断捨離をしている。
既に、10,000冊以上の本を処分した。
すべて古本屋が、子どもの小遣い銭みたいな金を置いて、トラックで運んでいった。

本なんて本当に財産にならないものだと思う。
もう二度と本なんて集めないと、硬く誓った。
本は知識の財産であって、溜めこんで喜ぶものではない。

ほとんどの本を処分したけれど、古いハードボイルド小説だけは残した。
もしかすると、僕がいちばん好きなものは、古いハードボイルド小説なのかもしれない。


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by kels | 2016-06-11 06:47 | 本・雑誌・古書 | Comments(2)

断捨離というのは、自分のアイデンティティを見つけるための作業なのかもしれない

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ラジオから流れてくる歌が、車の中いっぱいに広がった。
私たちはお互いに見つめあった。
瞬間、手を取りあいそうになった。
しかし、ふたりには家でそれぞれのことを思っている家族がいる。
私たちは、ただ見つめあっていた。

「帰らざる日々」ボブ・グリーン(1985年)

大量の本を処分して、書棚がいくつも空になった。
いずれ書棚も処分しなければならない。
部屋が少しだけ広くなるのだ。

本当に必要な本以外は、すべて処分しようと決めていた。
いざ決めてみると、本当に必要な本というのは、ほとんどなかった。
この10年間に繰り返し繰り返し何度も手に取った本だけが、僕にとって本当に必要な本だった。

考えてみると、この10年間に一度も手を触れていない本さえあった。
どうしてこんなに本があるのだろう?と、自分でも不思議に思える。
けれど、一冊一冊の本には、それなりの思い出があり、それなりの思い入れがある。

本を処分するにあたって、僕は自分に言い聞かせたことがある。
僕の部屋は図書館ではないし、僕は古本屋の店主でもない。
身体に合わなくなった洋服を棄てるように、古い本とも決別しようと。

わずかに残った棚の本を見て、僕は思った。
断捨離というのは、自分のアイデンティティを見つけるための作業なのかもしれない。


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by kels | 2016-03-19 05:53 | 本・雑誌・古書 | Comments(0)

千円札1枚で楽しめるくらいの方が、趣味というのは長続きするのかもしれない

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ここ十数年、日本国中どこの都市とも同じように、札幌でもビル・ラッシュだが、でき上がったビルは、これも日本国中どこも同じの真っ四角だ。
垂直と水平の幾何学的な稜線がキチッと鋭く大空の青を切り、現代人のドライな心情をシンボライズする機能的な美しさを誇っている。
この美しさは、しかし、南国的なものだ。

「ビルと札幌」河邨文一郎(1984年)

先日、古本市で古い本を2冊買った。
郷土の児童文学に関するものである。
これまで見たことのないものだった。

古本市では、安売りの箱から順番に見て歩く。
いくら欲しい本でも、高価では買うことができないからだ。
小銭で買えるくらいの本を探すのが、古本市の楽しみである。

その本も小銭の安売りの箱にあった。
時間もなかったので、それだけをレジに持って行った。
2冊合わせても小銭にしかならなかった。

会計を済ませて背中を向けた時、「あれ、安すぎるよ」と小さな囁きが聞こえた。
そっと振り向くと、会計をした女性が、隣の男性に厳しい声で何か言っている。
男性は申し訳なさそうな顔をしてうつむいていた。

古本市は、いろいろな古本屋が集まってくる。
店の傾向によって値段の付け方が違うから、他店の価格の付け方に違和感を覚えることもあるのかもしれない。
彼女にとって、僕の買い物は「違和感を覚える」値段だったのだ。

古本探しは、ちょっとした小さな宝物探しみたいものである。
千円札1枚で楽しめるくらいの方が、趣味というのは長続きするのかもしれない。
特に、僕みたいに飽きっぽい人間にとっては。


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by kels | 2015-12-19 05:23 | 本・雑誌・古書 | Comments(0)

本っていいなあと思う瞬間のひとつに、古い話を読んだ時というのがある

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ゆく春の一夜、私は不意にお迎えのくるまを頂いて、ある家へ行った。
久保田万太郎さんが、小宮(豊隆)先生のために設けた席であった。
「ナニ、酒も飲まない、煙草も吸わない、だからあんなものしきゃ書けないんだ」
既に十分の御機嫌であったらしい久保田さんは、お酒の飲めないという私に、いきなりそう言ってななめに睨みすえられた。

「随筆歳時記」森田たま(1940年)

本っていいなあと思う瞬間のひとつに、古い話を読んだ時というのがある。
自分の知らない昔の話も、本として残されることで、現代に伝えられる。
本ってすごいなあ。

古本集めなんていう趣味も、世の中にはあるらしい。
古い時代を探しまわることも、魅力のひとつくらいには入っているのかもしれない。
本っていうのは、実にリアルなタイム・カプセルなんだから。

上の文章は、昭和15年に発行された、森田たまの随筆集に掲載されていたもの。
文壇のビッグネームが、次々に登場してきて、戦前の文学界の息遣いを教えてくれる。
文壇が文壇らしかったのって、戦前までなんだよね、きっと。


