ニシンと言えば「春を告げる魚」であると、自分も思っていた。 ところが地元の新聞では、石狩湾のニシン漁が好調であると記事が出ている。 ニシンは、こんな寒い季節に獲れるものなのだと、少々感心してしまった。 確かに、スーパーの魚売り場に行くと、たくさんのニシンが並んでいる。 よく見ると「寒にしん」という表示がある。 やはり、寒い季節に獲れるニシンというのは、少し特別なものなのかもしれない。 小林多喜二の若い頃の作品に「田口の『姉との記憶』」という短編小説がある。 友人の田口が語る昔話の中で、女学生だった姉は、小樽に接する漁村で、ニシンのもっこ担ぎのアルバイトをしていた。 漁から戻って来たばかりの船に大量に積まれているニシンを、背中のカゴ(もっこ)に詰めこんで、陸まで運ぶ労働である。 ニシンの鱗まみれになりながら、女性には重労働のこの仕事を、姉は暮らしのためにこなしていた。 大漁だったニシンで沸き上がる漁村には、隣町の小樽からたくさんの市民が見物に訪れたらしい。 姉は、見物客の中に学校の友人が紛れていることを、ひどく恐れた。 当時としても貧しい自分たちの生活を、学友には知られたくなかったのだ。 かつて、日本海側の漁村が、ニシン漁で成り立っていた時代の話である。 大漁のおかげで、今年は早い時期から、ニシンを食べることができてうれしい。 正月くらいにしか食べない数の子を食べる機会も、今年は増えた。 やはり北海道には、ニシンという魚が、とても良く似合うと思う。 ちなみに、小樽のニシン漁は、江戸末期から明治にかけてがピークだった。 沿岸部まで押し寄せるニシンの群れは「群来(くき)」と呼ばれ、漁師は春のニシン漁だけで1年間生活できたと言う。 近年少しずつ、この「群来」が復活しているようなので、今後も楽しみである。 ※※※「にほんブログ村」に復活しました。1日1クリックをお願いします! にほんブログ村
by kels
| 2018-02-02 21:14
| 食・グルメ
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