コーチャンフォーに行くと、原田康子の復刻文庫コーナーができていた

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札幌の冬は釧路の冬とよほど違います。
雪の降らない日が一日でもあるでしょうか。
さらさらした粉雪、しめった大きなぼたん雪、やわらかなふわりとした綿雪、さまざまな形の、さまざまな感触の雪がたえず目の前でちらついております。
 
「春の札幌」原田康子


コーチャンフォーに行くと、原田康子の復刻文庫コーナーができていた。
「海霧」に続いて、「風の砦」「聖母の鏡」が復刻されているのである。
コーチャンフォーの本気具合を感じた。

もとより、コーチャンフォーは釧路の会社である。
釧路出身の作家である原田康子に対する思い入れには、きっと強いものがあるのだろう。
原田康子はやはり郷土の誇りなのだと、改めて思い知らされた気がする。

釧路では新たに文学館が誕生するなど、文学の街としての活気がよみがえっているらしい。
子どもたちに郷土の財産を伝える「ふるさと教育」としても、きっと有意義なものだと思う。
こうした動きは、釧路だけではなく、北海道全体に広がってほしいなあ。

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# by kels | 2018-02-24 06:48 | 文学・芸術 | Comments(0)

中島みゆきが「ミルク32」を発表してから、もう40年が経つ。

中島みゆきが「ミルク32」を発表してから、もう40年が経つ。_b0103470_07380747.jpg

 
ねえ ミルク またふられたわ 忙しそうね そのまま聞いて
ゆらゆら重ね上げた お皿とカップのかげから
ねえ ミルク またふられたわ 
ちょっと飛ばさないでよ この服高いんだから
うまくはいかないわね 今度はと思ったんだけどな
 

ねえ ミルク 悪いわね ふられた時ばかり現れて
笑ってるの 怒ってるの そんなに無口だったかしらね
ねえ ミルク 聞いてるの 
 

なんで あんなにあたしたち 二人とも意地を張りあったのかしらね
ミルク もう32 あたしたち ずっとこのままね
 
「ミルク32」中島みゆき(1978年)


店は、北海道大学から東に向かって、創成川を越えたところにある。
そこは、もう学生街とも言えない、住宅街の外れだ。
扉には「仔猫に注意」の貼り紙がある。

扉を開けて店内に入ると、中年の男性客が一人、マスターと話し込んでいる。
入口に近い席に座ろうと思ったら、仔猫が2匹ぐっすりと眠り込んでいた。
猫のいない席を探して、猫を起こさないように静かに腰を下ろす。

男性客は、どうやら旅行途中のようだった。
音楽業界の人間なのか、あるいは、ただの趣味なのだろうか、全国各地の音楽界の話をしている。
話題の中心は、やはり、中島みゆきだった。

コーヒーを注文して、店内を見回してみる。
1970年代のまま、時間が止まってしまったかのような暗がり。
期待に反して、中島みゆきの曲は流れていなかった。

扉が開いて、大学生のグループが入って来た。
ギターケースを抱えている。
マスターに声をかけて、店の奥へと消えていった。

猫は眠り続けている。
男性客が席を立ちあがり、支払いをしながら、まだ話し続けている。
「未だに、あの娘くらいのものだよ」と、マスターは中島みゆきの話を続けた。

やがて、マスターがゆっくりとコーヒーを運んできた。
男性客が去って、店内は静かになる。
猫はひたずらに眠り続けている。

中島みゆきが「ミルク32」を発表してから、もう40年が経つ。
当時32歳だったマスターも、40歳年を取ったのだろうか。


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# by kels | 2018-02-11 07:21 | カフェ・喫茶店 | Comments(2)

「寒にしん」は冬のピークに食べる

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ニシンと言えば「春を告げる魚」であると、自分も思っていた。
ところが地元の新聞では、石狩湾のニシン漁が好調であると記事が出ている。
ニシンは、こんな寒い季節に獲れるものなのだと、少々感心してしまった。

確かに、スーパーの魚売り場に行くと、たくさんのニシンが並んでいる。
よく見ると「寒にしん」という表示がある。
やはり、寒い季節に獲れるニシンというのは、少し特別なものなのかもしれない。

小林多喜二の若い頃の作品に「田口の『姉との記憶』」という短編小説がある。

友人の田口が語る昔話の中で、女学生だった姉は、小樽に接する漁村で、ニシンのもっこ担ぎのアルバイトをしていた。
漁から戻って来たばかりの船に大量に積まれているニシンを、背中のカゴ(もっこ)に詰めこんで、陸まで運ぶ労働である。 
ニシンの鱗まみれになりながら、女性には重労働のこの仕事を、姉は暮らしのためにこなしていた。

