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僕と祖母は手をつなぎながら、碑難所である公民館のような施設まで歩いた。

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毎日、雨降りが続いている。
故郷の街では避難勧告が出されているくらいだ。
何十年ぶりだろう、こんなひどい雨というやつは。

そのとき、僕は夏休みを利用して祖母の家に泊まり込んでいた。
北海道にもひどい台風が来た年のことだ。
何をすることもなく、僕はただ窓の外の景色をぼんやり眺めていた。

住宅街の脇を小さな川が流れていた。
祖母の家は、その川から随分離れた内側にあった。
川まで数分歩かなければならないほどだ。

その午後、川が氾濫して水が溢れた。
川の水は最初遠くの住宅を浸水していたが、少しずつ祖母の家まで近づいていた。
川の水が寄せてきる様子を、僕はただじっと眺めていた。

近所の人たちは大騒ぎをしながら集まってきて、一階にある家具やら畳やらを2階に上げた。
今や避難勧告が出されていた。
流されないように重い荷物を背負った方がいい、と誰かが言った。

僕は布団を担いで、祖母と一緒に家を出た。
水は子どもの太股くらいまで達していた。
僕と祖母は手をつなぎながら、碑難所である公民館のような施設まで歩いた。

碑難所には、既に多くの住民が集まっていた。
お握りが配給されて、僕らは川の水が引くのを待った。
国道が決壊していて自動車も通れないという噂が広まっていた。

僕の父が迎えに来たのは、その夜のことだ。
半壊していた国道を、担当者の人の誘導で通してもらえたらしい。
おおらかな時代で、おおらかな街だったのだろう。

あれから長い時間が経ち、祖母は亡くなり、祖母の家も人出に渡った。
そして今年、久しぶりに避難勧告が出ている。
夏の終わりの、こんな季節だった。


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by kels | 2016-08-21 06:59 | 随想 | Comments(5)
Commented by 無名子 at 2016-09-21 12:56 x
kelsさんこんにちは
最近、更新されていらっしゃらないようですが、お忙しいのでしょうか。
いつも楽しみにしておりますので、少々気になりまして。
お時間ができましたら、またkelsさん視点の様々なお話をご紹介ください。
Commented by Depesh139 at 2016-10-01 08:32
札幌出身でロンドン在住です。いつも楽しみにしています。更新されるのを待ち望んでいます。
Commented by kels at 2016-10-02 21:32
無名子さん、こんにちは。
小休止の時間をいただいておりますが、ブログは続けていくつもりです。
今しばらくお待ちください。
ご心配をおかけいたしまして、本当に恐縮です!
Commented by kels at 2016-10-02 21:33
Depesh139さん、こんにちは。
コメントありがとうございます!
ブログ更新、必ず復活して、今の札幌をお伝えしたいと思いますので、今しばらくお待ちください。
ロンドンからありがとうございます☆
Commented by Depesh139 at 2016-10-06 05:53
Kelさん、こんにちは。復活されてなによりです。安心しました。
実は、更新のなかった9月は札幌に2週間程、里帰りをしていました。このブログの中で紹介されていた幾つかのカフェやお店等を歩き廻ったりしてkelさんの感性に勝手に共感していました。これからも札幌にまつわる話、その他楽しみにしています。
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