<< 札幌の街が隅々まで均一に美しく... 札幌は地下街が多いから、あえて... >>

毎年思うことだけれど、雪の降る夜というのは、時間の感覚を忘れさせる

b0103470_5171322.jpg

雪の上に立ち留まって、森は瑞子の顔を見詰めた。
もうすっかり止んではいたが、降り積もった上を呷りながらからっ風が飛んでいくので、吹雪のように舞い上がった。
ガス燈の仄明かりだけ、まるで、芝居の雪のように真っ白に舞い上がる。
眼に見える行く手の方は、その雪が黒く見えた。

「雪」宇野千代(1929年)

仕事帰りの雪の中を歩いていると、今がいつの時代なのか、分からなくなった。
最近は宇野千代の古い作品ばかり読んでいたからかもしれない。
頭の中には、大正末期の札幌がいつでもあった。

毎年思うことだけれど、雪の降る夜というのは、時間の感覚を忘れさせる。
時間の感覚ばかりか、時代の感覚さえ乏しくなってしまう。
雪にはすべてをリセットしてしまう力があるのかもしれない。

だから、雪の降る夜、いつも僕は大正時代の札幌に迷いこんでいる。
あるいは、明治時代や昭和初期の札幌であったかもしれない。
100年も昔の札幌が、雪の中には見えるような気がする。

実際、雪に埋もれてしまえば、平成も大正もなかった。
雪の中で、人はみな非力だし、文明という文明は雪の下に隠されてしまう。
目に映る光景は、大正時代の雪の夜と大きな違いはなかっただろう。

だから僕は、冬の雪の夜が好きだ。
僕の知らない時代の札幌が、そこにはあるから。


にほんブログ村 地域生活(街) 北海道ブログ 札幌情報へ
にほんブログ村
↑↑↑↑↑
「にほんブログ村」に参加をしてみました。
1日1回のクリックをお願いいたします!
by kels | 2015-12-29 05:48 | 冬のこと | Comments(0)
<< 札幌の街が隅々まで均一に美しく... 札幌は地下街が多いから、あえて... >>