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ニッポン居酒屋放浪記

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最近すっかりお気に入りになった太田和彦さんの居酒屋シリーズ。
1997年に出版された「ニッポン居酒屋放浪記」も、日本各地の居酒屋を飲み歩くレポートものだが、単なる居酒屋レポートに終わっていないので、どんどん読むことができた。
昔、本田勝一のルポを読んで経験したような、ローカルな地への旅情がたっぷりと込められている。
それぞれの土地にはそれぞれの歴史と文化があり、それぞれの町の居酒屋はそうした歴史や文化の上に成り立っている。
きっと、作者はそういうことを意識しながら、居酒屋を巡り歩いているのだろう。

北海道からは冬の釧路が紹介されていて、釧路には「鳥取」という集落があることに始まって、その開拓の歴史から釧路名物の炉端焼きを推察しているあたりは、郷土誌の研究としてもおもしろいと思った。
釧路に限らず、それぞれの町で郷土に根ざした食べ物を食べ歩いているから、郷土文化や郷土色の資料としても、将来的に貴重になるかもしれない。

釧路で「骨湯」を飲むシーンがある。
食べ終わった魚の骨に熱湯(あるいはだし汁)をかけて飲むのだが、これをお店でやるのを初めて知った。
僕の父親は、カレイが大好物で、カレイの煮付けを食べ終えた後にはいつも、骨だけが残った深い皿に熱湯を注いで、その汁を飲むのが好きだった。
それを釧路という土地で、しかも旅行者である著者がやっていることに、とても驚いた。

このシリーズでもっとも重要なポイントは、旅先であった「イヤな経験」である。
酒が揃っていないとか、飯が不味いとかはともかく、店主の姿勢が傲慢であったり、商売を舐めているような態度であったりすると、著者はいつでも憤慨するのだけれど、そういう経験を本を通して伝えるというのは、とても大切なことだと思う。

グルメガイドなんかでは格好いいことばかり書いて、お店を持ち上げることしかしないけれど、我々が本当に知りたいのは、店で経験したイヤな体験である。
このシリーズは、そういうイヤの思いのある店については名前を出していないけれど、本当だったらきちんと名前を記してほしいと思うほどだ。
別に、お店を誹謗中傷するのではなく、そこであったこと、感じたことをそのまま記すことが必要だと思う。
書かれて困るようなことは、お店としては絶対にやってはいけないわけで、そうした緊張感の中でこそ、良い店は育つような気がする。

ちなみに、僕がネットで検索するのは、お店の良い情報よりも悪い情報の方である。
「有名なお寿司屋さんに小さな子どもを連れて行ったら露骨に邪魔者扱いされた」とか、「美味しいけれど、店主がとても横柄で居心地悪かった」とかなんとか、そういう情報が実はなにより大切だったりする。
そして、あまり出てこないのが、この悪い方の情報だったりもするから、世の中始末に悪いなあと思ったりもするのだ。

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by kels | 2008-06-07 07:20 | 旧・札幌日和下駄 | Comments(0)
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