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北大のポプラ並木を歩くなら、やはり夏がいいと僕は思う

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北方の夏は爽やかで、春がいつまでも続いているようだ。
7月だというのに、三色菫が咲き乱れ、野原には香りの高い野薔薇(ハマナス)や野生のアヤメが、群落をなして咲いている。
そして、地位線にはポプラの並木だ。

今日ポプラというと、北海道のポプラが有名で、これほど映画や写真集や絵葉書で広く知られているものは少ない。
高い晴れた空、バンガロー風の農家、遠くの山脈等を背景にしたポプラ並木は、たしかに北海道を代表する風景で、とりわけ札幌の北大の構内にあるそれが古典的存在になっている。

「内地から連絡船で渡ってきて目に付くのはポプラの風景である。札幌のポプラ並木などというと、若い人たちは北海道へ行ったら必ず見なければならないものの一つのように考えている」と北海道の詩人たちは言い、「天にとどく祈りのように淋しく立っている姿は美しい」と言っている。

私も北大のポプラ巡礼をした一人で、最初にそこへ案内をしてくれた人は伊藤整氏であった。
並木路というと人のたくさん通る場所のようであるが、本当は大学の裏手で、畑の中に二丁ほど、自動車がやっと通れるくらいの小道があって、その両側にポプラが植わっている。

「北方の風景」春山行夫(1955年)
北海道を象徴するアイコン的存在だった北大のポプラ並木も、2004年の台風18号で大きな被害を受けた。
倒壊の危険が指摘されて、現在はその一部を歩くことができるだけとなっている。
このポプラ並木を訪れる旅人の姿も少なくなったようである。

もっとも、観光客の少ないくらいの方が、ポプラ並木本来の静けさを感じることができて、ちょっといいような気もする。
そのうち、札幌の穴場的観光名所になっているかもしれない。
本当にポプラ並木に惹かれた旅人だけが、この小さな並木道を訪れるのだ。

ポプラ並木を歩くなら、やはり夏がいいと僕は思う。
よく晴れた日の午後、ポプラ並木を歩いていると、さーっと風が吹き抜けていく。
風はポプラの葉ずれの音で通り過ぎて行くのが分かるが、このときの風の音は、まさしく北海道の夏の音である。


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by kels | 2014-07-02 05:33 | 観光・風物詩 | Comments(0)
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