本日の地元紙朝刊の読者アンケートコーナーは、「恵方巻き、食べますか?」だった。 「恵方巻き」とは、節分の日に太巻きを食べる風習のことで、特に恵方を向いて食べることから、この名前があるという。 手元にある「日本民俗事典」(平成6年版)で調べてみると、「恵方」という項目はあるものの、「恵方巻き」という項目は見つからない。 少なくとも、この時点では「恵方巻き」は民俗学の基本的な用語としては一般的ではなかったようである。 ちなみに、「恵方」とは歳神が司るめでたい方角のことで、中国伝来の十干十二支の思想に基づくものとのこと。 民俗学の事典にも載っていないような風習が全国的に大流行したのは、全国に販売網を持つコンビニエンスストアがキャンペーン的に太巻きを売り出したためである。 先駆けとなったのは、1989年のセブンイレブンで、この年には広島県内でのみ販売された。 その後、1996年から西日本全域で発売開始、1998年には全国での発売を開始している。 「恵方巻き」の言葉が大きく定着したのは2004年のことで、以来現在に至っているということらしい。 そもそも「恵方巻き」がどの地方の風習だったのかを明らかにすることは難しいらしいが、江戸時代の大阪船場地方辺りの商人に伝わっていたとの説がある。 ただ、明治の頃には既に廃れていた風習らしく、これを伝承していたというものではないらしい。 廃絶していた儀式が復活するのは昭和50年代に入ってからのことで、海苔業界が活性化のために仕掛けたイベントが始まりだったという。 このイベントにコンビニが乗っかり、現在のブームがあるということなのだろう。 ちなみに、北海道の「恵方巻き」といえば、北海道神宮で無料配布する「恵方巻き」が有名で、近年では1,000本もの太巻きが無料配布されている。 北海道でもっとも最初に「恵方巻き」を発売したのは「すし善」で、1989年のことだという。 これは、大阪の寿司業界の動きに合わせたものだったが、特にキャンペーンもなかったため、売れたのはたったの5本だけだった。 1997年になって、「北海道鮨商生活衛生同業組合」と「北海道海苔問屋同業組合」が提携する形で、北海道神宮で「恵方巻」の無料配布を開始、この頃には「恵方巻き」はコンビニのキャンペーンのおかげでメジャーになりつつあったから、北海道での「恵方巻き」は順調に定着していった。 また、すし飯には早くから北海道米を使うなど、道庁の道産米キャンペーンにも一役買っているそうだ。 海苔業界に寿司業界、道産米業界、スーパーやコンビニなどの小売業界など、多くの業界が節分のこの「恵方巻き」に群がっている様子は、まさしく、様々な業界の様々な思惑が太く巻かれた「恵方巻き」と言えるだろう。 ↑↑↑↑↑↑ 「ブログ村」への参加を始めました。1日1回、クリックをお願いします。
by kels
| 2010-01-30 22:38
| コラム・随想
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Comments(2)
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Wonderfullifewith at 2010-01-31 07:56
今年は西南西でしたっけ?
やっぱり太巻きは切って食べた方が美味しいと思いますので、私はやりません。 それに1本は食べられませんし。
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kels at 2010-01-31 19:57
Wonderfullifewithさん、こんにちは。
恵方を向いて食べるとか、一本まんまかぶりつくとか、いろいろスゴいですよね~(笑) そういう風習を先祖代々伝えられてきた人達って、本当にいるのでしょうか???
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