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早春キャンプ

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ゴールデンウィークにキャンプへ出かけなくなって、もうずいぶん長い時間が経った。
20代の頃は、ちょっとした休みを見つけては、キャンプ道具を積んで道内各地へ出かけて行った。
特に、4月末から5月初めにかけての大型連休は、北海道のキャンプシーズンの幕開けでもあり、数日間のキャンプに出かけるのが楽しみな休みでもあった。
もちろん、北海道でのゴールデンウィークはまだ早春だから、道東や道北などでは気温が低くて当たり前だし、山などへ登ればそこはまだ冬の装いだった。

ある年は道北の岩尾内湖で釣りをした。
山上の湖畔のキャンプ場に、他にキャンパーはいなかった。
湖畔の多くは、まだ雪に覆われていて、僕らは木の根本の雪のない場所を選んでテントを張った。
夜に食べた鍋が、翌朝にはカチカチに凍りつく早朝、僕らはルアーロッドを持って湖畔に立った。
凍りつくラインの氷を手で取りながら、僕らは無心にルアーを放った。

ある年は道央の金山湖で釣りをした。
吹き荒れる嵐の中、キャンパーはもちろん我々だけだった。
深夜に嵐が去り、テントからそっと顔を出すと、頭上には満点の星空が広がり、無数の流れ星が夜空を横切った。
シュラフがこんなにも暖かいものだということを、僕はこの嵐の夜に初めて知った。

早春のキャンプは、決して快適なことばかりではない。
けれども、厳しい気候の中で一瞬見つける自然の美しさは、人の心をとらえて放さないものだ。
街の中にいるだけは見つけることのできない自然の美しさを、僕らは街を離れることでしか手に入れられない。

街に残り、街の写真を撮り続けながら、僕はそんなことを考えている。


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by kels | 2010-05-05 21:28 | コラム・随想 | Comments(0)
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