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おせち料理

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お正月といえば、欠くことのできないものがご馳走がたくさん入ったおせち料理(お節料理)である。
近年は、ホテルやデパートなどで売り出される高級お節料理も人気とかで、家庭での味にこだわる風習も少なくなった。
ところで、このお節料理、北海道ではどのように受け継がれてきたものなのだろうか。

明治初期に入植者が入り、開拓が進んだ北海道の場合、各地の集落は内地からの移住者達によって形成されていて、各集落では出身地(母村)の風習を受け継ぐことが多かった。
ただし、こと食事の面に関しては、開拓という厳しい条件下で、母村の風習をそのまま再現することは困難だっただろうことは想像できる。

北海道の伝統的なお節料理がどんなものだったのか調べようと、「聞き書 北海道の食事」(農文協刊)を開いてみると、開拓期以降の北海道の正月料理の中に、「お節」という言葉は出ていなかった。
もちろん、日常ではない正月に食べる正月の食事は定型的なものが紹介されているのだが、「お節料理」という言葉は登場しないのである。

それでは、そもそも「お節料理」とは何なのかをまず調べてみると、元日から3日間は神様(歳神)が滞在するために炊事をするべきではないとの理由から、3日間分の食事を作り置きしたものが「おせち」だったようである。
もっとも、こうした風習は地域によって大きく異なる場合がほとんどであり、現在のように情報伝達手段が発達していなかった時代には、地域ごとの個性が顕著であったから、日本の「お節料理」を一言で説明することは困難であり、無意味である。

北海道の正月料理に戻ってみると、「聞き書 北海道の食事」では地方別、農村・漁村別の正月料理が紹介されていて、北海道内でさえも多様な食文化が存在していたことがわかる。
たとえば、十勝地方の農村の正月膳としては、数の子、うま煮、大福豆きんとん、なます、きんぴら、雑煮、にしんの昆布巻き、黒豆など、現在でも定型的なお節料理として受け継がれている食事が並ぶのに対して、同じく道東の漁村では、雑煮もち、数の子、ほっけの煮しめ、紅白なます、黒豆、焼きかまぼこ、つぼっこ、くじら汁などとなっている。

また、道北羽幌町の漁村の場合では、身欠きにしんの昆布巻き、鮭の焼き魚、黒豆、数の子、氷頭の大根なます、くじら汁、そいの刺身、口取り羊羹、煮しめ、茶碗蒸しなどであり、道北・旭川の場合は、昆布巻き、たこの三杯酢、黒豆、なます、数の子、雑煮などである。

こうしてみると、昆布巻きや黒豆、数の子、なますなど、現在でも受け継がれている定型的な料理に、それぞれの地方の特色が加わっているのが、北海道の正月料理の特徴ということができそうである。
もちろん、先に述べたように、北海道の場合は、同じ地方、同じ集落であっても、出身母村が異なれば風習が異なることも当たり前だったから、一概にまとめることは難しいけれども、北海道の正月料理の外観として、以上のようなものをとらえることは可能だろう。

もうひとつ、共通する特徴として、北海道の正月料理は個人別の膳として用意される場合がほとんどであり、現在のお節料理に見られる、いわゆる「重箱」などは登場しない。

「北海道の歳事習俗」(明玄書房刊、小寺平吉、1975年)では、江戸時代の有名な狂歌師であった平秩東作の「東遊記」を引用して、道南・松前地方の正月風景を解説している。

元旦、節句などのさま、京、江戸におとらず、一向宗の外は、門松、注連飾り、余国のごとし。(中略)座敷は喰積(くいつみ)の外に菓子、取肴の類五種、七種ほと飾りをく。
ここに登場する「喰積」がいわゆる正月料理を重箱に詰めたものであり、数の子や煮豆、昆布巻き、ごまめ、たたき牛蒡などを膳の物として、年賀の客にすすめたと作者は説明している。

推測すれば、お重のお節は、経済的に豊かな層が年賀客を迎えるために用意するものであり、開拓期を生きるために精一杯だった多くの移住者達にとっては、無縁の物だったのではないだろうか。

最後に、「北の生活文庫 北海道の年中行事」(北海道刊、小田嶋政子、1996年)の記載を紹介して、北海道のお節料理のまとめとしたい。

日本各地からの移住者によって形成されている北海道には、さまざまな食習がある。
ハレ食には母村の伝統が引き継がれ、その中でもとりわけ正月の雑煮は、餅の形、味付け、中に加える材料などが家々によって異なり、地域的偏差が激しい。
つまり、これが北海道のお節料理ですと定型的なものを紹介できないのが、北海道のお節料理の特徴であり、真実である。
もっとも、ホテルメイドの正月料理が受け入れられ、家庭の味が姿を消しつつある現況にあっては、北海道のお節を語る意味もあまりないのかもしれないが。


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by kels | 2009-01-02 07:18 | 食べ物 | Comments(2)
Commented by cappu at 2009-01-03 22:03 x
そういえば幼い頃から~実家のお正月膳は、十勝出身の母だったので↑のような全てが並んでいました。不思議ですね~!(母が嫁いだ先は十勝ではなく道南ですが)
今は亡き母に色々なことを尋ねる訳にはいきませんが、お正月の母の味を受け継いでいます^^;)

Commented by kels at 2009-01-04 19:39
cappuさん、こんにちは。
北海道の場合、地域だけではなく、家ごとにかなり風習が変わるみたいですね。
内地のいろいろな地方の味がミックスされて、北海道流が生まれたということなんでしょうね。
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