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by kels | 2015-11-23 07:25 | 本・雑誌・古書 | Comments(0)

忙しい毎日の心の隙間を埋めるものがあるとすれば、それは本だ

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細かな乳白の雨が、街路樹の橡の落葉がおびただしく散らばっている舗道の上に、ひえびえと降りそそいでいた。
店のガラス戸にも雨滴が一面にひかって流れ、熱帯魚の水槽がいくつもある市村の店の中は、まるで店自体が大きな水槽のように、水の影があふれていた。

「愛しの鸚鵡」原田康子(1957年)

読書が趣味である。
忙しい毎日の心の隙間を埋めるものがあるとすれば、それは本だ。
どんなに仕事に追われているときも、本のことを忘れたことはなかった。

心にゆとりがなければ進まない趣味は多い。
だけど、読書だけはどんなときでも自分受け入れてくれる。
そのときの気持ちにあった本を選べばいいだけだからだ。

僕の場合、同時に何冊もの本を読み進める癖がある。
一日の生活リズムの中で、それぞれ読みたい本というのは変わるからだ。
音楽と同じように、本も心を映し出す鏡なのかもしれない。

今年も僕は、随分たくさんの本に救われた。
忙しい仕事の隙間を見つけて本屋に寄り道しては、手当たり次第にいろいろな本を買った。
読みたい本だけは、どんなに心が沈んでもなくならなかったらしい。

本のない人生なんて、僕にはちょっと考えられないなあ。


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by kels | 2015-10-08 20:36 | 本・雑誌・古書 | Comments(4)

どんなに生活が忙しくても、本を読まない日というのは存在しない

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雨が降っていたので、朝から仕事に出かけた。
天気が悪いと仕事がはかどる(笑)
今年の夏は、本当に休日出勤が多い。

仕事帰りに古本屋を覗いた。
古い随筆や日記を何冊か買って帰る。
読む以上のスピードで本ばかりが増えていく。

洋服や骨董品、CD、喫茶店など、僕の無駄遣いの幅は広い。
その中でもダントツに多いのは、やはり本を買うお金だろう。
一か月の間に、相当数の本が増えていくのだから。

新刊本にしても古本にしても、書店を覗くのは楽しい。
本屋に行けば、必ず新しい発見があるし、本屋は僕を裏切らない。
なにしろ、一生かかっても、読み切れないほどの本が、世の中にはあるのだ。

そして、どんなに生活が忙しくても、本を読まない日というのは存在しない。
暮らしの中心には本があり、暮らしの隙間にも本がある。
それが雑誌であれ、文庫本であれ、ベストセラーであれ、無名の著作であれ。


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by kels | 2015-07-26 20:59 | 本・雑誌・古書 | Comments(0)

「10着しか服を持たない」というミニマムな考え方が、僕は好きだ

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「フランス人は10着しか服を持たない」という本を読んだ。
ファッション的な内容なのかと思ったら、フランス人のライフスタイル観がメインで、その中でファッション観についても触れているという構成だった。
まあ、「フランス人の暮らし方ってこんなにすごい!」というスタンスだけれど、それはそれで楽しく読むことができた。

大事なことは、どこの国にも特有の文化があり、特有のライフスタイル観があるということ。
そして、どんな文化やライスタイル観にも、見習うべき点は必ず存在する。
アメリカや日本がダメで、フランスが素晴らしいということではなくで、フランス人の良いところを自分たちの生活の中にも取り入れていこうということだと思う。

そもそも「10着しか服を持たない」というミニマムな考え方が、僕は好きだ。
それは、いつでも同じ格好をしているということではなくて、少ない服をどのように工夫して着回すかという発想につながる。
数を自慢するよりも工夫を誇れる生き方の方が、絶対にカッコイイに決まっている。

ところで、この春の僕はフレンチ寄りになっていて、週末はざっくりとした服装で過ごすことが多くなった。
もともとナチュラル系が好きだから、「ざっくり」にはまると抜け出せないような気がする。
「ざっくり」だけれどルーズになりすぎていないのが、何となくフレンチ。

せっかくだから、この春は10着の洋服に挑戦してみようか☆





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by kels | 2015-03-24 19:48 | 本・雑誌・古書 | Comments(0)

【報告】「おばけのマール誕生10周年展」開催中

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JRタワーのファイナルセール、いよいよ今日が最終日でしたね。
調子に乗って、最後の最後に冬用のハットを買い足してしまいました。
何だかんだ言いながら、それなりにお世話になったバーゲンセールでした。

さて、紀伊国屋書店で開催されている「おばけのマール誕生10周年展」を観てきたので、その報告です。
いやー、とても楽しい展示でした、ほんと。

まずは、「おばけのマールって何?」っていう人のために。

マールは、「まるやま」の頂上に住んでいるちいさなおばけです。
自分を「ぼく」って言うからたぶん男の子。
ブロッコリーが大好きで、「まるいものあつめ」が趣味、「おともだちづくり」が得意です。
マ~ルの出生や生態には未だ謎が多いのだとか。
「おばけのマ~ル」は、そんなマールを主人公にしたシリーズ絵本なのです。

