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船山馨の「北国物語」は、札幌を舞台に繰り広げられる青春物語である

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「きむら」のからの帰り道、衣子と真岐はわざと電車に乗らずに、雪の山になっている大通公園に沿うて歩いていった。
月がますます冴えてきて、地上いちめんの雪は青い虹を敷いたようになって見えていた。
片側街の家々の軒におびただしく吊り下がっている氷柱に、よく見るとひとつひとつ小さな円い月が映っているのだった。

「北国物語」船山馨(1941年)

船山馨の「北国物語」は、札幌を舞台に繰り広げられる青春物語である。
美しいロシア人少女が登場する札幌は、いかにもエキゾチックなムードに包まれている。
昭和初期の札幌が持つ雰囲気が織り成す物語と言っていいかもしれない。

実際、この作品では、当時の札幌の街並みが、随所に描かれていて興味深い。
現在から70年以上も昔の札幌だから、風景が変わっていないはずがない。
それでも、現在の札幌につながる原風景みたいなものは、決して変わらないように思う。

上の引用部分は、真冬の大通公園を二人の若い男女が歩いて帰るシーンである。
大通公園の両脇はビルではなく、まだ普通の民家が並ぶ時代だった。
そして、木造平屋建ての民家の軒先には、びっしりと氷柱がぶら下がっていたことだろう。

二人は「わざと電車に乗らずに」歩いて帰る。
札幌に市電が導入されたのは、開道50年を迎えた大正7年(1918年)のことである。
昭和初期、市電はすっかりと市民の足として定着していたのだろう。

昔の小説を読んでいると、「昔」という時代が、決して突飛な時代ではないことが分かる。
昭和初期であれ、大正時代であれ、そこが札幌であるという事実に変わりはない。
時代が違えども、街の営みはそれほど大きくは変わらないということなのかもしれない。


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by kels | 2016-01-10 18:36 | 文学 | Comments(0)
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