大漁だったニシンで沸き上がる漁村には、隣町の小樽からたくさんの市民が見物に訪れたらしい。
姉は、見物客の中に学校の友人が紛れていることを、ひどく恐れた。
当時としても貧しい自分たちの生活を、学友には知られたくなかったのだ。

かつて、日本海側の漁村が、ニシン漁で成り立っていた時代の話である。

大漁のおかげで、今年は早い時期から、ニシンを食べることができてうれしい。
正月くらいにしか食べない数の子を食べる機会も、今年は増えた。
やはり北海道には、ニシンという魚が、とても良く似合うと思う。

ちなみに、小樽のニシン漁は、江戸末期から明治にかけてがピークだった。
沿岸部まで押し寄せるニシンの群れは「群来(くき)」と呼ばれ、漁師は春のニシン漁だけで1年間生活できたと言う。
近年少しずつ、この「群来」が復活しているようなので、今後も楽しみである。


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# by kels | 2018-02-02 21:14 | 食・グルメ | Comments(0)

伊藤整の詩集は「小樽雪あかりの路」に行く前に読む

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2月となり、北海道は冬のイベントの季節になった。
札幌では雪まつり、小樽では雪あかり。
真冬の屋外イベントくらい、北海道の厳しさを体感できるものはない。

小樽市の「小樽雪あかりの路」は、20回目のメモリアルということで随分盛り上がっている。
さっぽろ雪まつりに比べて、商業主義にまみれていないところが人気らしい。
素朴なキャンドルの灯りが無数に並ぶ様子は、確かに小樽という街に似合っている。

イベント名の「雪あかりの路」というのは、伊藤整の作品に因んでいる。
伊藤整は小樽出身の詩人で、小樽商科大学では小林多喜二の後輩にあたる。
「雪明りの路」は、小樽の冬を詠んだ伊藤整の詩集のタイトルだった。

この詩集には、小樽の冬がたっぷりと詰まっている。
最初に「雪明りの路」が出版されたのは大正15年(昭和元年)である。
大正時代の小樽の街の空気が映し込まれていると言ってもいい。

当時、伊藤整は弱冠20歳で、商大を卒業して小樽市内の中学校の英語教員をしていた。
それまでに作った作品を1冊にまとめたものが、この「雪明りの路」だったらしい。
序文には「十五六の年からもう六七年も私は詩を書いて暮らしてきた」とある。

もしも、小樽の街まで「雪あかりの路」を観に行こうと考えている人がいたら、ぜひ、その前に、この詩集を読んでもらいたいと思う。
大正時代の冬の小樽に思いを馳せたまま、JR北海道に乗って、冬の小樽に向かう。
そこには、期待を裏切らない昔ながらの小樽の詩情があるはずだ。

ちなみに、自分の持っている「雪明りの路」は、戦後の昭和27年に発行されたもの。
最初の詩集が発表されてから25年後に、改めて、この詩集が世の中に登場したということになる。
最初の詩集も欲しいけれど、そんなに簡単に手に入るものではないんだろうなあ。


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# by kels | 2018-02-02 20:46 | 文学・芸術 | Comments(0)

焼き肉食べ放題は昭和初期建築の古ビルの店を選ぶ

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札幌で庶民的な焼き肉チェーンと言えば、「味覚園」は「牛角」である。
どちらも食べ放題メニューがあるので、「とにかく肉をたくさん食べたい」という連中が集まるときには便利。
飲み放題を付ければ、安心して心ゆくまで飲んで食べることができる。

建築好きには、電車通り南側の中通りにある南2条店がお勧め。
ここの店舗は、昭和5年に建てられた歴史的な古ビルである。
当初は、上野活版という会社のオフィスとして使われていたらしい。

当時としては珍しい鉄筋コンクリート造りの3階建て。
軒先に歯状飾りがあったり、3階の窓枠はアーチ型だったりと、昭和モダンなテイストに溢れている。
昭和初期の無駄に豪華な雰囲気には、時代の息吹というものが感じられるようだ。

平成23年に焼き肉屋としてオープン以降は、ビル1階部分が見えなくなってしまったのが残念。
一方で、焼き肉を食べながらビル内部を見学できるので、そういう意味では悪くない。
鉄筋コンクリート造りだから、火災にも強いような気がする(内部が焼けたら終わりか)

ちなみに、食べ放題の焼き肉で満たされるものは、ただの満腹感だけである。
集団の飲み会では、割り勘の計算をしなくて良いので楽。
それ以上でもそれ以下でもないことを理解しておくことをお勧めしたい。


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# by kels | 2018-01-28 07:28 | 食・グルメ | Comments(0)