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初詣

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札幌の正月でもっとも賑わう神社が、この北海道神宮である。
参道を人の行列に従って歩いていると、隣のカップルの会話が聞こえてきた。
どうやら、男性は関西から北海道へやって来たばかり、女性が地元で、今日も北海道神宮へ案内しているということらしい。
「初詣言うたら夜中に来るもんじゃないんですか」と、男性が言った。
女性は、「午前0時過ぎに来る人達もいるよ」と答えた。
そう言えば、昔はわざわざ深夜の2年参りに来たものだと、僕は思った。

学生のうちは、夜の活動が当たり前で、普段から深夜の街をフラフラしていたから、正月にも仲間で待ち合わせをして、北海道神宮まで初詣に出かけたものだ。
参拝の時間は午前0時からと決まっているから、多少早めに着くと、開門まで参道で待たされることになる。
北海道神宮では、そうして毎年たくさんの人達が開門を待ちかまえて、深夜の参道に行列を作っているのだ。

参拝が済んだ後は、どこかでお茶をしたいと思ったが、円山公園あたりで正月の深夜から営業しているような店は、ほとんどなかった。
環状線の交差点角にあるケンタッキー・フライドチキンの店だけが、当時から唯一の休憩場所だったのだ。
もちろん、そんな場所の店は参拝客で混雑しているに決まっているから、僕らは街まで移動してから適当な喫茶店を探して入り、朝までの時間を潰した。

あの頃の正月は、今よりずっと寒くて、体中が凍りつくような思いをして、真夜中の参道をゆっくりと歩いていたような気がするけれど、深夜の参拝に出かけなくなって、もう随分時間が経った。
いつかまた、あの凍りつくような夜空の下へ、参拝に出かけてみたいとも思うのだけれど。


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by kels | 2010-01-01 18:24 | 観光・風物詩 | Comments(0)
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