カテゴリ:秋のこと( 111 )

どうして、僕たちは、冬の厳しいこの土地で暮らし続けなければならないのか

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十一月はまたの名を霜月と言います。
私は子どものときから霜月という呼び名が好きでした。
北海道の十一月は、もうそろそろ雪の降り出す季節ですけれども、それでもよく晴れた日の朝早く、うらのキャベツ畑に出てみますと、黒い土の上一面に、うっすらと白く霜が降りていて、ずらりと並んだキャベツの玉の、きっちりと巻いた上皮がうす青く少しほぐれ、朝陽にとけた霜が瑞々しく葉を濡らしています。

「冬支度」森田たま(1956年)


札幌の街の紅葉が美しいのも一瞬である。
気が付けば、黄色い葉は散って、街は急激に寂しくなりつつある。
鮮やかだった藻岩山も、すっかりと枯れ山へと姿を変えた。

文明が進んだせいなのか、冬支度という言葉も、あまり聞かなくなった。
開拓以来、北海道の人々にとって冬を迎えるということは、人生の大きな節目にも似ていた。
長く厳しい冬を越すということは、言葉で言うほど簡単なことではなかったのだ。

冬が近くなるたびに、僕たちは北海道という風土と向き合わなければならない。
どうして、僕たちは、冬の厳しいこの土地で暮らし続けなければならないのかと。


by kels | 2017-11-05 08:26 | 秋のこと | Comments(0)

きっと、僕は街で一番早くコートを羽織ったビジネスマンかもしれない

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千歳空港で荷物を受け取って外に出ると、空気は予想していたより冷ややかだった。
僕は首に巻いていたダンガリのシャツをTシャツの上に着こみ、彼女はシャツの上から毛糸のベストを着た。
東京よりちょうど一か月分早く、秋が地上に腰を据えていた。

「羊をめぐる冒険」村上春樹(1982年)

もうすぐ10月が終わろうとしている。
夏の終わり以降、札幌の季節は突然駆け足で通り過ぎて行く。
秋から冬にかけて、季節はあっという間に流れ去っていくようだ。

気が付けば、冬はもうすぐ目の前まで迫っていて、秋は後ろ姿で立ち去ろうとしている。
今年初めてストーブを使った話や、いつ冬タイヤに交換すべきかという話を、人々は交わすようになる。
色づく街は、やがて訪れるモノクロームの季節の前触れにすぎないのだ。

朝夕の気温と真昼の気温差とが大きく、僕たちは、コートを着るべきか、マフラーを首に巻くべきかで悩まされる。
女子高生が早々に赤いチェックのマフラーを首に巻き付けている中、ビジネスマンは季節の流れに抗うかのように最後までコートを羽織ろうとしない。
まるで寒さに負けたものが順番に次の季節へと脱落していくかのように。

きっと、僕は街で一番早くコートを羽織ったビジネスマンかもしれない。
そのうえ、首元にはマフラーを巻き付けて、冬への旅を急いでいるかのように季節を先取りしている。
昔から、何かにつけて我慢するということが苦手な子どもだったのだ。

秋のコートが冬のコートに変わる日は、もう、そう遠くはないだろう。


by kels | 2017-10-29 06:55 | 秋のこと | Comments(0)

樹の葉の色が変わっただけで、こんなにも楽しいんだから、人生って良いよね

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久しぶりに、一眼レフカメラを持って街に出た。
紅葉の写真を撮りたいと思ったのだ。
色づく街を見ると、じっとしていられない性分らしい。

この感覚は、春の桜の季節に似ている。
桜の花びら舞う街を見ていると、じっとしていられない。
つまり、春と秋になると、僕は非常に落ち着きがなくなるわけだ。

そう言えば、しんしんと雪の降る冬の日も、何となくそわそわする。
季節の風景というのは、何かしら人の心に働きかけるものがあるのだろう。
美しい四季を持つ日本に生まれた故の性というものなのかもしれない。

単純に考えて、樹の葉の色が変わっただけで、こんなにも楽しいんだから、人生って良いよね。

by kels | 2017-10-28 21:19 | 秋のこと | Comments(0)

最近は、風物詩としてのハロウィンが、すっかりと定着しているようである

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午後、街を歩いていると、南2条通りが歩行者天国になっていた。
仮装をした人々が集まっている。
どうやら、ハロウィンのイベントだったらしい。

