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石川啄木は「札幌に似合うのは、高層ビルではなく平屋造りの大建物だ」と言った

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札幌に似合へるものは、幾層の高楼に非ずして幅広き平屋造りの大建物なり、
自転車に非ずして人力車なり、朝起きの人にあらずして夜遅く寝る人なり、
際立ちて見ゆる海老茶袴(えびちやばかま)に非ずして、しとやかなる紫の袴なり。
不知(しらず)、北門新報の校正子、色浅黒く肉落ちて、世辞に拙(つたな)く眼のみ光れる、
よく此札幌の風物と調和するや否や。

「秋風記」石川啄木(1907年)

啄木は、いろいろな場面で札幌を賛辞している。
日記や書簡なども、表現方法のひとつだった。
ただし、世の中に公表された散文としては、この「秋風記」があるのみである。

札幌で啄木は「北門新報」という新聞の校正係に就職する。
他人の書いた記事を校正する仕事だから、決して文学的な仕事ではなかったに違いない。
もちろん、文学者たる啄木の納得できるような仕事ではなかった。

それでも啄木は、9月18日付けの北門新報に「秋風記」という題名のエッセイを寄せている。
ただの校正係では終わらないという意思表示だったのかもしれない。

それにしても、啄木が札幌入りしたのは、14日の土曜日である。
15日の日曜日は市内を散策しており、初めて出社したのは16日の月曜日だった。
日記によれば、17日の火曜日に「北門歌壇」と「秋風記」の原稿を編集局に提出している。

啄木の並々ならぬ意欲が伝わってくるようなエピソードだと思う。

さて、啄木は、札幌に似合うのは、高層階の建物ではなく平屋造りの大建物だと言った。
自転車ではなく人力車だと言った。
朝型の人たちではなく、夜型の人たちだと言った。

いずれも、東京と比べた、北海道の中心たる札幌に対する印象だったのではないだろうか。
この後、札幌は、都市の発展とともに、どんどん東京のミニチュア版へと成長していくことを、啄木は知らない。
「しとやかなる紫の袴」が調和した街並みには、今、流行のファッションが調和している。


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by kels | 2016-05-08 06:59 | 旧・札幌日和下駄 | Comments(0)
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