昨日、遠友夜学校について書いたばかりですが、遠友夜学校に関わった文学者として、有島武郎の存在を忘れることはできません。 有島といえば、学生として札幌農学校に在学したときと、教師として東北帝国大学農家大学(現在の北海道大学)に勤務したときの2度に渡り、遠友夜学校との関わりが推測されていますが、、例えば日記の中に次のような記述があります。 道に貧民窟なる豊平に出て夜学校に来りし時、優美なる唱歌の聞こえぬ。余は思はず月隈なき軒下に佇みて雙耳は全く唱歌に奪ひ去られ、之を聞くことなく稍々久しくて去り、二三間を歩み出でたる時、左側の茅屋より夜学校にて歌へる「夕空晴れて……」を微吟せるものあり。女の声なり。当時、有島は現在の菊水の豊平河畔に暮らしていた頃で、川沿いに豊平橋まで出てから川を超えて、夜学校へ歩いていったことがわかります。 もっとも、有島と夜学校との関係は、有島が東北帝国大学農家大学の教授として赴任していた時代に、夜学校の代表となった時にもっとも注目されることになるようです。 このあたりの経緯については、いずれホームページの方でゆっくり書いてみたいですね。 さて、写真は大通公園に設置された有島武郎の記念文学碑です。 碑文には「小さき者へ」の一節が刻まれ、藤川基(叢三)の製作によるレリーフが飾られています。 ちなみに、題字は農学校時代の同級生であり、夜学校の代表を務めたこともある半澤洵によるものです。 札幌における有島武郎の活動には注目すべきものが多く、多くの研究書があるほどですが、確かに有島武郎の持つセンチメンタリズムには、札幌的なものを感じるような気もします。 札幌の街並みに残る歴史の痕跡を探して歩くのも、また札幌ウォークの楽しみなのです。
by kels
| 2006-09-20 19:56
| 文学・芸術
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Comments(2)
Commented
at 2006-09-20 23:35
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented
by
kels at 2006-09-24 20:52
鍵コメ様。
どうぞゆっくりご覧になっていってください(笑) 僕もこの作品、大好きなんです☆
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by kels カテゴリ
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