最近は、風物詩としてのハロウィンが、すっかりと定着しているようである。
カフェに行けばハロウィンを意識した期間限定メニューもある。
街はもちろんハロウィンムードでいっぱいだ。

何だかよく分からないけれど、活気あふれる街というのは悪くない。
何より、普通に一般市民が、気軽に参加できるところがいい。
時代は、体験参加型のイベントを求めているのだ。
by kels | 2017-10-28 21:10 | 秋のこと | Comments(0)

今、札幌の街は、秋の終わりの、最後の場面にあるらしい

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いちだんと日が短くなり、寒さも増してきました。
雨はほとんど降らず、毎日お昼ごろ、ほんのしばらく、ちらっと日の光が谷底に射しました。
すると、地面がぱっと明るくなって、裸の木の影が、黒々と浮かび上がります。

でも、昼前も昼過ぎも、夕方のように薄暗くて、そのうちにとっぷりと、暗闇につかってしまいます。
入り日は、もう、まるっきり見られなくなりました。
日の沈む頃は、空が黄色に染まって、周りの山々が影絵のように、くっきり浮き出て見えるきりです。
毎日が、井戸の中の一日のようなんです。

「ムーミン谷の十一月」トーベ・ヤンソン/鈴木徹郎・訳(1970年)

札幌の秋は短いと言うけれど、それなりに長いような気もする。
だって、オータムフェストの始まった9月から数えて、もう3か月。
札幌の秋が3か月もあるなんて、僕は全然知らなかった。

そして、この3か月は、めまぐるしく季節が変わる3か月だった。
ひとつの季節の中で、季節が移り変わっていく様子が目に見えるのだ。
初秋から晩秋へと、札幌の風景は大きく変わっていった。

今、札幌の街は、秋の終わりの、最後の場面にあるらしい。
もうひとつドアを開ければ、そこには新しい季節が待ち受けている。
我々は、ドアノブに手をかけたまま、ただ「そのとき」が来るのを待ち続けているだけだ。

まるで焦りにも似た気持ちを抱えて。


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by kels | 2015-11-15 06:42 | 秋のこと | Comments(0)

札幌の秋が終わろうとしている。冬が来る直前の、この季節が、僕は好きだ。

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雲がむくむくとわいてきて、じわじわと、海の上に広がっていきました。
空一面に、雲が重たく垂れこめました。
ひと目で、雪をいっぱいつんだ雲だということがわかります。
もう二、三日したら、谷間はすっかり冬らしくなってしまうでしょう。
冬は、長いこと待ちかまえていて、いよいよやってきたのです。

「ムーミン谷の十一月」トーベ・ヤンソン/鈴木徹郎・訳(1970年)

札幌の秋が終わろうとしている。
街の人々は、そのことをよく知っていて、本格的な冬に準備に入った。
あと一週間か二週間で、長い冬が訪れるのだ。

冬が来る直前の、この季節が、僕は好きだ。
みんな、何かを覚悟したように、何かをあきらめたように無言になる。
「そのとき」が来るのを、ただじっと待ちかまえている。

秋でもなくて冬でもないような中途半端な季節。
深い雪に閉ざされてしまうまで、人々は奇跡みたいな夢を信じているのかもしれない。
雪のない冬というものが、この街には存在しないことを知っていながら。


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by kels | 2015-11-14 20:53 | 秋のこと | Comments(0)

僕は寒がりだから、一番寒い状態にピントを合わせる

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今日もまた、十一月の一日が静かに暮れていきました。
ミムラ姉さんは、羽ぶとんの中にもぐりこみました。
足をのばすと、こつんとつま先がぶつかったので、つま先を曲げて、あんかをはさみました。

「ムーミン谷の十一月」トーベ・ヤンソン/鈴木徹郎・訳(1970年)

10月以降、札幌の気候は不安定になっているようだ。
9月までは残暑らしい残暑もなくて暦どおりに寒くなってきたけれど、10月に入ってから突然に寒い日が続いた。
「11月中旬並み」みたいな言葉が、毎日のように続いた。

今週は寒さが少し和らいで、10月中旬並みに戻った。
と思ったら、週末からまた冬みたいな気温になるらしい。
寒暖差についていくのが大変な秋だ(笑)

