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中島公園のボート池の畔には、今年も紫陽花の花が咲いている

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ここでは夜明けが僕の瞼の上に直接落ちてくる。
と、僕の咽喉のなかで睡つてゐる咳は、僕より早く目をさます。
咳は、板敷の固い寝床にくつついてゐる僕の肩や胸を揉みくちやにする。
どんなに制しようとしても、発作が終るまでは駄目なのだ。
僕は噎びながら、涙は頬にあふれる。
だらだらと涙を流しながら、隣家の庭に咲いてゐる紫陽花の花がぽつと朧に浮んでくる。
僕は泣いてゐるのだらうか、薄暗い庭に咲き残つてゐる紫陽花は泣かないのだらうか。
死んだお前も、僕も、それから、このむごたらしい地上には、まだまだ沢山、こんな悲しい時刻を知つてゐる人がゐるはずだ……

「魔のひととき」原民喜(1949年)

特に意味のない話だけれど、レイモンド・チャンドラーが「かわいい女」を発表した年に、原民喜は、この短編小説を発表している。
戦争に勝った国と戦争に負けた国との明暗を僕は感じた。
特に意味はないのだけれど。

中島公園のボート池の畔には、今年も紫陽花の花が咲いている。
札幌では夏の訪れを告げる紫陽花の花が。


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by kels | 2016-07-24 06:18 | 夏のこと | Comments(0)
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