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札幌

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考えてみれば、札幌を出たのも10月半ばのことだった。
定職にも就かず、毎日をフラフラとして暮らしていた僕は、釣り竿とカメラだけを持って札幌のアパートを引き払い、オホーツク海に面した小さな街で、素朴な仕事を見つけた。
とにかく札幌を離れたいのだという気持ちだけが、僕を道北の街へと駆り立てていたように思う。
思えば、あれも9月下旬のことだった。
夏の終わりは、僕に何かの区切りを付けさせたがっているのだろうか。

札幌を離れるというと、友人たちはみなひどく驚いたようだった。
札幌で生活していた数年間、僕は誰かの部屋に入り浸ったり、誰かが僕の部屋へ入り浸ったりして生活していたから、僕が札幌を離れるということに、みんなうまく反応できなかったのだと思う。
半月ほどの間、僕らは毎晩のようにススキノへ出かけて、酒を飲み、昔話をした。
夜更けまで飲み明かし、僕の部屋で雑魚寝したその朝、僕は何人かの仲間たちを起こして釣りに出かけた。
土砂降りの雨の中、一日中ロッドを振り続けた秋の尻別川。
まともな釣りができなくて、それが札幌で暮らしていた僕の、最後の釣りだった。

旅立つ前夜も、僕らはススキノにいた。
札幌で暮らすようになってから、何年もの間、毎日のように顔をつきあわせてきた仲間たち。
みんなまともな仕事に就いていて、僕だけがフラフラしていたけれど、夜になれば楽しく話をすることができた。
最後に弾いて歌ったのは、ベン・E・キングの「スタンド・バイ・ミー」だった。
翌朝早くに、僕は街を出た。
次に住む街まで、自動車で7時間も走らなければならなかった。


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by kels | 2010-09-29 19:17 | 日記 | Comments(2)
Commented by 山北雅仁 at 2010-10-03 10:41 x
しかし再び札幌へ戻ってきたんですよね。
Commented by kels at 2010-10-03 19:46
山北雅仁さん、こんにちは。
やはり、札幌から離れることはできないのだと思います。
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