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髪を切ってもらいながら、僕はスタイリストさんとの世間話を楽しんでいる

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女が髪を切るとき、という平凡な言葉に、私は過剰な意味を持たせたくないです。
切りたくなれば切る。
ただそれだけのことですけど、切ることに意味が託されている場合というものも、確実にあるのよ。

「道順は彼女に訊く」片岡義男(2001年)

月に1度、髪を切りに出かけている。
僕の髪を切るのは、いつでも同じスタイリストさんだ。
この店に通うようになって、もうすぐ2年が経とうとしている。

「本当は先生になりたいと思っていたんですよね」と、彼は言った。
大きな鏡の中で彼は、真剣な表情でハサミを動かし続けている。
「だけど、高校のときに、全然勉強ができなくって」

髪を切ってもらいながら、僕はスタイリストさんとの世間話を楽しんでいる。
日頃、とても狭いビジネスの世界で生きているから、仕事に関係のない話がとても楽しい。
彼と会話をしていると、頭の中がとてもクリアにリフレッシュされるのが分かる。

「高校を卒業して、すぐに働きたいとは思わなかったんですよね」と、彼は笑う。
「気軽な気持ちで専門学校に行って、気軽な気持ちで、この業界に入りました」
そうしてもう10年が経とうとしている。

彼の仕事は、とてもプロフェッショナルだ。
流行の研究だけではなく、経営に関する分析も、実にしっかりとしている。
髪を切ってもらいながら、僕は美容室経営に関するいろいろなことを彼から学んでいる。

「気軽に始めた分だけ、長続きしているのかもしれません」と、彼は言った。
「職業に対する期待と現実とのギャップみたいなものもありませんでしたから」
大きな夢を抱いてプロになった若者ほど、期待と現実とのギャップに耐えられないのではないかと、彼は考えている。

生きている世界も、世代も違うけれど、僕は彼を尊敬している。
あるいは、職業も世代も違うからこそ、僕らは互いを認め合えるのかもしれない。


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by kels | 2016-04-16 21:50 | 随想・日記 | Comments(0)
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