駅は、これから旅立とうという人や、旅から帰ってくる誰かを待つ人たちで混雑していた。 待合所の真上に設置された照明だけが、やたらとキラキラしていたけれど、誰もそんなことには関心がないふうだった。 そして、あのときも僕もそうだった。 突然の仕事が入って、しばらく札幌の街を離れることになったのは、もう3年以上も昔のことだ。 あれは、雪が降り始める季節で、札幌を離れている間に雪が積もるかもしれないと思いながら、僕は旅支度をした。 仕事で同行する仲間たちと、駅のこの待合所で待ち合わせをした。 誰もみな、未知の仕事に向かう不安と高揚感とで、あまり口を利かなかった。 結局のところ、そういうひとつの仕事が僕の人生を大きく変えたことになるのだけれど、そのときは、もちろん誰もそんなことを想像さえしなかっただろう。 眩しい照明を見つめながら、僕はあのときの自分が座っていた場所を思い出し、あの朝の胸の鼓動を思い出している。 もう帰ってくることさえないかもしれないという不安の中で旅に出た、あの冬の朝の心臓の高鳴りとともに。 ↑↑↑↑↑↑ 「ブログ村」への参加を始めました。1日1回、クリックをお願いします。
by kels
| 2010-02-28 20:49
| 建築・景観
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