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冬は北海道の文学作品に触れる絶好のチャンスでもあるのだ

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冬が来ると、郷土の詩人・伊藤整の作品を読む機会が増える。
小樽で青春時代を過ごした伊藤整の詩は、やはり冬にこそ、その魅力を輝かせるものらしい。
例えば、こんなやつだ。

白く雲がかかり
いつ夕暮がやって来たのか
時計は漸く四時をうったが
貧しい洋燈の灯をともそ。
畳の古んだ部屋で
兄弟はみな炬燵に入り
母は台所で夕げの膳の支度をする。
弟らよあの音をきけ
あの吹雪を。
こんな晩はみんな早く寝るのだよ。

「冬の詩三篇」伊藤整(1926)

これは昭和元年に発行された詩集「雪明りの路」に収録された作品である。
大正時代における北海道の冬の家庭が、ぼんやりと映し出されている。
貧しい洋燈、古い畳、炬燵の兄弟、台所の母、そして吹雪の音。

大正時代のある冬の夕暮れのある一瞬が、短い言葉の中でスナップ写真のように浮かび上がる。
それは鮮明な記録ではないけれど、セピア色をした思い出のように暖かくて切ない。
そして、その光景はある意味で、北海道で生きる者たちにとっての原風景でさえある。

北海道の冬は長くて厳しい。
長くて厳しいから冬だからこそ、そこから生まれる文学というものがある。
だから、冬は北海道の文学作品に触れる絶好のチャンスでもあるのだ。


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by kels | 2013-12-22 07:32 | 文学・芸術 | Comments(2)
Commented at 2013-12-23 18:06 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by kels at 2013-12-23 21:39
鍵コメ様、こんにちは。
興味深いエピソードをありがとうございました。
こういうお話を聴くことができるのも、やはり郷土の作家故なのかなあと感動しています。
こちらこそ、ありがとうございました☆
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