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池波正太郎の「下町のコーヒー」

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祖父は洋食ぎらいで、たまさかに、母がカレーライスをつくったりしても顔をしかめるほどだった。
それなのに「コーヒー」は好きだった。
そのコーヒーなるものは、まあ一種の菓子ともいうべきもので、つまり、角砂糖の中にコーヒーの粉が仕込んであり、これを熱湯に溶かしてのむのである。
いまはもう、こんな鄙びたものは何処にも売っていまい。

私も、その「コーヒー」の味は、いまもよくおぼえている。
いまにしておもうと、なんともいえぬ、ふしぎな味だった。

私たちは「コーヒー」といわずに「コーシー」とよんだ。
この「コーシー」は子供たちが行く駄菓子屋では売っていなくて、もっと菓子屋らしい菓子屋へ買いに行くのだ。
たしか、二個で一銭だっただろう。

祖父は「コーヒー」を湯に溶かさず、そのまま口へ入れてしゃぶりながら、一所懸命に注文の指輪などをつくっていたものだ。

「下町のコーヒー」池波正太郎(1976年)


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by kels | 2012-09-07 23:28 | 旧・札幌日和下駄 | Comments(0)
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