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恋の夢を見ることができるほどには、僕にもまだ希望はあるらしい(笑)

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なあ、年月というのは、人をいろんな風に変えていっちゃうんだよ。
そのときに君と彼女との間で、何があったのかは知らない。
でも、たとえ何があったにせよ、それは君のせいじゃない。
程度の差こそあれ、誰にだってそういう経験はあるんだ。

「国境の南、太陽の西」村上春樹(1992年)

懐かしい夢を見た。

僕はまだ高校生で、好きな女の子に、その恋を打ち明けられないでいた。
二人とも微妙な距離を保ちながら、お互いの気持ちを測りかねている。
そんな幼い恋だったのだろう。

「どうして、そんなことを言うのよ」と、彼女は大きな声で言った。
大きな瞳が怒りで満ちていた。
身に覚えのないことで、僕は怒られているのだ。

「僕は何も言っていないよ」と、僕は言った。
それから長い時間をかけて、僕は彼女の誤解を解いた。
疑わしい表情をして、それでも彼女は最後には、僕を信用してくれたらしい。

いつもはおとなしい彼女だったけれど、友達のことになると、いつでも真剣だった。
正確に言えば、誰に対しても平等で公平だった。
うっかり冗談も言えやしないぜ、と僕は思った。

放課後、校舎からバス通りへと続く帰り道で、僕は彼女に追いついた。
夕闇が街を包み始めていて、僕は黙って彼女と手をつないだ。
彼女が、また怒るのではないかと思ったけれど、何も言わなかった。

坂道を登ってきた顔見知りの教師が、夕闇の中、すれ違い様に何か言った。
「何て言ったの?」と、僕は彼女に小さく訊ねた。
「また、女を変えたのかって」と、彼女は無表情に言った。

そこで目が覚めた。

知らない街の、知らない学校で、僕は知らない女の子に恋をしていたらしい。
あるいは、そういう人生もあったのかもしれないなと、僕は思った。
世の中には、星の数と同じくらいの恋に満ち溢れているのだから。

何はともあれ、恋の夢を見ることができるほどには、僕にもまだ希望はあるらしい(笑)


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by kels | 2015-09-23 22:01 | 随想 | Comments(0)
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