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「カインの末裔」には、北海道の真冬の凄まじさがリアルに表現されている

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天も地も一つになった。
颯と風が吹きおろしたと思うと、積雪は自分の方から舞い上るように舞上った。
それが横なぐりになびいて矢よりも早く空を飛んだ。
佐藤の小屋やそのまわりの木立は見えたり隠れたりした。
風に向った二人の半身はたちまち白く染まって、細かい針で絶間なく刺すような刺戟は二人の顔を真赤にして感覚を失わしめた。
二人はまつげに氷りつく雪を打振い打振い雪の中をこいだ。

「カインの末裔」有島武郎(1917年)

1917年(大正6年)、有島武郎は休職していた東北帝国大学農科大学(現在の北海道大学)を退職した。
妻の病気治療のために、北海道を離れてしまったからだ。
「カインの末裔」を書いたとき、有島は北海道の人ではなかった。

だから、この作品は、有島の記憶の中の北海道が描かれているということになる。
この作品の舞台は、後志地方の狩太(かりぶと)である。
(狩太町は、昭和39年に「ニセコ町」へと名称変更をしている。)

北海道の真冬の凄まじさが、実にリアルに表現されている。
「颯と風が吹きおろしたと思うと、積雪は自分の方から舞い上るように舞上った。それが横なぐりになびいて矢よりも早く空を飛んだ。」の部分は、まさに北海道の冬だ。
吹雪ではなくても、強い風に吹き上げられた雪が、すべての視界を失ってしまうのである。

北海道の冬の写真を撮るのだったら、このような写真を撮りたいと思う。
もちろん、相当の覚悟がなければ、そのような機会はそうそうあるものではないだろうけれど。


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by kels | 2016-01-17 07:52 | 文学・芸術 | Comments(0)
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