まるやまに住んでいるマールのお話には、札幌の街がいろいろと登場します。
ちなみに、これまでに発表されている絵本は、次のとおりです。

・おばけのマ~ルとまるやまどうぶつえん
・おばけのマ~ルとゆきまつり
・おばけのマ~ルとおべんとう
・おばけのマ~ルとちいさなびじゅつかん
・おばけのマ~ルとおかしなとけいだい
・おばけのマ~ルとふしぎなかがくかん

いかにも札幌が登場しそうな雰囲気たっぷりですよね。
僕はマールの絵本の中に登場する札幌の街が大好きで、札幌の街を再認識するためにマールを読んでいるようなところがあるほど。

読んだことのない人は、だまされたと思って読んでみてください(笑う)

今回の「誕生10周年展」では、マール誕生にまつわる様々なものが展示されています。
絵本製作過程に関連した展示物が多いので、マールファンだけではなくて、広く絵本ファンの方にお勧めです。
作者「なかいれい」さんと「けーたろう」さん秘蔵のアイテムもたくさんありますよ。

ところで、今日は会場にマールの作画を担当している「なかいれい」さんがいらっしゃいました。
サインをいただけるということだったので、ポストカードにサインしていただきました。
「なかいれい」さん、本当にありがとうございました☆

会場では、ポストカードの他にシールも販売していました。
このシール、実は「AR機能付き」で、専用のアプリで読み込むと、何と動画を観ることができるサービスが付いています。
せっかくの機会なので、全種類買ってきて、早速動画を楽しんでいます。

ということで、「おばけのマール誕生10周年展」は1月29日(木)まで開催中です。
ぜひ、お仕事帰りなどにお立ち寄りください。
大人の方に読んでいただきたい絵本ですよ~。

札幌マニアだったら、マジで必携です☆

「おばけのマ~ル」公式サイト
http://ma-ru.jp/index.html


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by kels | 2015-01-25 19:13 | 本・雑誌・古書 | Comments(2)

まさか2014年になって「遊歩大全」という言葉を聞くことになるとは思わなかった

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「ポパイの遊歩大全'14」というのが、特集のタイトルだった。
ポパイ2014年12月号。
まさか2014年になって「遊歩大全」という言葉を聞くことになるとは思わなかった。

20代の頃、バックパッキングにはまったことがある。
バックパッキングと言っても外国の貧乏旅行のことではない。
それは、大きなリュックを背負って自然の中を何日も歩き続けるという孤独なゲームだった。

1960年代から70年代にかけて、多くの若者たちがこの孤独なゲームにチャレンジしていたという。
そのことを知って、僕はこの時代遅れの孤独なゲームに仲間入りをし、そして、あっという間に虜になった。
既に、バックパッキングと言う言葉そのものが廃れ、外国の貧乏旅行へと変貌を遂げていた時代のことだ。

僕は一人用のテントを買い、一人用のストーブとクッカーとランタンを揃え、寝袋と一緒に大きなバックパックを担いだ。
そして、とにかく道という道(専門家はそれをトレイルと呼んだ)を歩こうと決めた。
文庫本と釣り竿とカメラがあれば、いくらでも旅を続けることができた。

基本的に、山登りとバックパッキングとは違う。
バックパッキングは自然の中を歩くことが目的なので、山頂を目指すことも急な坂道も登る必要もなかった。
できるだけ広がりのある原野の中の一本道を歩くことが、僕には一番楽しいバックパッキングだったように思う。

「ポパイ」を読みながら、久しぶりに僕はあの頃のことを懐かしく思い出している。





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by kels | 2014-11-29 22:48 | 本・雑誌・古書 | Comments(0)

この秋はロバート・B・パーカーのスペンサーシリーズを読破しよう

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時計の針はそろそろ午前4時になろうとしている。
僕は寝ようかどうしようか迷っている。
出かける時間を考えると、中途半端な睡眠になりそうな気がしているからだ。

こんな時間まで何をしていたかと言えば本を読んでいた。
この秋はロバート・B・パーカーのスペンサーシリーズを読破しようと思い付いたのだ。
先ほど2作目の「誘拐」を読み終えたところである。

スペンサーというと、どうしても後半の作品の軽妙なタッチのイメージが強い。
久し振りに「ゴッドウルフの行方」を読んだとき、ハードボイルドだと思った。
フィリップ・マーロウに負けていないくらいに。

シリーズが進むと、どうしてもエンターテイメント性が強くなるのかもしれない。
あるいは、時代が変わっただけなのかもしれない。
いずれにしても、僕は古い時代のスペンサーの方が好きみたいである。

午後はモーツァルトの交響曲のCDを延々とリピートしながら小説を読んだ。
夜はパヴァロッティの懐かしいアリアを繰り返し聴きながら小説を読んだ。
おかげで今も頭の中には「カルーソー」の切ないメロディが鳴り続けている。

それにしても、スペンサーとパヴァロッティ。
この10年間、僕は何にも進化していないんだなあと、つくづく感じた。


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by kels | 2014-10-05 04:05 | 本・雑誌・古書 | Comments(2)