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芥川龍之介が札幌を訪れたのは、昭和2年5月のことである

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札幌――クリストは上に、大学生は下に、・・・「すすき野」と云ふ遊廓どこですか?
又――あの植物園全体へどろりとマヨネエズをかけてしまへ。
(傍白。――「里見君、野菜だけはうまいでせう。」)
又――孔雀は丁度キヤンデイの樣に藍色の銀紙に包まれてゐる。
又――有島武郎氏はポケツトの中にいつも北海道の地図を持つてゐる。

「東北・北海道・新潟」芥川龍之介(1927年)

芥川龍之介が札幌を訪れたのは、昭和2年5月のことである。
講演旅行で来道した折りのことであり、札幌では、北海道大学と大通小学校で講演している。
植物園を訪れたときの感動は、有名なフレーズとなっている。

もっとも、遠く北海道を訪れた記録としては、あまりに簡単で素っ気ない。
思うに、芥川に札幌の街は、それほど共感を得られなかったのではないだろうか。
「里見君、野菜だけはうまいでせう」という言葉には、芥川の本音があるような気がする。

記録によると、このときの一行のスケジュールは、かなりタイトなものだったらしい。
もしかすると、移動と講演との毎日に、芥川も疲れきっていたのかもしれない。
芥川にとっても、稼ぐための北海道旅行ではあった。

講演にはもう食傷した。当分はもうやる気はない。
北海道の風景は不思議にも感傷的に美しかつた。
食ひものはどこへたどり着いてもホツキ貝ばかり出されるのに往生した。
里見君は旭川でオムレツを食ひ、「オムレツと云ふものはうまいもんだなあ」としみじみ感心してゐただけでも大抵想像できるだらう。

「講演軍記」芥川龍之介(1927年)

久しぶりに、北大植物園へ行こうかと思ったけれど、結局、今週も行かなかった。
札幌の街は瑞々しい新緑に包まれている。
芥川も、この札幌の新緑の中を歩いたことだろう。


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by kels | 2016-05-29 20:00 | 札幌文学散歩 | Comments(0)
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