僕は寒がりだから、一番寒い状態にピントを合わせる(実際に朝早くて夜遅いので)。
今週もブルックスブラザーズのショートダッフルコートにブルックスブラザーズのカシミヤのマフラーを着用して仕事に出かけた。
考えてみると、真冬並みの重装備だ(笑)

気温の高い日と寒い日がランダムに訪れるので、街行く人たちの服装もバラバラだ。
重いコートの人もいれば、そもそもコートを着ていない人もいる。
このバラバラ感が、札幌の11月というやつなのかもしれない。

まあ、体調管理にだけは気を付けないとね。


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by kels | 2015-11-07 07:38 | 秋のこと | Comments(0)

今年の10月は何だか10月らしくなかったような気がする。

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ああ、マリラ、世界に十月という月のあることが、あたし、うれしくてわまらないわ。
この楓の枝を見てちょうだい。
スリルを感じないこと? ぞくぞくっとしないこと?
あの古い青いつぼにさして、あたしの部屋のテーブルの上に置こうと思うのよ。

「赤毛のアン」L.M.モンゴメリ/村岡花子・訳(1908年)

アンの大好きだった10月も今日で終わり。
今年の10月は何だか10月らしくなかったような気がする。
なにしろ、今年の10月は寒すぎたから。

10月だというのに毎日のように、11月上旬並みとか11月中旬並みとか11月下旬並みの気候ばかり。
本当の10月がどこに行ったのか分からないうちに10月が終わる。
こんな10月もきっと珍しいだろうなあ。

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by kels | 2015-10-31 23:17 | 秋のこと | Comments(0)

とにかく僕は、おばけの顔になった女の子と一緒に、カボチャのお菓子を食べている

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生まれてはじめて算術の教科書を手にした。
小型の、まっくろい表紙。
ああ、なかの数字の羅列がどんなに美しく眼にしみたことか。
少年は、しばらくいじくっていたが、やがて、巻末のペエジにすべての解答が記されているのを発見した。
少年は眉をひそめて呟いたのである。
「無礼だなあ」

「葉」太宰治(1934年)

街はハロウィンで賑わっている。
だけど僕は、ハロウィンについて何も知らない。
そもそも昔は「ハロウィーン」ではなかったか。

1983年発行の「日本大歳時記」に「ハロウィン」の文字はない。
当時、ハロウィンはまだ、季節の言葉として定着はしていなかったのだ。
「バレンタインデー」を掲載するのが精いっぱいだったのかもしれない。

結局僕は街に出て「ハロウィン」を観察するしかない。
おばけの仮装行列、カボチャのおばけ、溢れるオレンジ色。
分かったようで分からないような札幌のハロウィン。

とにかく僕は、おばけの顔になった女の子と一緒に、カボチャのお菓子を食べている。
どうしてって、それがハロウィンというものだから。


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by kels | 2015-10-31 22:54 | 秋のこと | Comments(0)

2015年、ハロウィンはいよいよ大きなイベントとして、札幌に登場してきた。

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10月31日、札幌の中心部で仮装をした女の子たちの姿を見た。
ハロウィンなのだ。
どうやら、新しい季節の催しが、札幌にも定着しようとしているらしい。

昨年の10月31日の夜だっただろうか。
僕はススキノで仲間たちと遅くまで飲み歩いていた。
混雑する真夜中の交差点に、コスプレをした女の子たちが集まっていた。

「なんだろう」と僕が言うと、誰かが「ハロウィンさ」と言った。
10月31日の夜には、仮装をしてパーティーをするのだという。
札幌にもハロウィンがあるのだと、僕は思った。

2015年、ハロウィンはいよいよ大きなイベントとして、札幌に登場してきた。
明らかに昨年以上に、ハロウィンの熱が札幌の街を包み込んでいる。
仮装をした女の子とすれ違うたびに、僕はそう考えていた。

南一条通りの歩行者天国では、ハロウィンのイベントが開催されていた。
ステージの上では地元のアイドルが踊り、会場には仮装をした女の子たちが集まっている。
誰かが盛り上げようとしているのか、みんなが盛り上がりたいと思っているのか。

イベントの黎明期に特有の初々しさも、いずれ洗練されてしまうのだろうな。


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by kels | 2015-10-31 21:24 | 秋のこと | Comments(1)