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村上春樹翻訳による「言い出せなくて」を聴きながら

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村上春樹といえば小説家だけれど、僕は彼のエッセイが好きだ。
エッセイには、いろいろな話題があるけれど、僕は彼の音楽に関する話が好きだ。
そして、音楽の話にもいろいろあるけれど、僕は彼が翻訳する洋楽についての話がとても好きだ。

2003年に発行された「アルネ3号」にも、そんな村上春樹の音楽に関するエッセイが掲載されている。
エッセイのタイトルは「言いだしかねて」だった。
昔の音楽っていうのは、こういうタイトル一つで、胸をキュンとさせる仕掛けになっているらしい。

僕は飛行機で世界一周もした
スペインの革命も調停した
北極点も踏破した
でも君相手だと なぜかうまく切り出せないんだ

1929年には僕は株を売り抜けた
英国に行けば、僕は王室に招待される
でも君の前では僕の心はつらく切ない
それというのも、君にどうしても言い出せないから

「言い出しかねて」村上春樹・訳(1937年)

僕は古い時代の音楽が好きなので、レコードやCDを見つけては買ってきて聴いている。
特に1930年代から40年代にかけての、いわゆる戦前の音楽を聴くと、どういうわけか胸がキュンとなってしまうことが多い。
歌詞もメロディもアレンジも演奏も素朴で単純なのに、人の心の奥底深くに響く音楽とでも言うべきか。

そして、村上春樹のエッセイには、そういう古い音楽が取り上げられることもあって、僕はそういう古い音楽に関する話を、とても楽しみにしているのだ。
それは高名な小説家の難しい音楽論を聴いているというよりは、近所の音楽好きの老人が語る昔話を「へー、そんなことがあったんすね」とか笑いながら聴いているのに近い。
古い音楽の話というのは、やっぱり人生の先輩から聴くべきものだと、僕は考えている。

それにしても、世の中すべてのものが手に入るようなすごい男であっても、好きな女性の前では何も言い出せなくなってしまうっていうのは、いつの時代においても共通している恋愛の本質をとらえたものなのだろう。
1930年代以降、世界中でどれだけの男たちがこの歌を聴きながら「そうなんだよ!」と共感し、涙を流したことか(笑)
男性だったら分かりますよね、この気持ち。





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by kels | 2014-04-13 07:37 | 旧・札幌日和下駄 | Comments(0)
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